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掲載日:2012年12月12日

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トピックス(H24)/大豆における生物多様性の指標生物と評価方法の開発

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(古川農業試験場)

本県の大豆の生産面積は、大規模な水田輪作の中で著しく増加しましたが、持続可能な農業を推進する上で、生物多様性を重視した農法を取り入れていく必要があり、大豆作においても環境保全型農業を積極的に推進していくことが重要です。しかし、これまで生物多様性の保全効果を定量的に評価する調査基準はなく、また農業の生産現場においては、生物多様性と生産性の両立を重視する必要があります。そこで、農業害虫の天敵となる昆虫やクモ類など、農業に直接的に有用な生物に注目し、環境保全型農業と関連した生物多様性の指標生物の選抜と評価方法の開発を行いました。
まず初めに、環境保全型管理ほ場としてムギ類リビングマルチ栽培や殺虫剤の節減栽培を実施したほ場で、特徴的に現れる生物の調査を行いました。その結果、ゴミムシ類やコモリグモ類、サラグモ類、テントウムシ類、ホソヒメヒラタアブ、ギフアブラバチの6種類の生物の密度が、慣行ほ場と比較して高くなりました。テントウムシ類やホソヒメヒラタアブ、ギフアブラバチは、アブラムシ類の土着天敵であり、クモ類も一般的に多くの害虫の天敵です。また、ゴミムシ類は害虫や雑草種子の捕食者として知られています。このため、これらの生物を、大豆作において有用な生物であることから、環境保全型農業の指標生物として選抜しました(図1)。
次に、環境保全型管理ほ場における生物多様性の保全効果を評価するため、評価の基準値(スコア)と調査方法を作成しました(表1)。この6種類の指標生物の基準値の合計(総スコア)から、生物多様性の保全効果を「非常に高い」、「高い」、「やや低い」、「低い」の4段階で総合評価を行いました(図2)。この総合評価の結果をもとに、これからも環境保全型農業の取り組みを継続していく、あるいは改善していく判断基準として利用することができます(表2)。
本研究では、農業に有用な生物多様性、すなわち機能的生物多様性(Functional Biodiversity)の保全を重視し、天敵昆虫やクモ類を対象に指標生物を選抜しましたが、これらの指標生物の機能については十分に解明されていません。今後、これらの指標生物の働きを明らかにすることが、大豆の環境保全型農業を推進していく上で重要であると考えられます。
※この研究は、農林水産省委託プロジェクト「農業に有用な生物多様性の指標及び評価手法の開発」の支援を受けて行ったものです。


(平成24年12月12日掲載)

生物多様性の指標生物の写真
図1 大豆の環境保全型農業と関連した生物多様性の指標生物

表1 環境保全型農業と関連した生物多様性の指標生物のスコア化と調査方法
生物多様性の指標生物のスコア化と調査方法の表

総合評価の図
図2 環境保全型農業の指標生物の総合評価
注)総スコア:各指標生物のスコアの平均値から、表2の7種類の指標数の総スコアに換算した。

表2 総スコアに基づいた環境保全型農業の評価
環境保全型農業の評価の表

お問い合わせ先

農業・園芸総合研究所企画調整部

名取市高舘川上字東金剛寺1(代表)

電話番号:022-383-8118

ファックス番号:022-383-9907

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