建築士法の改正について(平成19年6月20日施行)
建築士法の改正
平成18年6月21日に公布された改正建築士法が,平成19年6月20日に施行されました。
改正の目的
耐震偽装事件の再発を防止し,法令遵守を徹底することにより,建築物の安全性に対する国民の信頼を回復する。
- 建築士は,構造計算によって建築物の安全性を確かめた場合には,その旨の証明書を設計の委託者(建築主,元請建築士事務所等)に交付することが義務付けられました。(法第20条第2項関係)
- 建築士による名義貸し,違反行為の指示,信用失墜行為の禁止及び建築士事務所の名義貸しの禁止が明確に法律に記載されました。(法第21条の2~第21条の4、第24条の2関係)
- 名義貸し
無資格で設計又は工事監理を行っている者に対し,自己の名義を利用させること
- 違反行為の指示
違反建築物の建築等の法律違反行為についての指示,相談等
- 信用失墜行為
建築士の信用又は品位を害する行為
- 建築士事務所の名義貸し
自己の名義をもって,他人に建築士事務所の業務を営ませること
- 建築士事務所の開設者が設計又は工事監理の受託契約を締結したときの書面交付義務について,書面を交付する相手方の範囲を拡大し,建築主だけではなく,すべての委託者(建築主,元請建築士事務所等)を対象とすることとなりました。つまり,下請け契約締結時についても書面の交付が義務付けられました。(法24条の6関係)
- 様式は任意ですが,次の事項を記載することとなっています。
- 設計又は工事監理の種類及びその方法
- 設計又は工事監理の実施に期間及び方法
- 報酬の額及び支払の時期
- 契約の解除に関する事項
- その他国土交通省令で定める事項
- 建築士事務所の名称及び所在地
- 契約の年月日
- 契約の相手方の氏名又は名称
- 設計又は工事監理に従事する建築士及び業務に従事する建築設備士の氏名
- 設計又は工事監理の一部を委託する場合にあつては、当該委託に係る設計又は工事監理の概要並びに受託者の氏名又は名称及び住所
- 違反設計を行った設計者に対する罰則をはじめとして,建築基準法の罰則体系を全面的に見直し,大幅な強化が図られました。
- 同時に,建築士法においても,名義貸し等の違法行為を行った建築士に対する新たな罰則が設けられています。
建築基準法の罰則体系改正の表
違反内容 |
改正前 |
改正後 |
耐震基準など重大な実体違反(建築基準法) |
罰金50万円 |
懲役3年/罰金300万円
(法人の場合,罰金1億円) |
建築確認の手続違反(建築基準法) |
罰金50万円 |
懲役1年/罰金100万円 |
建築士・建築士事務所の名義貸し、建築士による構造安全性の虚偽証明(建築士法) |
なし |
懲役1年/罰金100万円 |
不動産取引の際に重要事項の不実告知等(宅建業法) |
懲役1年/罰金50万円 |
懲役2年/罰金300万円
(法人の場合,罰金1億円) |
- 建築基準法施行規則に定める建築確認申請書の様式が改正され,担当したすべての建築士の氏名等を記載することとなりました。
- 建築士免許取消し後、免許を与えない期間の延長が2年から5年に延長されます。
- 建築士事務所の登録取消し後,登録を受け付けない期間が2年から5年に延長されます。
- 国土交通大臣又は都道府県知事は,建築士に対し免許の取り消し等の懲戒処分をしたときは,建築士の氏名等を官報,公報により公告しなければならないこととなりました。(法第10条第5項)
- 都道府県知事は,建築士事務所の開設者に対し登録の取消し等の監督処分をしたときは,建築士事務所の名称等を公告しなければならないこととなりました。(法第26条第4項関係)
-
建築士事務所の開設者は,事業年度ごとに,建築士事務所の業務実績,所属建築士の氏名・業務実績等を記載した業務報告書を,都道府県知事に提出することが義務付けられました。(法第23条の6)
- 都道府県における建築士事務所に関する閲覧の対象として,現行における登録簿に加え,業務報告書等を追加することとなりました。(法第23条の9)
- 建築士事務所における閲覧事項を拡充し,所属建築士の業務実績,設計等の業務に係る損害賠償保険契約等の内容を記載した書類が追加されました。(法第24条の6)
- 様式は,下記(様式の新設及び改正(様式集)の項参照)のとおりです。
- なお,報告時期はについて,平成19年6月20日以降に始まる事業年度から対象となり,事業年度経過後3ヶ月以内に報告することとなります。
提出先等については,こちらのページ「建築士事務所の業務に関する報告書の提出について」をご覧ください。
- <例1>事業年度が4月から始まり,翌年3月までの場合は,平成20年度分(20年4月~21年3月)から報告の対象となり,事業年度経過後3ヶ月以内である21年6月末までに報告することとなります。
- <例2>事業年度が1月から始まり,12月まで(暦年)の場合は,平成20年度分(20年1月~20年12月)から報告対象となり,21年3月末までに報告することとなります。
- <例3>事業年度が10月から始まり,翌年9月までの場合は,平成19年度分(19年10月~20年9月)から報告対象となり,20年12月末までに報告することとなります。
- 書類の保存期間が5年から15年に延長されました。(法第24条の3,法施行規則関係)
- 建築士法施行規則の改正に伴い,次の様式が新設又は改正されました。
関係リンク