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宮城県知事臨時記者会見(平成26年5月29日)

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年6月2日更新

知事臨時記者会見

【発表項目】県立大学による医学部新設について

村井知事

 今週の初めに東北福祉大学、(一般財団法人)厚生会(仙台厚生病院)、栗原市のほうから、「(東北)福祉大学につきましては(医学部新設を)断念する。ついては県として引き続きこの事業を継承してもらえないだろうか。県立(大学)として継承してもらえないだろうか」というお話がございました。県議会で答弁をしておりますとおり、私自身、この医学部の設立につきましては大変強い思い入れがございまして、総理に最初に働きかけ、ここまで頑張ってきたという自負はございました。「県立でやりたい」という思いがございまして、ずっといろいろ検討はしてまいりましたが、私立で「やりたい」というところがあるということ、また、財政的に大変厳しいという事情もあるということ、人手を復興以外のところに割くというのも非常に難しいということで、ここまで「宮城県の私立2校を応援する」という形での県の参画にとどまっていたわけでございます。
 しかし、事ここに至りまして、そのような申し入れがございました。もう一度原点に返って、「どうすることが東北のため、宮城のためになるのか」ということを、ほとんど寝ることもなくずっと考え続けました結果、最終的な判断として、昨日(28日)の夜遅くになりまして、この際、東北の医師不足、宮城の医師不足のため、県北の医師過疎地域における県の役割ということを踏まえた上で、明日(30日)の申請に県立の医学部(を新設し)、宮城県が参画をするという形で申請をするということを決意いたしました。
 一番心配しておりますのは財源でございますが、厚生会や栗原市のほうから「財政的なサポートをしても良い」というお申し出がございましたので、それをありがたく受け入れることにいたしました。また、(新設する医学部の)スペック(運営規模)を最小限のものにいたしました。その結果、当初は4、500億円かかるだろうと言っていたものが、270億円程度に圧縮できるという見込みになりました。また、(医学生修学資金)ファンド(の造成)も120億円要ると思っておりましたが、公立になりますので80億円程度の造成費で済むだろうという見込みでございます。一番肝心のランニングコストでございますが、コンパクトにした結果、当初、県立でやると5、60億円かかると思っていたものが、20億円から30億円程度で収まるのではないかという見込みがつきました。それでも毎年2、30億円の県費持ち出しということになりますので、相当程度財政的には苦しい状況になりますけれども、先ほど言ったような趣旨から、宮城県がやることがこの目的に最も合致したことになると決意をいたしまして、明日の申請に臨むことにしたというわけでございます。
 大学の設置場所については、栗原市築館の栗原中央病院の現在地およびその周辺でございます。病院については引き続き県が使わせていただくことになります。また、循環器・呼吸器病センターの中の、特に結核や感染症(とは別途)、この(一般)病床は栗原中央病院のほうに移す形になります。循環器・呼吸器病センターのスタッフは、今も独法(独立行政法人)の職員でございますので、ほとんど身分が変わらず県のほうにそのままスライドしていくということになります。
 学生数は60名を予定しております。現在、臨時的に定数増で各医学部が対応しておりますが、宮城県の場合は60人で十分だろうと考えております。理由は、全ての入学生に入学金、学費、生活費に充てる奨学金を貸与いたしまして、そのお金を受け取ることを義務として入学を認めるという形にしたいと思っています。その代わり(勤務の)義務年限を10年間設けたいと思っておりまして、10年間は東北の自治体病院で勤務していただく(ことを考えています)。もちろん10年間の間はずっと自治体病院で働くということではなく、時に研修等もやっていただき、スキルアップもしていただきながら、10年間は我々のコントロールの下で研修をし、仕事をしていただくということを考えたいと思っております。いわば東北版、宮城版の自治医科大というような形になるというイメージであります。
 時間がありませんでしたので、急遽(きゅうきょ)書類を間に合わせて明日提出いたします。提出は担当の者に行かせる予定となっております。今、東北薬科大学さんと福島県の郡山市にあります総合南東北病院が新たな法人を立ち上げていくということでありますので、3つの中の1つが選ばれるということになります。手を挙げた以上は、宮城県が選ばれるように全力を尽くしたいと思っております。
 なお、薬科大学さんには急に県の方針が変わったということで、いろいろ混乱するような形でご迷惑をおかけしたと思っております。提出期限が差し迫った中でどのように調整するのかという時間がありませんでした。今のところは、薬科大さんはそのまま書類を提出するというご意向でございますので、これはその意思を当然尊重しなければならないと思っております。東北薬科大学さんが選ばれた場合には、県が30億円補助すること、またファンドを造成し支援をすること、その他行政としてできる支援は必ずしてまいりたいと思っております。今回の選定については当然同じ立場で臨ませていただきますが、薬科大さんが選ばれたあかつきには、全力で薬科大さんをサポートすることはお約束をしておきたいと思います。また、逆に県が選ばれたあかつきには、(医学部と)薬学との関連というものは当然出てまいりますので、東北薬科大学さんにはいろいろな形でご支援もお願いし、遠慮なくご支援をしたいと思っております。

 医師、教授等の確保策はどのようにお考えか。

村井知事

 これからです。ただ、「地元の学校や医療機関から引き抜きをしてはならぬ」というのが大前提になっておりますので、極力東北以外の地域から協力をいただくという形にしなければならないと思っています。ただ、「どの程度」、「どうするのか」というところまでは、まだ至っておりません。まずはそういった部分よりも、明日の申請に間に合わせるぎりぎりのところまでで止まっているということで、ご理解をいただきたいと思います。
 栗原は人口減少が続いている地域でありますので、普通の病院を造るだけでは間違いなく(人口減少で)患者さんが減り続けると思いますから、それこそ(大学の)附属病院のように遠くから患者さんが来てくれる、魅力のある病院にしなければ経営は成り立たなくなると思います。従って、やはり良いお医者さん、良い先生に来てもらえるように努力していきたいと思います。これから、いろいろな人のアドバイスを受けながら、教員あるいは医師の確保については私が責任を持って選んでいきたいと思います。

 今月19日に栗原市長が要望に訪れた際、知事は「県内で2つ手を挙げていると1つに肩入れはできない」と言ったが、今回県が当事者として出たことは、ある意味厚生病院側に肩入れしていると見られても仕方がないのではないか。その件についてはどうお考えか。

村井知事

 決してそうではありませんでした。中立にやってきまして、質問を受けた場合には両方に丁寧にお答えをいたしました。こういう書類を見てほしいと言われれば、丁寧に見てアドバイスさせていただきました。それは薬科大さんにも福祉大さんにも全く同じスタンスでやっておりましたし、補助金の額についても同じ額でやっていました。ただし、循環器・呼吸器病センターを引き受けていただきますので、その分の(職員の)退職金等のお金が移動しますから、その分についてはさらに上乗せをしなければいけないと思って検討している矢先にそのようになりました。しかし、それは当然のことでありますので、私としては中立にしてきたと思っております。ただ、先ほども言ったように、状況が全く変わってしまって、あのような要望をいただき、私自身がもう一回リセットボタンを押して、ゼロベースで「どうすることが東北にとって、宮城にとって良いのか」ということを考えたときに、「県立でやることが良いだろう」と、「薬科大さんにお任せをするよりも、郡山の病院にお任せするよりも、宮城県が東北のために立ち上がるほうが良いだろう」と判断したということであります。だから、潮目が変わったのは、今週になってからということでございます。従って、それまでの対応と今週の火曜日以降の私の心の動きが変わったということで、ご理解をいただきたいと思います。

 27日に要請があって、わずか2、3日で方針転換ということで、今後県民および議会に対して説明責任があると思うが、どう考えるか。

村井知事

 これはもう時間がありませんでしたので、十分な説明ができませんでしたが、今日(29日)主立った関係者、議員の方には全てショートメールでしたけれども送らせていただきました。県民の皆さまにはこの(記者会見により)マスコミの皆さんを通じて、まずはお伝えをしたいと思っております。しかし、総じて皆さんの受け止め方は好意的でありました。「それは困る」とおっしゃった方は、今のところおりません。もちろん中には否定的な方もおられるかと思いますが、「私は決して薬科大さんがだめだということで手を挙げたわけではない。福祉大さんが降りたから手を挙げたわけでもなく、1回リセットボタンを押して、やむにやまれぬ気持ちで手を挙げた」ということについてはご理解をいただけると私は信じています。

 今日、内外情勢調査会の講演の中で、知事が決定された理由として「県北地域の医師派遣の拠点確保、あるいは東北各県との連携は行政が主体的に行う必要がある」と言った。行政が主体的に行う必要というのは、もともと私立大学と言っていたのと正反対のことだし、県北地域というのも福祉大や厚生病院の構想のままなので、矛盾しているように思うがいかがか。

村井知事

 私立が(医学部新設すると)決まっても、われわれがその間に入らないと医師の派遣等について調整はできないと思っていました。またファンドの造成についても、我々が間に入らなければいけないと思っていました。これが今度、我々が直接やったほうが当然ストレートで分かりやすいということですね。県北の医師不足は大変本当に深刻でございまして、皆さんもいろいろ聞いていただくと分かると思うのですが、ちょっと重い病気になると栗原の方はみんな(岩手県)一関市のほうに行かれているのですよね。宮城県民なのに一関の病院にお世話になっている方がほとんどなのです。これはものすごく重要な問題です。栗原、登米では産婦人科がなくて、子どもが産めないのです。そういうことがあって、大変重く受け止めていました。
 決して肩入れしていたつもりではありませんけれども、まず一つの大学として福祉大学さんが栗原に手を挙げていたわけですね。これが手を降ろしたということで、もうこれで選択肢はなくなったわけですので、県北の皆さんの今の地域医療というものを考えて、「どうしたらいいものだろうか」と、そこでまた立ち止まって考えたということなのです。だから、先ほども言ったように、これは話し合いをずっと継続していたわけでなくて、私としては今週の火曜日に三者が来られて話をしてから、全く白紙に戻してもう一回冷静になってずっと悩み続けて考えたということです。しかし、それまでにずっと積み上げていたいろいろな資料等もございましたし、検討は当然今までずっとしていましたので、そういった基礎的な資料等があった上に、私の判断が乗っかってこの短期間で判断したということです。まだまだ十分な検討をしたとは言い難いのですが、明日に提出しなければなりませんので、ここで皆さまに意思表示をさせていただいたということであります。

 今まで県立というのは見送っていたわけだが、見送っていた最大のネックは何だったのか。また、それをどう解消したのか。もう一つ、今回の決断をするに当たって、迷いやためらいはなかったのか。

村井知事

 一番のネックは財源です。今でもネックに思っておりますが、先ほど言ったように4、500億円かかると思っていたものが、何とか270億円で、300億円を切る程度でやれるということが分かりました。また、学生数を60人にすることによって、教員も最低限、そして関連教育病院が必要ありませんので、そういった負担がなくなります。関連教育病院も造りますと、そこに学生が行って帰ってくるといった交通手段も考えなければいけないのですけれども、そういったものも必要なくなります。宮城大学の中に設置するということになると、宮城大学の教養課程をうまく活用することができます。そういうふうにして、できるだけ削れるものを削っていくと、何とか(ランニングコストを)2、30億円でやれるのではないかという見込みが立ってきたことが一番の点です。
 それから、迷い、ためらいはなかったのか(ということですが)、昨日の夜までございました。昨日の夜、1時、2時まで悩みました。そして、その結論に至ったということです。

 政治家として決断を果たした今の率直な心境と、県北だけではなく東北全体に貢献するような大学にしていくことが必要と思うが、どういった医者を育てていきたいかを伺う。

村井知事

 これは決まっておりまして、特定の専門領域だけに特化した医師ではなくて、全ての診療科全体を俯瞰(ふかん)して診られるような総合医、しかも郷土愛があって、東北の人のために頑張ろうと思えるような人に来ていただきたいなと思います。

 東北薬科大学を全力で応援するという選択肢がなかった理由を、もう一度伺う。

村井知事

 東北薬科大学も非常に素晴らしい大学です。明日提出される提案書も恐らく非常に熟度の高いものだと私は思います。また、経営も安定しておりまして、素晴らしいと思います。また、私の家のすぐ近くの薬科大病院を持っております。私は決して薬科大学が不適だとは思いません。ただし、先ほど言ったような理由から、より宮城県がやるほうが東北のために、宮城のためになると考えたということで、比較検討した結果、我々がやったほうがいいだろうと考えたわけであります。決して薬科大だったらできないと考えたわけではないです。我々がやったほうがよりいいだろうと考えただけです。

 薬科大と郡山の大学の2校が新設を考えているところに、官である県が入っていくということで、「官から民へ」というところと逆行する形になる気がするが、そのあたりはどうか。

村井知事

 おっしゃるとおりです。私は知事になりましてから、ずっと「民の力の最大限の活用」ということを言い続けてまいりました。今でもそう思っています。いろいろなことをそうやってきているのです。今回の件も、そのポリシーに基づいて、民間の私立大学でやっていただけるなら、これほど良いものはないだろうと思ってここまで来たということですね。しかし、今週の火曜日のあの一連の問題が出ました。これ(医学部新設)はやはり命に関わる問題です。ここに来るまでに、私も本当に数年かけてやってきているのです。急にぽっとその話題が出て飛びついたわけではなくて、何回も政府に働きかけをして陳情、要望して、いろいろな国会議員の先生方にお願いして、役所に行ってとやって、ここまで積み上げてきた私も責任があるのですよ。それを自分が、「これがベストだ」と思う選択肢があるにもかかわらず、別の選択肢を「財政的な問題から少しでも軽くなりたい」という心だけで譲っていいものだろうかと、そのどちらを採るのかということで悩み続けて、結果として自分のここに至るまでの何日間も何日間も考え続けた熱い思いを成就することが、結果としては東北、宮城の県民の命のためになると判断したということです。
 だから、県民の皆さんは理解してくれると(思っています)。かなりの税金を使いますから、その分、他の施策にしわ寄せが多少来ると思います。当然、その分どこかを削らないといけませんから。それは県民の皆さんにご理解いただけるものと私は思っています。

 民間が立候補し、それを応援団という形で県は応援してきた。けれども、そういう形で1校がなくなってしまった。もともと知事の胸中には、県立でやりたいという思いがずっと底流にあって、そこに破綻劇があって、(栗原市や厚生会から)財政支援が受けられるということになったから、今回の申請につながったということか。

村井知事

 お金が来たからということでなくて、栗原(に医学部新設)という目がなくなって、(厚生会さんと栗原市さんに)「県でやってくれ」と言われて、「ではもう一回立ち止まって考えよう」ということで考え計算しました。そこで栗原市さんからも厚生会さんからもそういう(財政支援の)申し出があり、その計算が入ってなかったですから、もう一回計算をし直しました。そして、「できるだけコンパクトにしてやれば、ぎりぎり何とかやれるのではないか」という思いがあって、そういう試算も出てきたので、ではここで飛び出したほうがいいだろうと判断したということですね。単にお金だけの問題ではないのです。最大のネックはそこにあったのですけれども、そこが何とかクリアできそうになったということです。