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掲載日:2021年11月17日

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トピックス(H24)/逆浸透膜を利用した塩水化した地下水の淡水処理法

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東日本大震災による津波被害のあった地域は、イチゴをはじめとする県内有数の施設園芸地帯であり、現在、農地や施設の復旧、除塩作業等が急ピッチで進められています。しかしながら、これら地域の施設園芸の多くは、栽培用水を深度数メートルの浅層地下水に依存しているものの、地下水の塩水化が広範囲に発生しており、栽培用水の確保が深刻な問題となっています。
現地では、栽培用水の確保のため、使用できる井戸の確保、貯水槽の設置、毎日の水汲み作業など大きな負担を強いられています。また、海水を淡水化する逆浸透膜装置が支援物資として導入されていますが、砂や有機物が詰まる等のトラブルも発生し、合理的な活用ができていない状況があります。
そこで、塩水化した地下水を淡水化する逆浸透膜の利用方法を農業現場に適用するための現地実証試験に取り組みましたので、その結果について紹介します。

通常、半透膜に仕切られた水溶液は、濃度の低い方から高い方に自然に浸透しますが、濃度の高い方に圧力をかけることで、水分子だけを浸透(逆浸透)させることができる膜のことを逆浸透膜といいます。この手法は、海水を淡水化したり、純水の製造、果汁や化学薬品の濃縮、身近なところでは家庭用浄水器に用いられる等広く利用されています。また、逆浸透膜を通した水溶液は浄水と排水に処理されるのが特徴です。

現地試験では、コンパクトタイプの逆浸透膜装置を用い、地下水中に含まれる砂や浮遊物を除去するため、砂濾過器や糸巻きフィルターなどを用いた前処理と逆浸透膜のフラッシングを適宜行うことで、逆浸透膜装置のメンテナンス無しに、6ヶ月間の連続運転が可能で、一日あたり1,000リットル程度の浄水を得ることができました。
除塩効果については、塩化物イオン、ナトリウムイオンとも大きく低下し、栽培用水として利用できる水質を確保しました。
現在、栽培用水確保の負担が軽減できるよう、効率的な浄水量の確保や逆浸透膜のメンテナンス方法等について引き続き試験を実施しています。(農園研 情報経営部)

(平成24年12月12日掲載)

図1石膏床土混和等による水稲増収効果
図1 石膏床土混和等による水稲増収効果

現地試験の様子の写真
写真1 現地試験の様子

逆浸透膜装置による除塩効果の表

設置した貯水槽の写真
写真2 設置した貯水槽

お問い合わせ先

農業・園芸総合研究所情報経営部

名取市高舘川上字東金剛寺1(代表)

電話番号:022-383-8119

ファックス番号:022-383-9907

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