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掲載日:2022年3月3日

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宮城労委平成18年(不)第1号・第2号併合事件

平成19年6月25日命令書交付

(この命令は労働組合法に基づく和解の認定により失効しています。)

1.事件の概要

本件は,Y1会社及びY2会社が,組合が行った申立外A会社(平成17年9月操業停止,平成18年4月清算。)の工場閉鎖に伴う労働者の雇用確保,生活保障に関する団体交渉の申入れに対して,組合が自社の雇用する労働者の代表者でないとの理由でこれに応じなかったことが,労働組合法第7条第2号(団体交渉拒否)に該当する不当労働行為に当たるとして,救済申立てが行われた事件である。

2.命令主文の要旨

Y1会社及びY2会社は,組合が申し入れた,A会社の工場閉鎖に伴う労働者の雇用確保,生活保障に関する団体交渉に応じなければならない。

3.判断の要旨

(1)組合の申立人適格について

組合員であるX1は,A会社において係長の職にあったが,X1は労働組合法第2条ただし書第1号に規定する者には該当しないと認められる。よって,組合は,同法第2条の規定に適合する労働組合と認められる。

(2)被申立人の使用者性について

Y2会社の使用者性

A会社の閉鎖・解散について,直接的な意思決定はY1会社が下したものと認められるが,Y2グループ内の企業再編というグループの経営戦略に関わる重大な決定が,Y1会社単独で決められるとは通常考えられず,Y1会社の唯一の株主であるY2会社の主導(具体的方針の指示ないし承認)の下に決められたとみるべきである。以上のような事実を総合すれば,Y2会社は,A会社の閉鎖,解散という問題に関しては,不当労働行為救済制度の適用を必要とする程度の現実的で具体的な支配力ないし影響力を有し組合との団体交渉に応ずるべき地位にあると解すべきである。

よって,本件団体交渉事項に関しては,Y2の使用者性を認めることが相当である。

Y1会社の使用者性

A会社の業績は,おおむね親会社であるY1会社の意思により左右される関係になっていたこと,A会社の取締役全員がY1会社からの出向等によっていたことなどから,A会社は,実質的には,Y1岩手工場の一製造部門としての役割を担っていたと考えられる。
また,A会社の閉鎖は,Y2会社の意思を踏まえ,Y1会社の構造改革の一環として,Y1会社が決定したものと認められる。以上のような事実を総合すれば,Y1会社は,A会社の閉鎖・解散という問題に関しては,不当労働行為救済制度の適用を必要とする程度の現実的で具体的な支配力ないし影響力を有し組合との団体交渉に応ずべき地位にあると解すべきである。

よって,本件団体交渉事項に関しては,Y1会社の使用者性を認めることが相当である。

(3)団体交渉義務の履行について

組合とA会社は6回の団体交渉を行い,Y1会社から取締役1名が団体交渉に2回出席したが,Y1会社は,団体交渉の当事者ではないという留保を付したうえで,組合側の声を聞いたに過ぎないというべきであるから,同取締役の出席をもって,組合とY1会社との間の団体交渉がなされたと評価することはできない。
また,組合とA会社との間の団体交渉及びその後のトップ交渉の経緯にかんがみると,形式的にも実質的にも,Y2会社及びY1会社が誠実な団体交渉義務を履行したとはいえないと考えざるをえない。

お問い合わせ先

労働委員会事務局審査調整課 審査班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号(宮城県庁17階北側)

電話番号:022-211-3782,3786

ファックス番号:022-211-3799

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