ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

花粉の少ないスギ品種の選抜

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年3月25日更新

花粉症対策のためのスギの育種~花粉の少ないスギ品種の選抜・生産~

概要

社会的な問題となっている花粉症への対策として,スギ少花粉品種(花粉の少ないスギ)に注目が集まっています。
これまでに,林木育種事業で選抜されてきたスギ精英樹(注1)から,全国で137品種の少花粉品種(2015年12月現在)が選抜されています。
東北地方(東北育種基本区)では21品種選抜されており,そのうち,宮城県の精英樹からは「刈田1号」,「宮城3号」,「玉造8号」の計3品種が,(国研)森林総合研究所林木育種センターから少花粉品種として登録されております。平成27年度に,「加美1号」,「遠田2号」の2品種が少花粉品種として新たに登録されました。
当センターでは,スギ少花粉品種のさし木苗をミストハウスにて生産しています。

花粉の少ないイメージの写真です

スギ少花粉品種の選抜

少花粉品種は,通常のスギ精英樹と比較して,約1%以下しか花粉を生産しないという特性を持つものとして選抜されます。
そのため,少花粉品種として認定されるには,継続的な調査において,花粉の量と関係のある雄花着生量が一定の基準を満たしている必要があります(詳しくは林木育種センター※外部リンク)。

当センター(当時宮城県林業試験場)では,県内2つのさし木次代検定林(注2)において,スギ精英樹の雄花着生量の調査を5カ年間行いました。
また,採種園(注3)においても,植物ホルモン処理することによって,スギ精英樹を強制的に着花させた雄花着生量が調査されています。
その結果,基準を満たした「刈田1号(写真1)」,「宮城3号」,「玉造8号」,「加美1号」及び「遠田2号」がスギ少花粉品種として登録されました。
県内では,少花粉品種に加えて,花粉の生産量が一般のスギの20%以下である,低花粉品種として18品種が選抜されております。
もちろん,これら品種の選抜の際には,花粉の量のみではなく,成長量など林業上重要となる形質についても考慮されています。

刈田1号の写真です

スギ少花粉品種の生産

センターでは,選抜された少花粉及び低花粉品種をさし木で増殖し,林業用種苗のもととなるさし木苗を生産しております。
さし木苗のもととなるさし穂は,センター内に5つある少花粉品種及び低花粉品種で構成された採穂園(写真2)から採取されます。
さし木苗は,採穂木と全く同じ遺伝型を持っていますので,花粉が少ないという採穂木の形質をそのまま受け継いでいる種苗が生産できます。
さし木苗の生産は,センター内に3棟あるミストハウスにて行っております(写真3)。
平成16年から少花粉及び低花粉品種のさし木苗の生産が始まり,2013年度には,10万本もの花粉症対策品種のさし木苗を出荷しました(図1)。

採穂園の写真ですさし木苗生産中の画像です生産量を表したグラフです

その他の取組み

ミニチュア採種園の造成

センター内には,さし木苗生産のほかに,少花粉品種の実生苗を生産するための採種木が植栽されているミニチュア採種園が造成されています。
ミニチュア採種園は,従来の採種園(樹高4m程度)よりも採種木を小さく仕立てることにより,管理が容易となる上,植物ホルモン処理することで造成後数年で種子生産ができます(写真4)。
スギの花粉量は遺伝することが知られているので,ミニチュア採種園から採種・育苗された実生苗も花粉が少ない形質を受け継いでいると考えられます。

ミニチュア採種園の写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

無花粉品種の開発

無花粉(雄性不稔)スギは,平成元年(1992年)に富山県で初めて発見されました。これまでの調査で,雄性不稔性は,単一の劣勢遺伝子によって生じることが明らかになっているので(Tairaら 1999),雄性不稔の劣勢遺伝子を持つ精英樹と雄性不稔個体との人工交配によって,無花粉スギを作出できる可能性が指摘されています。当センターでは,現在,宮城県に適した無花粉スギを作出するために,県内選抜の精英樹13クローンと無花粉スギ品種「爽春」との人工交配試験に取り組んでいます。

用語の解説

精英樹(注1)

精英樹(第1世代精英樹)とは,林木育種事業において選抜された,望ましい形質を持つ木(個体)のことを言います。
ここで,望ましい形質とは,成長量,樹形及び病害抵抗性などであり,林業における収量や人工林の健全性に関連しています。
精英樹から種苗を生産することで,上記の望ましい形質を受け継ぐ次世代の人工林を造成することができます。

検定林(注2)

選抜された精英樹は,その優良な形質が実際に遺伝的なものかどうかを評価される必要があります。
その評価を行う人工林が検定林であり,“実生次代検定林”と“さし木次代検定林”の2種類に分けることができます。
実生次代検定林は,精英樹で構成される採種園(後述)において生産された,精英樹の子世代を用いて造成します。
さし木次代検定林は,精英樹のクローンによって構成されています。
いずれの検定林においても,測定した形質に及ぼす親木(実生)あるいはクローン(さし木)の遺伝的な影響を,統計的手法によって評価することができます。
検定林を調査することは,不良な形質を持つ系統や,花粉生産量や材質(木材を利用する際の品質)などが優れた系統の発見に繋がります。
その結果,採種園・採穂園は,より望ましい形質を持つ種苗を生産できるようになります(1.5世代)。
さらに,優良な精英樹間の交配による検定林を調査することで,次の世代の精英樹(第2世代精英樹)を選抜することもできます。

意見をお聞かせください

お求めの情報が十分掲載されていましたか?
ページの構成や内容、表現は分かりやすいものでしたか?
この情報をすぐに見つけることができましたか?

※1いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。
※2ブラウザでCookie(クッキー)が使用できる設定になっていない、または、ブラウザがCookie(クッキー)に対応していない場合はご利用頂けません。


Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)