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(農園研 情報経営部)
タマネギは,加工用を中心として県内での需要が高い作物です。しかし,収穫が梅雨時期で,収穫後の乾燥を十分に行えないとタマネギの腐敗が多くなるため,安定的な作業体系が組めずに生産量は伸び悩んでいます。そこで,植物の病原抵抗性を向上させる紫外光が,タマネギ腐敗球の発生抑制に効果があるかを調査しました。
一斉に収穫したタマネギに,異なる乾燥方法を試して,腐敗率の比較を行いました。処理区は,地干し区(慣行区){収穫後2日間の地干し後,網室内で貯蔵(写真1)},地干し省略区(収穫後すぐに網室内で貯蔵),無照射区(収穫後すぐに施設内に運び入れ,24時間温風乾燥処理し貯蔵),紫外光のUVA,UVB,UVC照射区及び青色光照射区{収穫後すぐに施設内に運び入れ,24時間紫外光または青色光照射と温風乾燥処理を行う(写真3)}です。その後,一週間ごとに一ヶ月間,腐敗球の発生数を調査しました。
平成22年6月28日に収穫したタマネギ(もみじ3号)においては,慣行区,無照射区,青色光照射区で収穫直後から腐敗球が発生し始め,一ヶ月後にはそれぞれ腐敗率が地干し区8.5%,無照射区6.5%,青色光照射区5.5%となりました(図1)。UVA,UVB,UVCを照射した区はいずれも低く推移し,一ヶ月後には,UVA照射区1.9%,UVB照射区1.8%,UVC照射区2%と低い値でした。
平成22年7月5日に収穫したタマネギ(ラッキー)においては,地干し省略区で収穫後から腐敗球が多く発生し,一ヶ月後には21.3%となりました(図2)。慣行区,無照射区,青色光照射区の一ヶ月後腐敗率は,地干し区8.8%,無照射区8.4%,青色光照射区8.4%でした。一方,UVA,UVB,UVCを照射した区の一ヶ月後腐敗率はそれぞれ,UVA照射区3.8%,UVB照射区3.4%,UVC照射区4.5%となりました。
これらの結果から,収穫後のタマネギへの紫外光の照射によって腐敗球の発生を抑えられるといえます。
(作業技術チーム)
(平成23年9月9日掲載)
【写真1 網室内に貯蔵したタマネギ】
【写真2 光照射試験に用いた台車】
【写真3 紫外光照射の様子】
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