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平成25年6月4日,東日本大震災の津波により被災した東松島市宮戸地域において,復旧農地で作付けを行い,塩分濃度や排水状況,それに伴う水稲や畑作物の生育状況等のデータをモニタリングする,営農再開実証プロジェクトが行われました。
宮戸地域は,東日本大震災の津波により農地に甚大な被害を受け,また地震の影響による地盤沈下によって塩水の侵入も発生しています。そのような中,「営農再開へ早期の見える復旧・復興」を掲げ,今回の営農再開実証プロジェクトが始動しました。
作付けが行われたのは宮戸地区荒田浜,波津々浦の二カ所。荒田浜では水稲(ひとめぼれ)が,波津々浦ではネギ,カボチャ,キャベツがそれぞれ,生育データのモニタリングのために除塩回数別に3つに分けて作付けが行われました。
荒田浜では,Aいしのまき鳴瀬営農センター長によって水稲作付けが行われました。
途中,田植機を2年ぶりに使用したため不調をきたすアクシデントも発生しましたが,作付けは無事終了しました。
波津々浦では,ネギ,カボチャ,キャベツの苗が畑に植えられました。
除塩工事後間もないので,今回は3つに分けた畑のうち1つにのみの作付けとなりました。
残り2つは畑が乾き次第行われます。
このプロジェクトによってモニタリングされたデータは,来年度以降の営農に反映されます。
平成25年10月18日,宮戸地区荒田浜で,営農再開実証プロジェクトで作付けされたひとめぼれの稲刈りが行われました。
荒田浜では,水田を除塩回数別に3つに分けて水稲の育成状況を比較してきましたが,塩害の影響も少なく,3つ全ての水田で無事に出穂し,今回の収穫となりました。
直前に台風の影響で豪雨があり,水田が湛水状況という悪条件の中,JAいしのまきや地元農家の方によって手作業,バインダー,コンバインを組み合わせて収穫が行われました。
収穫された稲の約半分はコンバインで脱穀し,トラックでライスセンターへと運ばれました。残りは棒掛けし,自然乾燥を行った後で脱穀される予定です。
被災前通りとまではいかないものの,想定以上の収量となりました。「目に見える復旧・復興」が結実した形となり,今後の営農再開に向けて大きく前進しました。
平成25年11月29日,東松島市宮戸の宮戸市民センターで「宮戸地域営農再開実証プロジェクト」の報告会が開催され,当事務所に加えて鳴瀬地域農業復興組合やJAいしのまき,東松島市,鳴瀬土地改良区が参加されました。
始めに,当事務所の農業農村整備部より,宮戸地域の災害復旧,除塩工事についての説明,成果の報告として海岸堤防や農地の復旧状況,今後の施工予定について説明を行いました。
次に,石巻農業改良普及センターから水稲・野菜の生育状況,経過等についての説明がありました。水稲は田植えの時期が6月になったことが影響し,分けつ(茎が増えること)に支障が出た(管内平均茎数の5~6割になった)ことや,茎数の不足に加えて虫害(イネツトムシ等)が発生し,収量が少なくなったとの解説がありました。また,野菜に関しては,ネギ・キャベツが6~7月の降雨や排水不良による湿害,雑草の多発の影響などを受け,収穫には至らなかったこと,カボチャが土壌との関係で生育が劣ったことについて解説がありました。
最後に,収集されたデータを元に,今後想定される栽培条件の実証を行うほ場の設置や,排水対策等として基盤整備が必要であるなどの今後の課題があげられました。
収穫された米のサンプル
地域の方に配られた米とメッセージ
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