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(古川農業試験場)
昨年3.11の東日本大震災における甚大な被害は我々の記憶に新しいところです。さて,津波による被災や除塩の実施による栽培条件の違いが,病害虫の発生に与える影響は明らかになっていません。作物が栽培できず休耕した水田では,雑草が繁茂し斑点米カメムシ類の発生が懸念されました。このため,古川農業試験場では被災水田および休耕田において病害虫の発生実態を調査しました。
病害虫の発生調査から,被災水田では一般水田と比較し発生が多い病害は認められませんでした。虫害では,イネツトムシとヒメトビウンカの発生が多くなりました。これは,除塩作業に伴う移植時期の遅延による生育ステージの遅れが,両害虫の発生を助長したと考えられますが,実害が生じる程ではありませんでした。
休耕田では,7月下旬から8月上旬にイヌビエとコウキヤガラの発生が確認され,すくい取り調査を実施したところ,いずれの水田でもアカスジカスミカメとアカヒゲホソミドリカスミカメが捕獲され,これら雑草の穂から両カメムシ幼虫のふ化が認められました。
被災水田においても慣行の病害虫防除を行いますが,突発的な病害虫が認められた場合は追加防除で対応します。休耕田では斑点米カメムシ類の発生源を抑えるため,雑草が繁茂する前に除草を行う必要があります。
(作物保護部)
(平成24年8月2日掲載)
イヌビエの穂に集まったアカスジカスミカメ成虫
コウキヤガラの穂に集まったアカスジカスミカメ成虫
休耕田に繁茂したコウキヤガラ
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