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宮城県知事記者会見(平成26年6月2日)

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年6月3日更新

知事定例記者会見

水産業復興特区の状況について

 水産特区の石巻桃浦地区の新会社だが、当初、昨年度(平成25年度)の営業赤字を3100万円で見込んでいたが、その倍以上に膨らみ、初年度としてあまり良くない船出になった。特に県の肝いりの案件ということで、知事の所感を伺いたい。

村井知事

 おっしゃったように、確かに年度当初3100万円の赤字であろうと見込んでいたものが、7900万円の赤字(になった)と伺いました。これは、販売できなかったということではなく、非常に高値で売れてうれしいことであったのですが、一方残念ながら生産量が非常に落ち込んでしまったということです。ムラサキイガイの大量発生、またノロウイルスの検出などによって予定より生産ができなかったそうです。(生産量は)25トンと、計画のおおむね30%にとどまりました。生産が30%で(ありながら)赤字額が倍程度ということでありますので、予定どおり生産されていたならば、恐らく初年度から単年度で黒字になっていた可能性があると思います。付加価値の高い製品を作れるように、瞬間冷凍したり、あるいはカキフライ(用)の機械を入れたり、薫製をしたり、真空パックをしたりするようなことができる(機械を入れて)、HACCP(ハサップ。食品の安全性を侵す可能性のある危害を最小限にするための管理手法)対応の立派な工場も造りました。あとは生産者の方がいかにたくさん生産するかというところにかかっております。そこに私どもは期待をしているということでございます。従って、赤字になった理由が生産量の問題であったということでありますので、これは自然相手ですから、それほど宮城県知事としては深刻な問題としては捉えていないということです。ただ、会社の経営面からは、7千万円の赤字ということは非常に大きい問題だと思っておりますので、生産量が回復することを祈っております。

 やはり水産業復興特区適用の第1号の会社ということで、次回の漁業権更新の4年後に向けて、この特区を利用した会社が増えるかの一つの試金石的なものがあると思うが、知事としては今後どのようなことを期待しているか。

村井知事

 恐らく生産量さえ回復すれば経営状況は一気に好転すると思います。たくさんの生産者の方がおりますので、生産量が回復するように祈っております。

 生産量が回復すればという話だが、もともと自然相手の商売ということで環境に左右される面が今後も続くと思う。生産量を回復するための取り組みとしてどういうことが考えられるか。

村井知事

 もともと初年度から100%の生産を期待していたわけではなくて、棚を造ってカキを生産するわけですけれども、その棚の量もまだ不十分でありました。その棚の量を今だんだん増やしていっているような状況でございますので、今後は間違いなく飛躍的に増えてくると思います。ただし、先ほどから言っているように自然相手ですので、今回のようにムラサキイガイがまた発生をするだとか、水温が随分上がってしまうといったようなことが起こると、カキが死滅するといったことも出てくるかと思います。桃浦だけではありませんけれども、そういったようなことはわれわれとしても関心を持って見守りながら、県として生産者に対してサポートできることにつきましては、しっかりサポートしていきたいと思っております。

宮城県任期付職員(土木職・保健師)の応募状況について

 11月1日付採用の応募者数を見ると非常に厳しい状況が続いている。原因はどこにあるのか、また、その対応策をどのように考えているのか聞かせてほしい。

村井知事

 原因は、日本の景気全体が良くなってくる中で、特に宮城県は復興特需が続いているということでございます。宮城県の職員になるほうがいいのか、あるいは民間の企業で勤めたほうがいいのかということをてんびんにかけた上で、民間に流れる人が非常に増えてきているというのが最近の原因でございます。
 土木職については、募集人員76人に対して、5月30日現在で84人の方が応募されておられますので、応募率は100%を超えております。さらに、5月30日消印(分まで受け付ける)ということになっていますので、もう少し増えるのではないかと期待しているということでございます。
 一方、保健師は10人募集しているのですが、現在のところまだ(応募が)ゼロということで、残念ながら(任期付での)保健師のなり手がいないということでございます。保健師は看護師の資格を持っている方が大部分でございますので、(人材確保の面で)非常にハードルが高い(ということです)。にわかに育成することができない職種でありますので、粘り強く必要性を訴えて募集を続けるしか方法はないだろうと思っております。

宮城県指定廃棄物処分場の詳細調査候補地に係る関係者会談について

 5月26日の第1回の協議以降、「近くやる」と言っていた第2回会合の日程調整の進ちょく状況と、併せて、ヘリでの視察を検討しているということだが、その点についても伺いたい。

村井知事

 次回の日程については、今調整中です。それぞれ忙しい人間が5者(とも)集まらなければならない、しかも代理ではだめで、当事者でないとだめだということでございますので、すぐに日程は決まりませんが、10日前後で決められるように今調整している最中であります。日程調整は県のほうでやらせていただいております。
 ヘリでの視察でございますが、当初6月4日を予定しておりましたが、別の公務が入りまして私は視察をしないということになりました。

 第2回の会合次第というところもあると思うが、今、3市町のほうで詳細調査について、「足並みそろえてだったらやる」と言っているところと、「受け入れない」と言っている町がある状況だ。県としては3市町に寄った立場でやると言っていたと思うが、今後の状況を踏まえて詳細調査の受け入れに県が調整に乗り出すことも考えられるのか。

村井知事

 当然、あらゆる可能性はあると思います。ただし、これは私のほうから詳細調査を「やります」とか、「やりません」ということを決めるものではありません。あくまでもそれを主導する立場にあるのは国ということですので、国が「こうしてほしい」ということを投げかけてくれれば、それに沿ってわれわれは検討するということになります。現時点においては、まずは5者でいろいろ意見交換をして、疑問点に対してお答えをすると(いうことです)。また、(市町から)いろいろな意見を言っていただいて、それに対して国の考え方をレスポンス(回答)するということが今の国のスタンスですので、それに歩調を合わせているということです。今後についてはまだ分かりません。

 先ほどの質問で「10日前後をめどに」というのは、6月10日前後ということか、それとも先日(第1回の会合で)言ったように、(第1回の会合から数えて)10日前後ということか。

村井知事

 この前(第1回会合)からカウントして10日前後(ということで)、6月10日前後ということではないです。この前が5月の26日ですから、(結果的に)日程的には大体6月10日前後になると思いますけれども。

 3候補地の選定に当たっては、首長会議(宮城県指定廃棄物処理促進市町村長会議)で前提ルールを決めて、そのルールに沿って環境省が三つを選んだと理解しているが、一部の首長は「そもそもルールに自分のところは合っていない。候補地たり得ない」と言っているが、この論法についてはどのように受け止めているか。

村井知事

 その疑問は前回(の会合で)出ました。それに対して、「そうではないのだ」ということを環境省がお話しになるのか、「そのとおりです」というふうにお話しになるのか分かりませんが、その回答をいただくのが次回だと私は認識をしております。

 知事として、3候補地が首長会議で決めたルールに沿っているかいないかということについては、現時点ではちゃんとルールに沿って選ばれているという認識か。

村井知事

 私のほうは、3候補地を選ぶ権限があったわけではありませんし、3候補地がそれに合致しているかどうかという検討するところに入ることもできませんでした。3候補地になったということを聞いて、その上でそれを前提に国に対して協力をしているということでありますので、その条件に合致しているかどうかということについて、それが正しいかどうかを私のほうから言及することはできません。
 大きく言うと、自然災害等があってもちゃんと未来永劫(えいごう)しっかり管理できるかどうかという条件が一つありました。それから、観光等に大きな影響がないかどうかも一つの基準になっています。そして、一定の面積が確保されているかどうかということが条件になっています。この間の3人の首長さんのご意見を聞くと、三つ(の条件)とも合致していない、あるいは三つのうちの幾つか合致していないというご意見でありましたので、私も興味深くそれぞれの首長さん方のプレゼンを聞かせていただきました。それに対して国がどういう回答を持ってくるのか、関心を持って見守っているということであります。

 ヘリでの視察だが、どのような理由で今回ヘリを飛ばすことになったのか。また、知事は急遽公務のため不参加ということだが、その理由をもう少し詳しく教えてほしい。

村井知事

 (候補地の)3カ所は秋田の県境、または山形の県境というようなかなり離れた場所にありまして、なかなか車で行く私の時間的余裕がありませんでしたので、地図だけではなくて、まずは上空から概略の位置を把握したいなという思いで検討したということでございますが、いろいろな諸事情によって6月4日に時間がとれなくなってしまったということでございます。

 別の日に知事が搭乗するということか。

村井知事

 今のところ、まだそこまでは分かりません。

 これは2回目の協議での何かの材料として出すための視察か。

村井知事

 違います。私はもう公平な立場におりますので。王城寺(原演習場)の近くはよく分かっておりますが、残りの2カ所の場所が分からなかったものですから、あくまでも知事として1回見たいと考えただけです。そんなに深い意味はありません。

県による医学部の新設について

 今、県は単科での医学部の新設と宮城大に医学部を設置する案、二つを構想として持っていると思うが、最終的に判断するのは県なのか、それとも文科省(文部科学省)に委ねるのか。また、もし県が最終的に決断するなら、何がポイントになるのか伺いたい。

村井知事

 宮城大学医学部にするのか、公立大学法人宮城大学医科大にするのか、あるいは公立大学法人宮城大学とはまた別の法人を立ち上げるのか、三つパターンがあります。今、この時点では全く未定です。しかし、(採択が)決まってからでは時間がかかってしまいますので、できるだけ早い時期にどうするのかということを考えていかなければならないと思っております。
 その際のポイントですけれども、一長一短あると思います。従って、これがベストだというものは今のところありません。全くの新大学法人を作るとなると、相当時間がかかります。時間がかかりますけれども、宮城大学のいろいろな意見を聞かないで、県の意思がそのままストレートに反映をされますので、非常に意思決定は早くできます。ただし、手続きは時間がかかってしまうことになります。宮城大学の医学部にしますと、手続的には一番楽です。しかし、当然ですが、大学の中のいろいろな学部との調整、キャンパスをどうするのかといったようなこと(など)、いろいろな調整を宮城大学と一緒になってやっていかなければならないため、当然そういう意味での時間が今度かかってしまう(ことになります)。ただ、手続的には非常にシンプルで早く済む(ということです)。公立大学法人宮城大学医科大というのはそのちょうど中間でありまして、手続的な時間は新たな法人を立ち上げるよりは早いのですが、宮城大学医学部よりも時間がかかってしまう(ということです)。意思決定だけを考えると、公立大学法人宮城大学にぶら下がるだけですから、法人の理事会の了承は要りますけれども、大学内の意思決定等は特に必要がなくなるということであります。どれが良いのかよく分析しながら、メリット・デメリット、また時間的な問題、制約というものを考えながら結論を出していくということになります。
 それが決まりましたならば、どういう方にその代表、医学部長になるのか、大学長になるのか、あるいは(新たに)独法(独立行政法人)化するなら理事長になるのかというようなことをよく考えた上で、審査を受けながら同時並行で検討を進めていくということになります。

 できるだけ早く決めたいという話だったが、いつごろがめどか。

村井知事

 それはまだ今の段階では分からないですね。早速もう今週からそういった打ち合わせなども内部で始めていきたいと思っています。

 県が意思を固めた時点で、文科省のほうに「この方式でやる」と伝えるのか。

村井知事

 はい、そうですね。恐らくいろいろと審査会の中で聞かれると思うのですよね。そのときに、「決まってから考えます」では恐らく宮城県を選んでもらえなくなると思いますので、「こういう事情でぎりぎりだったので、こういう書類を出しましたが、その後こういう検討をして、こういうふうに考えております。こういう形になりますので、ぜひ宮城県立でやらせてほしい」という訴えをしなければならないと思います。まだそのヒアリングを、いつごろやるかも聞いていないのですが、恐らくヒアリングはされるだろうと思います。書類だけの審査ということはないだろうと思いますので、それまでにしっかり準備したいと思います。

 先週(30日)、国に申請したが、先週の時点では、県議会や県民に対して説明の時間がなかった中での申請ということで致し方ない部分はあったかと思うが、申請を果たして今後説明責任はより一層重くなるかと思う。これはどのように今後果たしていくのか。

村井知事

 やはり一番分かりやすいのは県議会だと思います。6月議会でいろいろな議員の方が質問されると思いますので、それに丁寧にお答えしていきたいと思います。それをメディアの方が県民に向けて伝えていただきたいと思います。難しいのは、今回の件は私が「やりたい」と言ってもやれるかどうかまだ分からないということですね。選ばれるかどうか分からない中で議論を進めているということですので、そういう意味では、提出する前に議論や、しっかり説明責任を果たしていないかもしれませんが、三つのうちの(採択される)一つに決まるか落ちるか分かりませんけれども、文科省の意思決定がされる前には議会においてしっかり説明ができますので、県民の皆さまにもご理解いただけるものと思います。

 今回何百億円というお金が動くわけだが、これは県議会の議案として、予算として必要になってくるかと思う。県議会の理解を得る前に、執行部で方針として決定して、もう議会の意思決定を受けられるものだという前提で考えていたのか。

村井知事

 私は多くの県民の皆さまから「県立で」という声があったというお話をしましたけれども、県議会の中でも「県立でやったらどうだ」というような質問が2月議会にもございました。また、個人的に県会議員の方から「県立でやったほうがいいのではないか」という声も多数ありました。「県でやらないほうがいい」という声もありましたよ。しかし、圧倒的に「県立でやったほうがいいのではないか」という声のほうが多かったと思います。従って、選ばれたあかつきには、かなりの金額の予算ということになりますけれども、県議会の皆さまにも認めていただけるのではないかと判断をしたということでございます。

 前回(5月29日)の記者会見でも「しわ寄せ」という話があった。実際、被災者の医療など県が財政上どうしてもできないという話もあり、しかもこれからも復興のお金が大きくなっていく中で、それを含めてもまだ理解は得られるという考えか。

村井知事

 私が知事になりましてこの8年半、市町村長からたくさんの陳情、要望を受けましたけれども、半分とまでいかないでしょうけれども、非常に多くの陳情の中の半数近くが医師不足の問題なのですよ。非常に皆さんお困りです。そういうことから考えましても、これはもう全県的な問題で、今、民間の病院でもお医者さんがいないという状態が続いていますので、一番優先順位を高めたということについて、私は理解が得られると考えております。

 先週の臨時記者会見でも聞いたが、これからヒアリング等を控える中で、教授陣やスタッフをどうしていくかを、これから具体的に決めていかなければならないと思う。先日聞いたばかりだが、今のところ「こうする」、「こうすればいいのではないか」という案はあるのか。また、いつごろまでにその辺の道筋をつけたいと考えるか。

村井知事

 スタッフについては、個人情報に関わりますので、名前が出るのは(採択されるのが)宮城県に決まってからということになります。ただ、7月に決まってから来年(平成27年)の3月まであまり時間がございません。それまでに全ての教員のリストもそろえなければいけませんので、少しでも早くから準備したほうがいいだろうと思っています。従って、今月から早速そういった人選についてもよく検討していきたいと思います。最初の設立時でございますので、最低限の人選は私のほうが行って、そしてその方にその他の人選についてお任せをするという形にしたいと思っております。恐らく、自薦や他薦など、いろいろな方が出てくるかと思いますけれども、やはり大学運営の責任者は私が決めなければならないと思っています。そこからスタートですね。7月の文科省のヒアリングまでに全ての教員が「こういう人です」というようなことは決められないと思います。ただ、「こういう関係で、こういうところから、こういうスタッフを」といったようなことは話せるのではないかと思っております。

 先日の記者会見では全く白紙という話だったが、今は意中の方がいるとか、こういうところとの提携を考えているとか策みたいなものはあるのか。

村井知事

 今はありません。ただ、もうすぐ決めなければいけないと思っていますので、自分なりにこの土日もいろいろと考えておりました。

 医師をたくさん抱えているところというと、既存の医療グループや大学とかになってくると思うが、例えばその辺との提携とかを検討するようなことはあるのか。

村井知事

 まだ分かりません。ただ、「東北から医師を引き抜くな」ということになっています。一番頼りにしております東北大学にお世話になるということは、基本的にはしてはならないと思っておりますので、東北大学に迷惑をかけないような形で優秀なスタッフを集めたいと思っています。県立の最大のメリットは、優秀な教員等を集めやすいということがあると思います。また、県立になると学費が(あまり)かかりませんので、優秀な学生が集まるのではないかなと期待しておりまして、そこが一番の強みだと思っておりますから、やはり誰が見てもこれは「良いスタッフをそろえたな」と思ってもらえるようにしたいと思います。

 「県立だと優秀なスタッフを集めやすい」というのはどういうところからか。

村井知事

 当然ですけれども学生の偏差値が上がります。他の大学を見ても県立、公立の大学は偏差値が高いですから、当然学生に見合った良い教員を集めなければならない(ということです)。(教員も)教えがいもあるのではないでしょうかね。これは私一人の思いではなくて、いろいろな方に聞いたら、「県立だと良い先生が集まりますよね」というようなことは言われます。

 今、「来年3月までに」という話だったが、文科省のスケジュールでは最短で来年3月開学だ。県のスケジュールでは開学が来年3月ということではないのか。

村井知事

 ないです。それは無理です。

 めどとしてはいかがか。

村井知事

 再来年(平成28年)ですね。だから、来年の3月に書類を全てそろえるということです。すごい書類の量らしいですよ。

 来年3月までにそろえるというのは、どういう区切りか。

村井知事

 3月に申請して、それから文科省の正式な審査が始まる。その審査だけでも数カ月かかるそうで、そして来年の秋(以降)に受験(入学試験)があって、再来年に入学ということですよね。ですから、非常にタイトなのです。7月の結果を待ってから全てをスタートさせるということではとても間に合わないと思いますね。この6月が、非常に重要な1カ月になると思いますので、できるだけ決まったときのための準備は水面下でしていこうと思います。徒労に終わるかもしれないのですが、これは私ども宮城県だけではなくて、残りの二つの学校も(結果として)徒労に終わるかもしれませんけれども、準備をしなければならないと(いうことです)。私がこれからやる準備も徒労に終わるかもしれませんけれども、これはもうやらざるを得ないということです。決まることを前提に準備をするということですね。他の大学もそういうことです。

 今「準備をしなければならない」と言ったが、今月開会される6月議会で、補正予算のような形でまず計上する可能性はあるのか伺いたい。

村井知事

 ありません。予算関係は(採択が)決まってからということになります。

 財政シミュレーションを行ったということだが、年間の運営費が20数億円ということだ。捻出するために例えば県立でやっている他の医療施設の経営等を見直す可能性はあるのか。

村井知事

 これは将来的にはあるかもしれません。ただ、今のところは分からないですね。宮城県は独法が、がんセンターと精神医療センター、それから循環器・呼吸器病センターで一つの法人(があります)。そして、こども病院と、今度拓桃医療療育センターがくっついて、これが一つの法人になります。(全部で)二つあります。それに今度また一つ、附属病院を大学にぶら下げる方針ということになりますので、三つ存在するのも分かりにくいという議論が出てくる可能性は十分あります。ただ、それはちょっと今の段階では分からないです。まずは医学部を作るだけでも精いっぱいということです。

 そのあたりはこの間まとめた財政シミュレーションでも未定ということか。

村井知事

 未定ですね。効率性ということを考えると、将来の課題にはなるでしょうね。今は分からないです。

 仮に栗原市に600床の附属病院ができた場合だが、これまで300床の栗原中央病院が600床に倍増になるということで、これは岩手県一関市の岩手県立磐井病院あるいは大崎市民病院との食い合いになる可能性もあると思うが、そのあたりはいかがか。

村井知事

 病院経営というのも重要ですけれども、あくまでも附属病院は教育機関ですので、そこに力点を置きたいと思います。また、(3次)救急医療は大崎に担っていただきたいと思っておりまして、その辺のすみ分けをきちっとすることによって十分にお互い成り立つと思います。逆に、今まで栗原の患者さんが「病院がない」ということで一関まで足を運んでいたわけですから、そういった患者さんが栗原で治療ができるようになるということは非常に大きいのではないかなと(思います)。宮城県としての責任を果たすことになると思います。

 逆に言えば、それで磐井病院は経営が圧迫されても宮城県としては関知することではないということか。

村井知事

 これは、「岩手県だからいい」とか「宮城県だからいい」ということではなくて、当然、日本全体の病院が経営努力をして効率化を図って、少しでも医療の質を上げて患者さんにたくさん来ていただいて、そして収入を良くしようと努力をしていますので、これは県立の病院でも同じことです。大きな赤字を出せば出すだけ県の財政を圧迫し、財政出動が強まっていくということになりますので、それはお互い切磋琢磨(せっさたくま)、努力をしていかなければならない(ということです)。これは栗原に造ろうがどこに造ろうが同じですね。薬科大さんに決まって宮城野区の薬科大病院を大きくすれば、今四百数十床が600床になるわけですから、当然ですけれども、その分周りの病院にはいろいろな影響が出てくるだろうとは思います。切磋琢磨する必要があると思いますね。

 卒業生を東北一円の自治体病院に派遣するという計画を練っていると思うが、学生は学費がかからないということで、県立大方式にするとなると県民がその費用面を支えることになる。そうなると、例えば(宮城以外の)東北5県にしてみれば、宮城県立大で養成された医師が来てくれることになるので、それはありがたい話だと思うが、その負担の面で他の5県に求めることなどは考えているのか。

村井知事

 現時点においてはまだ白紙ですけれども、今後話を進めていく中で、そういったようなことも他県とも話し合っていきたいと思っております。ただし、宮城県で(医学部を)作る以上は、(例えば)卒業生の60人のうちの20人は宮城県の枠とさせていただき、他県には平均で8人ずつ(派遣する)という(案を)計算しています。それは12人宮城県のほうが単純に多いわけで、これはやはり県民の税金を使ってということになります。20人ずつ出せば10年で200人、その後は辞めていく人もおられるでしょうが、200人一気に県内に医師が増えるということでありますので、非常に大きな成果にはなるのではないかなと思いますけれども。

 それぞれ各県に8人ずつということで、10年で80人である。「東北一円に医師を派遣してあげる」というような大きな精神があると思うが、これはちょっと汚い話かもしれないが、当然お金の面でちょっと不公平なのではないかと思う県民の方もいるのではないかと思う。そうしたら、その分のお金はいただくことが筋なのかと思うが。

村井知事

 教育にかかるお金は、県立の大学ですからある程度県が持たないといけないと思います。要は(宮城県内に派遣する)20人の学生、6年間で120人の学生を教育する費用と、(東北一円含めた)60人掛ける6年間で360人の学生を教育する費用というのはそんなに変わるものではないのですね。修学資金で学費、入学金、生活費を貸与して、その分で学費を無料にし、10年間、ひも付きで派遣をするということになるわけですが、その際には、(学生に)かかった学費だとか生活費だとか、貸与したお金は派遣された自治体から戻してもらいます。10年間で例えば2千万円かかったら、10年間毎年200万円ずつ(派遣先の自治体から)返してもらい、途中で学生が辞めれば、その分は学生が責任を持って返してもらうということになります。ですから、最初のイニシャルコスト(初期費用。貸付金のファンドの造成費)は県のほうで準備しなければいけないかもしれませんが、あとはずっと(お金が)回っていきますので、それは市町村が負担をするというスキームですよね。ですから、県がずっと(お金を)持ち出ししてやるわけではない(ということです)。しかも、学生、教員が宮城県に生活してくれるわけですから、経済波及効果は非常に大きいと思いますよ。それはもう間違いなく栗原にとりまして、若い人たちが減り続けている中で、ずっと600人の学生がそこで教育を受け、そして、数百人の教員がいるわけで、それにいろいろな関係者が来るとなると、千人ぐらい人口が一気に増える(ということです)。しかも若い人たちが入れ替わり立ち替わり更新(栗原に出入り)していくわけですから、そう考えると宮城県にとってただマイナスだということでは決してないと思いますね。

 修学資金のスキームは県立として手を挙げる前からあったが、県立ということが前提になり、仮に県立が認められた場合のスキームは、学費と入学金は繰り返し言っているが、生活費も対象になってくるのか。また、それの原資は、この間(5月30日)の市町村長会議で、「県と他団体にも寄附を求めることがあるかもしれないけれども、市町村に求めることはない」というふうに言っていたと思うが、どのように捻出していくのか。

村井知事

 原資は今のところ80億円から100億円程度と見ております。これは、仮にどこからも協力を得られないとなると、起債を打つこともできます。このお金はいずれ、もし将来この医学部がなくなったときには、そのままそこへ返ってくるお金ですので、そんなに大きな問題ではないということですね。それにいろいろなところから浄財をいただければ、その分お金は減らすことができ、県の負担の分は軽くすることができるということです。
 「市町村から負担を求めない」と言いましたけれども、例えば宮城県内のどこかの自治体の病院に行ったら、そこの自治体から(修学資金の)お金は返してもらいます。県内の自治体であっても、出した分は返してもらいますので、必ず県内の自治体も将来的にはお金の負担は生じてくると(いうことです)。ただ、イニシャルコストで市町村に「お金をくれ」というようなことは言わず、人を派遣してもらった分だけ負担してもらうということです。これは県外の自治体でも県内の自治体でも同じで、最初のイニシャルコストだけは県のほうで準備をする、あるいはいろいろなところにお願いをして協力をしてもらうということです。これもいずれは返ってくることになるということですね。

 基本は県でいろいろなところに協力をお願いするということか。

村井知事

 そうです。

 お願いするいろいろなところというのは、どういうところを想定しているのか。

村井知事

 いろいろな企業だとか団体だとか、こういった趣旨に賛同してくださる方はたくさんおられると思いますので、それはこれから考えてまいりたいと思います。

 生活費もやはり対象になるのか。

村井知事

 そうです。そうしないと、学費が安いのですぐお金を返せてしまうのですよ。公立の大学というと学費が安いですよね。入学金も安いですよね。ですから、「10年間の(勤務の)義務年限を課せられるぐらいだったら、かかった費用を返してしまって辞めたほうがいいや」となってしまうので、生活費も貸与をして、その分貸与した金額を上げて辞めないような仕組みも必要だということですね。

 生活費も含めて1人当たりどれぐらいになるのか。

村井知事

 これもこれから精査します。1500万円から2千万円ぐらい考えています。ただ、今の素案ですから、もしかしたら2500万円になるかもしれませんし、これは決定していないということです。ご案内のとおり本当にいろいろ検討した結果、急に提出することを決めていますので、「これくらいでやれるだろう」というぐらいの雑駁(ざっぱく)な計算の基に出した数字ですから、もう少し精査をすることになると思います。自治医科大学といったようなところの経費などをよく見ながら検討していきたいと思います。若干の修正はいろいろ出てくると思いますよ。義務年限も、10年だと自治医科大学よりも1年長くなってしまいます。その影響なんかも勘案して、その辺の調整もするかもしれませんし、ですから全て今考えている基本的な考え方という捉え方をマスコミの人はしていただきたいと思います。まだ決まったわけではないのです。

 イニシャルコストに関しては、少なくとも他の5県にも負担は求めないということでいいのか。

村井知事

 まだ分かりません。今のところは考えていないということですね。ただ、これは県立の大学ですから、他の県に求めるのは難しいですよね。ただ、まだ分からないということです。

 先ほど「7月に決まる」という話だったが、それは構想採択1校が決まるということか。

村井知事

 そういうことです。ただ、県立で、県が責任を持ってやるのに、構想で決まった後、「できませんでした」というのはできないので、決まったら何が何でも時期に間に合わせるようにやっていくということです。これから急ピッチで考えます。

 先ほど話が出ていたスタッフ選びのことで確認だが、想定される文部科学省のヒアリングまでにやっておくことは、まず知事のほうで運営責任者1人をヒアリングまでに決めておくということでいいのか。

村井知事

 私の意識の中で決めておきたいと思っています。ただ、当たり前ですけれども、それは外には出せません。

 文科省のヒアリングでそれを提示するわけではないのか。

村井知事

 分からないです。どういうことを聞かれるかも分からないですから。
 先ほど構想の採択時期は7月と言いましたけれども、8月になるかもしれないと今メモが入りました。まだ決まっていない、いつになるか分からないということです。文科省もあまりはっきり「この時期にこうする」と言ってくれていないのです。ヒアリングで何を聞くかというのもはっきり言われていないので、われわれとしてもいろいろなことを想定しながら、見えない中で準備を進めていくということです。私の意思だけでできないことですから、こういうのはなかなか難しいのです。。

 確認だが、スタッフを選ぶことについて、厚生病院は国内外のネットワークで(選んでいく)みたいなことを言っていた。県はまた違うものにはなってはいるが、その構想を受け継いでいるものだと私は認識していたが、その辺の活用方法は何か考えているのか。

村井知事

 もちろん厚生病院さんの考え方なども聞いてみたいと思いますが、厚生病院さんが考えたことが県の考え方では決してありません。厚生病院さんには寄附をしていただけるということでありますので、最大限いろいろな形での考え方ということはよくお聞きしたいと思いますが、あくまでも県立の大学ですので、何度も言うように、厚生病院と県が一緒になって何かをやるということでは決してないということです。あくまでも、(厚生病院は)在野にいて県を応援するという意思表示をされているということであります。従って、われわれが一緒に(なり、厚生病院に)中に入っていただいて何か協議をするということでは決してないということですね。そこだけは間違えないようにしていただきたいと思います。報道を見ると、「厚生会(厚生病院)さんと協力をして(やっていく)」というような報道の仕方が多いのですけれども、全く中に入っていただく気はありません。「協力して(やっていく)」というよりも、「一サポーター」という位置付けにしていただきたいと思います。これは、厚生会さんだけではなくて、これからいろいろなところにサポーターが出てくると思いますので、いろいろな多くのサポーターの中の一つという位置付けにしていただきたいと思います。それはもう喜んで協力を受けたいと思いますし、当然、目黒(泰一郎)理事長さんは大変強い思いを持っておられますので、アドバイスはいただこうと思っております。

 先ほどの質問にあった運営責任者だが、選ぶ人の資質について、例えば経営感覚を重視して、これまで全く医療分野と関係のない民間企業の経営者をスカウトするなどの可能性があるのか。それとも、やはり医学という特殊な分野なので医療関係者から引っ張るのか、どちらか。

村井知事

 これはもう当然、大学の医学部長、(または)医科大学の学長というトップのポジションから始まりますので、そういった方を素人ができるわけがありませんので、医療関係者などそういう資格を持った経験、実績のある、また、その方の人望で優秀なスタッフを集めることができる方ということになります。その際に重要なのは、やはり専門医を養成する大学ではなく、総合医を養成する大学でありますので、臨床や病院経営といったものにも造詣の深い方ということになると思います。また、その他に(付属病院の)病院長という方がおられると思いますので、そういった病院長というのもしっかりとした人をつけなければいけないということですね。そういった人をきちっとつければ、そこからずっと下のほうにおりていく(人材が集まって決まっていく)だろうと私は思っています。組織というのは何でもそうですけれども、要をしっかり押さえるということが重要です。

 東京のほうから引っ張るのか、それとも県内の人にこだわるのか。

村井知事

 今回は、県内の人にこだわったらだめなのです。「地元から引き抜いてはだめだ(地域医療に支障を来さないように方策を講じる)」というのがルールになっていますので、東北大学から引き抜くとルール違反ということになってしまいます。残念ながら引き抜けないということですね。それは「やってはならん」ということが前提になっていますので、東北からは引き抜けない(ということです)。

 先ほど市町村長からの要望の半数近くが医師不足の問題だと言ったが、多くの市町村が要望している中で、栗原に病院を造って、その後派遣するとはいえ、栗原に医師が増えるが、栗原以外の選択肢はなかったのか。

村井知事

 600床の病床を確保するというのが最低限の義務になっているのですよ。600床の病床を確保しているところというのは、県内の自治体病院ではございません。従って、600床の病床を確保するためには、今ある病床の横に土地がないとだめで、しかも良いスタッフを呼ぶためには交通の便も良くないとだめです。あの場所は、くりこま高原駅から車で10分、築館IC(インターチェンジ)から10分と非常に便利な場所ですので、教員に家族がいて「栗原ではなく仙台に住みたい」と言いましても、仙台から通うこともできます。もちろん栗原に住まわれるのがベストだと思いますけれども、家族を仙台に残して栗原に単身で行くということも、20分ほどで仙台まで帰って来られますので可能ですね。そういった交通の要衝であるというようなことも考えましたら、栗原が一番良いのではないかと考えました。
 また、うち(県で)は(県立の)循環器・呼吸器病センターが非常に医師不足で、慢性的な赤字が続いておりました。しかし、あの病院は県内唯一の結核病床を持っているところで、またSARS(新型肺炎)等の感染症の病床も抱えておりますので、これを無くすわけにはいかない(ということです)。さりとて大崎・栗原医療圏から外に出すということになると、また病床の問題がいろいろ課題として浮き上がってまいりますので、あのエリアの中で考えなければならないということであります。
 そういうようなことを総合的に勘案して、あの場所が良いのではないかと思ったところです。時間がありませんでしたので、栗原の(佐藤勇)市長から「ぜひ」と言われましたので、あの場所に決めました。

名取市の愛島東部仮設用地の返還について

 名取市の愛島東部仮設の立ち退き問題で、県と市で今話し合いを住民と進めているが、住民の中には「県に関わりをもっと持ってほしい」というようなことを言っている方、借地契約の当事者は県なので解決のために力を出してほしいと言っている方もいらっしゃるが、それについての所感を伺いたい。

村井知事

 県が土地を借り上げてというあのような地域は、他にもございますが、基本的に、災害公営住宅、また仮設住宅(の用地確保)というのは市町村の役割ということになっていますので、これはやはり市町村が責任を持ってやるべきだと思います。われわれはそれをサポートする側にありますので、県が前にしゃしゃり出て、「ああすべきだ、こうすべきだ」と言うのは行き過ぎだと思います。
 ただ、あの場所は閖上の被災者の方がお住まいでありますので、閖上の(再建の)問題というのは(被災者と名取市の間で)非常にこじれた経緯もございますから、そういった点を考慮して、今回は県も一緒に入っていろいろお話し合いを進めているということでございます。他のところはあまり県が一緒に入ってやっているところはほとんどないと思いますので、特例だというふうに認識していただきたいと思います。名取市さんとよく力を合わせて、穏便な形でお住まいの方に納得していただけるようにしてまいりたいと思います。