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掲載日:2017年5月1日

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普及に移す技術第92号/普及技術7

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普及技術(平成28年度)

分類名〔果樹〕

早期多収・省力栽培を可能にする側枝上方誘引型リンゴジョイント栽培

早期多収・省力栽培を可能にする側枝上方誘引型リンゴジョイント栽培(PDF:432KB)

宮城県農業・園芸総合研究所

1 取り上げた理由

リンゴ栽培において,樹齢の増加にともない樹高・樹冠が拡大し,作業効率が低下するといった主幹形の課題を解決する技術として,ナシのジョイント仕立ての研究成果(特許第4895249号)のリンゴへの応用を検討したところ,リンゴの樹体ジョイント栽培は低樹高で早期多収が可能となることが明らかとなった(普及に移す技術第89号参考資料)。ジョイント樹形の中でも,側枝上方誘引型樹形は,作業時間が約2割削減され,目標収量を確保できる技術であることが明らかとなったので普及技術とする。

2 普及技術

  • 1)側枝上方誘引型樹形は,主幹形に比べて早期に多収量を得ることができる(図1,図2)。また,主幹形に比べて樹高が低く,作業時間は約1~2割削減される(表1,図3)。
  • 2)側枝上方誘引型樹形(樹間1.0m)において,主幹部を1本おきに間伐すると,短果枝数が多くなる(図4)。収量は,主幹間伐しない場合より増加し,間伐翌年に目標収量(側枝長180cm,側枝間隔片側40cm,着果量15~20cmに1果,1果重360gとした場合,10aあたり3.5~4.7t)に達する(表2)。
  • 3)側枝上方誘引型樹形(樹間1.0m,間伐有り)の農業所得は696,134円であり,所得率は50.1%と試算される(表3)。
    樹形の違いが10aあたり収量に及ぼす影響(平成23年~平成27年)
    図1 樹形の違いが10aあたり収量に及ぼす影響(平成23年~平成27年)

3 利活用の留意点

  • 1)供試樹は,いずれも平成22年3月に「ふじ」2年生苗木を定植した。また,ジョイント(接ぎ木)は平成22年4月に行った。間伐有り区における主幹間伐は平成25年4月に行った。
  • 2)ジョイント栽培では,6月下旬に側枝上に発生した長さ20cm以上の新梢を概ね基部から5cm程度の位置で摘心する。
  • 3)6月下旬の新梢摘心後に形成された果枝(以下「擬似果枝」という)に結果した果実の青実果割合は約20%であり,果枝長および果台長が長くなるほど発生割合が高くなる。そのため,疑似果枝に着果させる場合は,擬似果枝長が10cm未満,果台長が2cm未満の果枝に着果させる(表4)。

(問い合わせ先:宮城県農業・園芸総合研究所園芸栽培部電話022-383-8134)

4 背景となった主要な試験研究

  • 1)研究課題名及び研究期間
    新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業(平成21年~平成25年)
    果樹の栽培環境による早期多収,省力栽培技術の確立(平成24年~平成28年)
  • 2)参考データ
    側枝上方誘引型樹形
    図2 側枝上方誘引型樹形
    表1 樹形の違いが主要管理作業時間に及ぼす影響(平成26年)
    樹形の違いが主要管理作業時間に及ぼす影響(平成26年)
    樹形別(主幹間伐無し)の樹高の推移(平成23年~平成28年)
    図3 樹形別(主幹間伐無し)の樹高の推移(平成23年~平成28年)
    主幹間伐の有無が果枝数に及ぼす影響(平成26年~平成28年)
    図4 主幹間伐の有無が果枝数に及ぼす影響(平成26年~平成28年)
    表2 主幹間伐の有無が10a当たり収量に及ぼす影響(平成26年~平成28年)
    主幹間伐の有無が10a当たり収量に及ぼす影響(平成26年~平成28年)
    表3 側枝上方誘引型樹形(樹間1.0m,主幹間伐有り)における収支算定表
    側枝上方誘引型樹形(樹間1.0m,主幹間伐有り)における収支算定表-1
    側枝上方誘引型樹形(樹間1.0m,主幹間伐有り)における収支算定表-2
    表4 樹形の違いおよび果枝の違いが青実果発生に及ぼす影響(平成26年)
    樹形の違いおよび果枝の違いが青実果発生に及ぼす影響(平成26年)
  • 3)発表論文等
    • a関連する普及に移す技術
      低樹高と早期多収を可能にするリンゴ樹体ジョイント栽培(第89号参考資料)
    • bその他
      • a)門間豊資・菊地秀喜・池田裕章・柴田昌人(2014),低樹高と早期多収を可能とするリンゴ樹体ジョイント栽培,東北農業研究第67号,p85-86
      • b)門間豊資・柴田昌人・杉山結実子(2015),リンゴ樹体ジョイント栽培における主幹間伐が樹体生育,収量及び果実品質に及ぼす影響,東北農業研究第68号,p101-102
      • c)髙田万里子・門間豊資・柴田昌人(2016),リンゴ樹体ジョイント栽培における主幹間伐が樹体生育,収量及び果実品質に及ぼす影響,東北農業研究第69号,p73-74
  • 4)共同研究機関
    なし

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お問い合わせ先

農業・園芸総合研究所企画調整部

名取市高舘川上字東金剛寺1(代表)

電話番号:022-383-8118

ファックス番号:022-383-9907

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