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樹木などの病虫獣害相談リスト

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年3月3日更新

病害 

病害の表
番号樹種病虫獣害名
 病害
虫害
1スギスギカミキリ
2スギスギノアカネトラカミキリ
3スギ(樹木全般)セスジコナカイガラムシ
4スギスギマルカイガラムシ
5マツ類マツコナカイガラムシ
6カラマツカラマツツツミノガ
7広葉樹全般カツラマルカイガラムシ
8モミジクワカミキリ
9モチノキ科樹木イボタロウムシ
獣害
10スギツキノワグマ(クマ剥ぎ)
11スギムササビ
12サクラウソ
その他
13ツツジ

コケ類

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虫害

スギカミキリ
英名:Sugi berk borer
学名:Semanotus japonicus
体長:10-25mm

幼虫がスギやヒノキの皮の内側を食います。食われてもスギは簡単には枯れませんがヒノキは枯れやすいようです。腐朽菌の侵入によって食害部の周囲から腐れが進むため,食害そのものよりも腐れによる損失が大きいといえます。
産卵は樹皮の裂け目にされるため,5年生ぐらいから被害が始まり10年生頃にピークを迎え20年生ぐらいで終息するとされています。
食害部は木の地際からせいぜい高さ2m程度の間であり,楕円形の脱出孔と食害部からヤニの流出が目立つため容易に発見できるので,この期間は林を注意して点検し,被害木を適切に処理すれば深刻な被害は避けられます。

スギカミキリの被害の様子の写真です

 

 

 スギノアカネトラカミキリ
英名:Cryptomeria twing borer
学名:Anaglyptus subfasciatus体長:9-14mm

スギの害虫の中で最もおそろしいのがスギノアカネトラカミキリだといえます。
何がおそろしいかというと,この害虫(幼虫)は枯れ枝から材内に入って材の深い所を食うので,スギカミキリのように木がヤニを流すという症状を示さないないため,被害があるかどうか外からは見えないことです。その上,材内に何年もいるので,木を伐ったときに被害の大きさにびっくりするという事態が起きます。 また,スギカミキリと同様に腐朽菌の侵入によって食害部の周囲から腐れが進むため,食害そのものよりも腐れによる損失が大きいといえます。
しかし,予防対策は単純です。枯れ枝が出来ないように枝打ちをすれば深刻な被害は避けられます。被害が起きるという前提で予防対策を実施することが大事です。 今回の相談は,家を建てた後で部材に被害にあった箇所(腐朽部)が見つかったというものでした。被害が外から見えにくいことを物語っています。

スギノアカネトラカミキリ被害材の木口面

 

 

 

 

 

 

 


スギノアカネトラカミキリ被害材の木口面

枯れ枝の断面に見られるスギノアカネトラカミキリの蛹室
枯れ枝の断面に見られるスギノアカネトラカミキリの蛹室             

セスジコナカイガラムシ
学名:Dysmicoccus wistariae
体長:3.5-5mm

民家の庭にあるスギの葉が褐変して,白い粉が付着しているという相談が寄せられました。 枝を採取して「白い粉」を調べたところ,「セスジコナカイガラムシ」というカイガラムシの一種でした。
一般的にはスギだけでなく,幅広い樹種に加害するようです。薬剤としては,スプラサイド乳剤40もしくはカダンKが使用できますが,今回は庭木なのであまり現実的な選択肢ではなく,被害枝をこまめに除去するしか有効な方法がないのが現状です。 

背筋コナカイガラムシ被害木全景

セスジコナカイガラムシ被害木全景

被害部位(葉が褐変しています)

被害部位(葉が褐変しています)

被害部位に定着しているセスジコナカイガラムシ

被害部位に定着しているセスジコナカイガラムシ 

セスジコナカイガラムシ        

セスジコナカイガラムシ

 スギマルカイガラムシ
学名:Aspidiotus cryptomeriae
体長:径2-2.5mm

スギの葉が褐変しているという相談を受けて葉を観察したところ,スギマルカイガラムシが定着しているのが見られました。
介殻が半透明で,虫体が透けて見えるのが特徴です。
スギ以外にも,ヒノキやクロマツ,トウヒ,ツガなどにも加害します。
土埃のかかるところや庇蔭などと密接な関係があり,土埃のかかる道路際に多発して大害をもたらすこともあるようです。
防除にあたっては薬剤散布のほか,生育環境を改善してあげることも重要でしょう。

スギマルカイガラムシ被害林分

スギマルカイガラムシ被害林分

葉に定着しているスギマルカイガラムシ

葉に定着しているスギマルカイガラムシ   

 マツコナカイガラムシ
学名:Crisicoccus pini
体長:3-4mm

マツコナカイガラムシは体長が3~4mmしかなく新梢部の針葉の間を加害するため見つけにくい害虫です。すす病を併発するので,針葉の付け根が黒くなり何かの病気ではないかと相談された段階で被害が明らかになる場合が多いようです。
虫体は桃赤色ですが白色粉状のロウ物質で覆われているため白く見えます。対策としては被害葉の切除になります。農薬登録されている殺虫剤は「カダンK」だけのようです。
なお,カイガラムシにしてもアブラムシにしてもすす病を併発することが多いので,すす病対策としてはこれらの害虫の防除が先決となります。

マツコナカイガラムシの写真です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マツコナカイガラムシ 

 カラマツツツミノガ
英名:Larch casebearer
学名:Coleophora longisignella
体長(開長):約9mm

 カラマツ林全体が赤くなって枯れたようになっているという相談が寄せられました。枝を採取して調べたところ輪生葉が食害されている状況と葉先にぶら下がっているミノから,カラマツツツミノガによる被害と考えられました。
森林所有者の方は大いに心配されたことと思いますが,食害後に長枝が伸びると緑葉が回復するため重大な被害にはならないとのことです。

カラマツツツミノガ被害林

カラマツツツミノガ被害林

カラマツツツミノガ被害枝の拡大

被害枝の拡大(輪生葉が食害されている)

 カツラマルカイガラムシ
学名: Comstockaspis Macroporra
体長: 径2mm内外

雌の介殻は暗黄褐色~暗灰色,円形で径2mm内外で,雄の介殻は雌に似ていますが,楕円形で小型です。虫体はほぼ円形で淡黄色~黄色。クリをはじめ,種としてブナ科やカバノキ科,ニレ科,カツラ科などを好んで寄生します。
年2回発生し,第1回孵化幼虫は6月中旬~7月上旬に,第2回幼虫は8月下旬に現れます。

文献:「森林昆虫 総論・各論」,株式会社養賢堂,1994年

カツラマルカイガラムシ

葉が褐変したクリで確認されたカツラマルカイガラムシとオレンジ色の天敵微生物

カツラマルカイガラムシ

殻の下に黄色い虫体がある(小さいものは幼虫)。

枝枯れの様子枝枯れの様子

枝枯れの様子 1:クリ林,   2,3:広葉樹
葉の褐変や枝枯れがみられる。

クワカミキリ
学名:Apriona japonica
体長:36-45mm

庭木の害虫に関してはクワカミキリの情報が最も多いかもしれません。特にモミジに対する被害の情報が多いのですが,他にもケヤキ,イチジク,ポプラ類,ヤナギ類など多くの広葉樹を食害します。
幼虫は他のカミキリ類と違って孔道内に木屑を詰めないのが特徴で,材内を食い進む途中で1.5mm程度の穴を開け糞と木屑を木の外に排出します。この状況によりクワカミキリによる被害として認識できます。
防除法としては殺虫剤に依らざるを得ませんが,樹木類のカミキリムシ類(スギカミキリとマツノマダラカミキリを除く。)に対して農薬登録があるのは,成虫発生初期に散布する「スミパイン乳剤」の散布だけです。
なお,実際の現場では,孔道が空洞になっていることを利用し,穴の部分をナイフで少し削ってMEP乳剤などを注入し幼虫を殺虫するという方法も行なわれているようです。

クワカミキリの被害

クワカミキリの被害。木の外に排出された糞と木屑が見られ,このような被害形態は他の害虫ではみられない。

クワカミキリの孔道

クワカミキリの孔道。被害がひどいと蓮根状になる。

 イボタロウムシ
学名:Ericerus Pela
体長:雌成虫は直径1cmくらいの球形

 イボタロウムシはモクセイ科の樹木に普通に見られる虫で,カイガラムシの一種です。今回は「庭木の枝,幹一面に虫が産卵しているようだ」ということで発見しました。たしかに,一見すると昆虫の卵のようにも見えますが,これは雄幼虫の作る蝋の塊(ロウ塊)です。
このロウは,「イボタ蝋」と言われ,天然蝋として精製したものが販売されています。また,モクセイ科のトネリコという樹木の名前の由来も,このイボタロウムシから来ているそうです。
イボタロウムシによる樹木への被害はほとんどないと言われていますが,もし気になるようならヘラなどで刮ぎ落とすのが一番手っ取り早い方法です。
樹高2~3mの庭木程度なら,薬剤散布(カダンK)も有効です。

イボタロウムシの定着状況
 

 

 

 

 

 

 

イボタロウムシの定着状況

獣害

 ツキノワグマ(クマ剥ぎ)
英名: Asiatic black bear
学名: Ursus thibetanus japonica
体長: 1.0~1.5m

ツキノワグマがスギなどの樹皮を剥ぎ,枯死させたり,材質が劣化する被害です。「クマ剥ぎ」と呼ばれます。
生長のよい木が被害に遭いやすく,全周剥皮された木は枯死します。
防除は,樹幹に荒縄などを巻き付ける方法と,枝などを山側に盛り上げる方法があります。一度に樹幹の大部分を剥皮されることが多いので,予防が重要です。

 クマ剥ぎ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宮城県におけるクマ剥ぎ被害発生状況について」はこちら

 ムササビ
英名:Japanese giant flying squirrel 
学名:Petaurista leucogenys
全長:28-50cm

スギとヒノキの7,8年生の造林地で点的に木が赤くなったという情報が寄せられました。
木を倒して観察したところ,木の上部の皮が剥がされていてその部分より上にある葉が赤くなっており,剥皮部分にある歯形のような痕からムササビによる剥皮被害と考えられました。
農薬登録された忌避剤はなく,そもそも薬剤を散布すること自体現実的でないことや,捕獲するにしても有害鳥獣駆除として実施しなければならないため,有効な対処法がなく困っています。

ムササビ被害林の全景

被害林の全景 林で点的に梢端側が赤変している。

ムササビ剥皮状況

剥皮状況

 ウソ
英名:Japanese Bull Finch
学名:pyrrhula griseiventris
体長:約15.5cm

ウソとはアトリ科の鳥です。口笛を吹くような声で鳴きます。
冬にサクラの花芽を食べるので春に桜が咲かないという被害がしばしば起こります。対策としては忌避剤に依らざるを得ません。「ベフラン塗布剤3」が農薬登録されています。
鴬沢町の方からの相談に対してこの薬を勧めたところ効果があって,きれいに桜が咲いたとの情報をいただきました。

ウソの被害の写真です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その他

 コケ類の着生

ツツジ・サツキの類ではコケ類の着生でお困りの方が最も多いかもしれません。
ところで一般に樹木の病気とは,「寄生者や樹木を囲む環境要因に反応して,樹木本来の形態や生理機能が異常になること」(樹木医学.朝倉書店)とされており,コケ類の着生が病気といえるかどうかはむずかしいところです。
対応する殺菌剤などもないため今のところ手でこそげ落とす方法しか見当たりません。