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(古川農業試験場 土壌肥料部)
食品衛生法の国内基準値の改正に伴い,2011年2月にコメ(玄米および精米)のカドミウム濃度の基準値が「1ppm未満」から「0.4ppm以下」に引き下げられました。基準値を超えるコメの産出量を減少させるため,汚染地域では湛水管理に取り組んでいますが,砂質土壌のほ場など水持ちの悪いほ場ではうまく湛水管理できず,基準超過米を産出してしまうことがあります。
また,Codex委員会はコメ中のヒ素の国際基準の設定に動き出しています。コメ中のカドミウムの低減対策である湛水管理(土壌を還元状態に保つ)は土壌中のヒ素吸収を促進させてしまうため,今後の基準値設定によってはヒ素対策も考えていく必要があります。
2012年3月に(独)農業環境技術研究所が,東京大学,(独)日本原子力研究開発機構と共同で,イネ品種コシヒカリにイオンビームを照射することで,カドミウムをほとんど蓄積しない突然変異体(コシヒカリ環1号)を開発したことが発表されました。
本試験ではこの「コシヒカリ環1号」を用いて,通常の間断かん水条件下で,汚染土壌でもカドミウムの基準超過米を産出しないこと,およびヒ素の吸収低減効果について現地ほ場で確認していきます。
(Codex委員会:国際的な政府間機関で国際食品規格等の策定を行っている)
図1:玄米中カドミウム濃度(水分15.0%に換算) 中干し以降間断かん水で栽培(Cd:カドミウム)
図2:玄米中ヒ素濃度(水分15.0%に換算)As対照は出穂前後50日間湛水管理,中干し 間断かん水で栽培(As:ヒ素)
図3:試験ほ場(出穂後約30日)同じほ場にコシヒカリとコシヒカリ環1号が植えられています
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