掲載日:2012年9月10日

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みやぎ景観懇話会/第5回議事録

第5回みやぎ景観懇話会の開催概要

第5回みやぎ景観懇話会の様子です。

日時:平成20年3月26日(水曜日) 13時から

場所:宮城県行政庁舎 11階 第2会議室

会議資料

次第(PDF:38KB)

景観行政における取組・成果について

資料1(PDF:172KB)

登米市の景観について

資料2(PDF:7,875KB)

「みやぎ・身近な景観百選」事業について

資料3(PDF:244KB)

「みやぎ景観フォーラム」の概要について

資料4(PDF:578KB)

新・宮城県景観形成指針

資料5(PDF:18,112KB)

次第

1 開会

2 あいさつ

3 議事

(1)平成19年度における県の取組・成果について

遠藤都市計画課長及び樋口(財)宮城県建築住宅センター理事から資料をもとに概要を説明した後,意見交換。

(横山委員)
景観行政団体に名乗りを上げてくれたのが登米市だけというのは,やっぱり宮城県だなと感じる。いろいろなことに共通するが,やはり成功事例がないと,なかなか自分から一歩足を踏み出すことができないという県民性があるように感じる。きっと登米市が4月1日から景観行政団体になることで,いろいろな実績が具体化されると,各市町村の方々も次々に手を挙げて,補助金が足りないくらいになると予想される。他県では景観を守らないと,人は来てくれないし流出してしまうという危機感を持っている。宮城県はそこまで迫られている状況でないにしろ,一つひとつ実現をしていかないと,美しい日本風景が宮城から消えてしまうので,積極的に取り組んでほしい。
ところで,どうして市町村は景観行政団体に手を挙げないのか。例えば,予算措置していないため,行動できなかったのか。それとも専門的な方がいないためなのか。いくつかの理由があるかと思うが,どのような状況だったのか。

(遠藤都市計画課長)
実際に訪問し景観行政団体の話をさせていただいた市町村の反応だが,首長さんが乗り気の市町村もある。しかしながら,厳しい財政事情や組織が縮小している現状の中で,景観行政団体になって実際に景観計画を策定したり,景観区域を指定する際に働く実働部隊に不安があるなどの答えがあった。
もう一つは,まだ,首長さん自身が景観に対してそれほど強い関心がなく,もう少し様子を見て上手くいくようであれば,手を挙げてみようかくらいの反応が大部分であった。

(布施委員)
登米市の場合は,合併前の登米町がまち並みづくりを進めていたという土壌があったため,それが後押しをしてくれたのは間違いと思う。しかしながら,合併後の市や市民の感覚は,登米町が今まで取り組んでいたからその延長だろうという部分があり,市全体で行動することに対しては腰が重かったというのが現状である。
また,景観というと,どうしてもまち並みという印象を強く思ってしまい,都市部の住宅地であれば,建物が景観の大きな要素を占めているが,登米市の場合は,自然風景の方がむしろ景観と言った場合に,範囲も広く印象として受ける部分も多い。そこを,どんなふうに我々自身も考えていくのかを,市民の方々にも問いかけをしていきたい。
そういった意味から,その地域に住んでいる我々も景観の一部であるという意識付けが出来たら良いと思っている。

(横山委員)
実働部隊に不安がある市町村などには経験者を派遣するなどしないと,良い景観が消えてしまう恐れがある。また,予算が無ければ無いなりに知恵を出して,別の案でやるという意志をきちんと持って協力していかなければいけないと思う。
指針は大変良く出来ている。しかしこれだけでは絵に描いた餅なので,これを具体的なものにするには,待っているだけでは出来ないと思うので,意志を持って取り組むことが必要だと思う。

(大村座長)
景観行政団体を進める方策として,景観アドバイザーなどを活用してもらいサポートをしていく方法などもある。
他県のある大学では,地元の人たちだけではやれないことを応援している事例もある。そういったことから,本県でもNPO法人や大学など組織の中で動きがあってもよいと思う。

(伊藤委員)
私自身も,山口県で景観アドバイザーをやっていた。向こうでは,アドバイザーになる人達は半年くらい講習を受けてから,アドバイザーをして認められ,みんなが共通認識を持ってから行動していた。最近の情報では,アドバイザーとして経験のある人が,今後アドバイザーになる人達の講師を行い,そこから広がりサポーターとしての実働部隊もあるようだ。宮城県では,まだ始まったばかりであるため,内部の人間だけで行動しているようだが,公募などを実施し,もっと広げていかないと進んでいかないと思う。

(平野委員)
行政の人達は,やらなければならない状況になると行動し始める。状況をきちんと作ってあげると,行政の方は頑張って仕事をしてくれる。県としては,市町村の職員がやる気が出るような,研修の実施や他県の事例を教えてあげて,職員の不安を解消させるようなことも必要ではないか。やはり,景観行政団体に移行するに当たって,実際の業務に携わる職員の方が要であるため,その職員の支援していくことが大切だと思う。
次に,20年度以降のお話だが,県の公共施設整備の指針や景観審査をどうしていくのかは,国の施策を参考にするのがよいと思う。今年度の4月から景観アセスメントという呼び方をやめて,景観検討の基本方針(案)となり,全事業でやっている。ただ、残念なことにまじめに景観検討の基本方針(案)に取り組んでいるのは,東北地方整備局くらいである。また,東北地方整備局では,今年度実施する各事業について,景観が大事かそうではないかのアンケート調査を実施し,大事とされる場所が数十箇所あったため,それに関しては,アドバイザーを入れるなり,検討委員会を設けるなどして,きちんと取り組むこととなった。一般検討事業については,既に国のほうで策定している指針を基に取組むこととなった。やはりポイントになるのは,外部の人間を入れることが必要になると思う。
最後に,今後,景観行政団体になる市町村が増えてくると思うが,県も景観法及び現行制度の活用と景観基本条例等の制定の検討を本格的に考える時期ではないか。景観的に良い資源がある市町村については景観行政団体に移行していくと思うが,そうでない部分を景観的に県土全体としてどうしていくのか,また県も景観行政団体として景観計画をどうしていくのかを,考えていかなければならないと思う。

(大村座長)
宮城県は他県と比べて動きが悪いと感じるので,みんなで知恵を出し合ったり,サポーターをつくるなどして,活動していけばよいと思う。

(2)登米市の今後の取組について

布施登米市長及び高橋登米市都市計画課長から資料をもとに概要を説明した後,意見交換。

(森山委員)
やはり景観だけでは,なかなかみんなの同意も得られないと思うし,推進という力も出てこない。まちが今後どんなふうにまちをつくっていくのかという将来のビジョンがハッキリしていて,産業と景観の結び付きがないと,なかなか事業化ができないと思う。ぜひ,まちの総合計画や都市計画担当の方と一緒に景観形成を考えていただき,計画だけではなく長期のものと短期のものといろいろ見方も出てくると思うので,できるところからやることも必要だと思う。まち全体をつくっていく中で,景観計画を作成していただければ,実効性のあるものが出来上がるのではないかと思う。

(平野委員)
森山委員の言うとおり,景観法は非常にジェネラルなもので,縦割り行政の壁を越えることのできる初めての法律であると感じている。まちがこれからどうなっていくのか,どうしていくべきなのかなどの基本的なビジョンと密着関連させられることの出来る計画になるので,将来のビジョンを明確にした上で,計画を作成すれば素晴らしいものが出来上がると思う。
また,計画を作成するに当たって,どのコンサルに委託するのかが重要になってくる。まちづくりの方向性等をきちんと検討出来るような懇話会のメンバー必要になってくるし,実際に業務として動くコンサルタントがどんな能力があるのか重要になるので,懇話会のメンバーは幅広い分野から構成するのが良いと思う。業務委託については,ヒアリングを含めた技術プロポーザルで実施すると良いのではないか。さらに,知識や経験のある方に内部評価員として参加していただき,間違いのない力のあるコンサルタントに業務委託しないと失敗してしまう恐れがあるため,慎重に選んでもらいたい。

(柴崎委員)
皆さんはいままで,各市町村にはそれぞれいろいろな景観となるものがあると述べられているが,その町に含まれている同質性のものと異質的なものが十分に把握されていないように感じる。例えば,伊豆沼を取り巻く丘陵地帯は非常に低い地帯となっており,北上の丘陵地帯とは一緒に括れない性質をもっているのではないかと思う。そういった違いを把握していないと,景観の区分がまったく違うものになってしまうのではないか。持っている自然は各市町村違うことを把握しなれければならないと思う。今すぐの話ではないが,そういったところを見極めた上で,景観の業務に反映できるような捉え方をしなければならないと思う。

(横山委員)
平成19年2月に行ったパネルディスカションでの感想は,住民の方がミニ東京を求めているように見えたことだ。これはどこでもありがちな話で,便利で快適な暮らしを一度経験すると,自分のまちにすべてほしいと思ってしまうことは当たり前のことだと思う。
登米市で言えば9町が合併したことにより,様々な景観資源が出来た。みんなが情報を共有していかないと登米市に負担がかかると思われる。やはりみんなが活用できる環境づくりが必要だと思う。

(3)「みやぎ・身近な景観百選」事業について

遠藤都市計画課長から資料をもとに概要を説明した後,意見交換。

(森山委員)
15年前くらいから川崎町の景観を撮っており,いろいろな綺麗な景観があるが,今回の景観百選の応募において,景観を大事にする視点は,市町村ではなくて,宮城県としての視点から選ばれると景観がより活きると思う。県や東北のレベルでの視点から景観を選んでいただきたい。また,県から応募の呼びかけをする時は,そういった声かけをしてもらいたい。

(大村座長)
登米市からの応募は多いことから,やはり意識が高いと感じる。

(平野委員)
どういった方法で広報をしているのか。ホームページや広報等の他に特別な働きかけなどをしているのか。

(遠藤都市計画課長)
プレスリリースはできるだけ書いてもらえるようにと,新聞記事にしていただいている。あとは,ラジオでもニュース的なかたちで報道してもらっている。しかし,知名度が低いと事務局側も感じている。

(平野委員)
応募された写真を見ると,本格的に写真をやっている人の作品があると感じる。県内のアマチュア写真家協会のようなところがあれば,風景に敏感なそういった人達への直接的な働きかけなどにより,もう少しいろいろな応募があるのではないかと思う。

(森山委員)
農学の造園系や美術系の画家の方達,あと強いて言えば文学だと思うが,その各分野の方には風景についていろいろ本を書いてたり,写真なども撮られている方もいるので,調べてみるのも良いと思う。

(大村座長)
漠然と募集しても難しいと思うし,風景などに詳しい方にいろいろお願いして見ると,相当な応募が期待出来たりするのではないか。

(伊藤委員)
ただ,投げかけるだけではなく,公の場所に展示するなどの張り合いがあると,応募も増えてくると思う。

(遠藤都市計画課長)
まだ決定していないが,入選した作品は県庁の1階ロビーに展示をしたいと思っている。また,岩手県では,ホームページで公表しているので,本県でもホームページ等で公表したいと考えている。

(大村座長)
県民の皆さんが参加できる環境をつくってほしいと思う。

(柴崎委員)
歴史的建造物の景観や自然風景の景観など区分ごとに分けて紹介してみるとよいのではないか。

(遠藤課長)
指針のなかで区分ごとに分けている部分があるので,それをもう少し細分化したうえで公表していきたい。また,作品は視点場も特定しているので,事務局の希望ではあるが,将来的には,景観を害さない程度に視点場の紹介もしていきたい。

(大村座長)
景観百選の応募についても,景観に対する意識を持ってもらうベーシックな仕事なので,力を入れていただいて,多くの方に関心を持ってもらう仕組みをつくってもらいたい。

(4)その他

(大村座長)
今回の懇話会が最後となりますので,懇話会の感想などについて皆さんに一言いただきたい。

(磯田委員)
景観行政に対して市町村職員の関心が薄いことは非常に残念であるが,景観を推進していきたいと思っている首長もいると聞いている。まずは,町民と職員の意識の向上が必要なことと,町がどういったビジョンで進めていくのかなどの話し合いが必要と感じる。また,どのコンサルに委託するのかも,非常に重要なことだと思う。多数決では決まらないことがたくさんあるので,私も松島町の住民として参加し考えていきたいと思っている。

(伊藤委員)
何事も初めは一番大変だと思うし,最初からは上手くいかないことが多いが,「身近な景観百選」などで,県民の方にも関心を持ってもらえたよいと思っている。せっかくこのような機会を設けていただいたので,今後もアドバイザーなどに関わることが出来たらよいと思っている。

(柴崎委員)
国が景観法を施行したことは心強く思っている。しかし,この景観が県民に定着していくのは,相当の時間がかかるとも思っている。景観というのは,本質を見極めていくと自然そのものであり,我々の考え方の基本を問いただされているような問題でもあるため,長い時間をかけて定着させていかなければならないと思う。
具体的な問題を掲げると行動するのも早いと感じる。だから,まわりにある問題に早く皆さんが気付いて,共通の理解をすれば,協力のもと行動出来る。そういったことの積み重ねだと思っている。将来的には,県民の皆さんが身近な景観について考えてもらうような「みやぎ景観の日」的なものを作ってもらうのも良いと思う。

(平野委員)
行政の組織は内部だけではなかなか動かず,外部の人間を入れて外圧を設けると,内部的には調整つかなくても動くことがある。そういったことから,なんらかの形でこういった会議を持ち続けていただきたいと思う。景観となると,今までの仕切と違うことをしなければないことも多いため,その時はこういった外部の人間を入れた形で進めるとスムーズに行くと思う。

(布施委員)
登米市が景観行政団体に移行するための後押しをいただいたのは,この懇話会に参加したことが大きなきっかけだと思っている。その中でいろいろと感じたことは,やはり無いものねだりをしてしまうのが人間の性なのかなということと,そう言った思いも持ちつつ自分の住んでいる地域をどうしていくのかという視点を持つ必要があるということである。
今までの風土は,歴史的な景観のある地域に,ハウスメーカーの住宅が建築される状態であったため,地域そのものを壊してしまうようなきっかけにもなっていると感じるので,自分自身も景観の一つという意識を作っていきたいと思う。
どの自治体も協働のまちづくりみたいなものを掲げて取り組んでいるが,やっぱりそこが基本だと思う。生活していく上で自分一人では生活出来ないということは,まわりの風景や人とどのように調和をとって生活をしていくのか,それが出来ることが住みよいまちづくりに繋がっていくのだと感じる。そのような視点の中で,登米市では景観行政団体を一つの大きなくくりとして,セクショナリズムを壊す大きなきっかけとなる取組に進めていきたい。
また,登米市では自然環境保護調査を市内全域で実施しており,植物の植生,昆虫や動物の生息状況,そして地質調査を行っている。その視点も併せながら,市の環境課との連携の中で,景観行政団体の取組をさせていただきたいと思っている。

(森山委員)
景観づくりにとって大事なことは継続性と,地域の資源を地域で活かしていくことだと思う。もう一つは,造園の分野からの景観づくりというのは,美しさと求めてしまう。目で見た綺麗さが通常の美しさになるが,それだけではなくてエコロジ感とか,それに含まれる安心ややすらぎなどのいろいろ意味が美しさの言葉に含まれると思うので、どこかで景観を語る時には,その美しさを広い意味で考えていただくような景観づくりをみなさんと一緒にしていきたい。

(横山委員)
景観はなくてはならないものと思っている。美しい景観の中に住んでいると,たとえ食べる物やお金が少なくても豊かな気持ちでいられたり,詩や小説が生まれたりと,人にとって無くてはならないものを生み出す一番大事なものだとずっと思っていた。私は仙台生まれの仙台育ちだが,今後,仙台のまちがどうなっていくのか不安を感じている。昔はあった都市景観が少しずつ無くなっている状況である。私自身そういった景観を守れなかった一市民として責任を感じている。そういった後悔をしないためにも,みんなでいろいろなものを共有して,人任せにはせずに,自分も関わっていかなければならないと感じている。
景観を守るためには,職人の技術も必要だと思っている。職人の技術をつくるのも,景観の仕事だと思う。そのためにも,組織体制をきちんと構築して,景観づくりに取り組んでいただきたい。

(樋口(財)宮城県建築住宅センター理事)
全国の景観アドバイザーにはどのような方がいるのか調べたところ,大方,大学の先生方である。やはり私を含めたアドバイザーの人達も,研修等を実施して,ある程度目線を一緒にしないとアドバイザーの中でも考え方などの違いが生じてしまう。
また,景観と考えると必ずいろいろなことが規制されてしまう。そうすると,日本そのもの景気浮揚の話の中に,逆行するというジレンマを感じてしまう。必ずしも,全てを承認できない部分も認識しながら,動いていかなければならないと思っている。
最近では,景観に対する考え方が浸透してきている経緯があるので,我々がその辺をもう少し動かしていけるような方向にすればいいのかなと思っている。

(大村座長)
この種の仕事は,みんなが少しずつわかってきて自分も力をいれようと思うまでに継続することがとても大切だと思う。そのためには,地道な活動も必要だし,イベントなどで周知していくことも大切なことだろう。
景観百選なども,住んでいる人が選ぶということも大切なことだが,同時にある種のプロが見て,地元の人が当たり前で特別だと思っていないものを,切り取って感動されることもあることから,幅広く集めることができたら良いと思っている。
最後に,全ての事業を県だけがやるのではなく,自分のミッションとしてやる工夫も必要だと思う。

4 閉会

お問い合わせ先

都市計画課行政班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-3132

ファックス番号:022-211-3295

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