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(古川農業試験場)
フェストロリウム(図1)は多収性,良質性,永続性,越冬性,越夏性を持つイネ科多年生新牧草であり,東北地方において今後転作牧草としての普及が見込まれます。フェストロリウムはライグラス類とフェスク類の属間交雑種であり,穂の形態的な特徴がイタリアンライグラスと類似していることから,イタリアンライグラスと同様に,斑点米の原因種アカスジカスミカメの発生源となる可能性があります。そこで,フェストロリウムにおけるアカスジカスミカメの産卵と発生消長を調査しました。
アカスジカスミカメ雌成虫にフェストロリウムの穂を与えた場合の産卵数は,イタリアンライグラスの穂を与えた場合と同等であることが明らかになりました(図2)。また,フェストロリウムを栽培したほ場では,出穂後に成虫が発生し,その後はイタリアンライグラスほ場と同様に若齢~老齢幼虫が確認されました(図2,図3)。
以上のことから,フェストロリウムはアカスジカスミカメの発生源となる可能性が示されました。よってフェストロリウムを栽培する場合は,イタリアンライグラスと同様にアカスジカスミカメの発生源対策を行う必要があります。
(平成24年8月2日掲載)
図1 出穂したフェストロリウム
注1)品種はバーフェスト
図2 イタリアンライグラスおよびフェストロリウムの穂に対するアカスジカスミカメの産卵数
注1)n.s.:Wilcoxonの順位和検定,P>0.05
図3 牧草地におけるアカスジカスミカメ成虫の発生推移(左図2009年,右図2010年)
注1)すくいとり虫数は2反復の平均値
注2)図に示した白矢印は牧草の出穂期,黒矢印は牧草が枯死した時期,黒三角は草刈り時期である。
図4 牧草地におけるカスミカメムシ類幼虫の発生推移(左図2009年,右図2010年)
注1)すくいとり虫数は2反復の平均値
注2)若齢は1~2齢、中齢は3~4齢,老齢は5齢幼虫を示す。
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