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第三百五十五回宮城県議会知事説明要旨

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年2月16日更新

平成28年2月16日

 

 本日ここに第三百五十五回宮城県議会が開会され、平成二十八年度一般会計当初予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、平成二十八年度の県政運営の考え方と議案の概要を御説明申し上げます。

 説明に先立ち、今月六日の台湾南部を震源とする大地震では、高層建物が倒壊するなど大きな被害が発生いたしました。不幸にして亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。台湾の皆様からは東日本大震災に際しまして多大な御支援を賜り、その後も交流が続いていたところであり、県としてできる限りの支援をしてまいりたいと考えております。

 それでは、御説明申し上げます。

 初めに、東日本大震災からの復興についてであります。

 間もなく震災から五年となる三月十一日がやってまいります。県民の皆様それぞれが様々な思いでこの日を迎えられることと思います。大切な人を亡くされた方、住み慣れた家や大事なものを失われた方々を思いますと、この五年間はいかばかりであったかと胸に熱いものがこみ上げてまいります。前に進もうとする気持ちとつらい思いとの間で行きつ戻りつしながらの五年間ではなかったでしょうか。あの日の出来事、そしてたくさんの方々の思いを心に刻みながら、いつかどこかで必ず起こる次の災害に備えてこの教訓を生かしていくことこそが、震災を生き抜いた私たちの使命であると改めて決意を新たにするところであります。

 五年という歳月を経た今もなお、約五万人もの方々が仮の住まいで不自由な暮らしを余儀なくされており、復興は未だ道半ばであります。被災された方々が一日も早く落ち着いた暮らしを取り戻すことができるよう、今後も全力を挙げて復興に取り組んでまいる所存でありますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。

 さて、平成二十三年度から十年間と定めた宮城県震災復興計画の期間は、間もなく折り返しを迎えます。様々な要因で予定より遅れたものも決して少なくありませんが、再生期の三年目に当たり後半の五年間が始まる平成二十八年度においては、これまでの取組による成果が具体的な姿となって現れてもまいります。

 被災された方々の生活再建の柱となる災害公営住宅については、約一万六千戸の整備計画のうち来年度末には九割ほどの約一万四千戸が完成する見込みです。また、防災集団移転促進事業についても、百九十五計画地区のうち来年度末には百八十六地区で住宅建築が可能となり、名取市の閖上地区や東松島市の野蒜北部丘陵地区などでも再建を目指す方々への宅地の引渡しが始まります。その一方で、再建計画を決めかねている方々も少なくないことから、それぞれの御事情を詳しく伺いながら、お一人お一人にきめ細かく対応してまいりたいと考えております。

 交通基盤関係では、三陸縦貫自動車道が来年度中に(仮称)南三陸海岸インターチェンジまで開通し、桃生豊里インターチェンジ以南の全区間が四車線化される予定です。鉄道では北海道新幹線が開業する来月二十六日に、仙石線の陸前赤井駅と蛇田駅の間に「石巻あゆみ野駅」が開業するほか、夏頃に仙石東北ラインの一部列車が女川駅まで直通運転を開始し、年末までには常磐線も一部区間を内陸に移して浜吉田駅と相馬駅の間で運転を再開いたします。いずれの沿線でも市街地の建設が急ピッチで進められており、復興の弾みになるばかりでなく、地方創生にも大いに繋がるものと期待しているところであります。

 産業基盤関係では、この春には被災農地に占める作付可能面積の割合が九割ほどにまで回復するほか、主な漁港では、五月に志津川、来年三月には女川で魚市場が完全復旧し、高度衛生管理に対応した最新の施設に生まれ変わります。各漁港の水揚額はほぼ震災前の水準にまで回復してきており、機能強化を背景に今後更に伸びるものと期待しております。また、これまで約七千の被災事業者がグループ補助金などを活用して再建に取り組んでおり、昨年末女川駅前に「シーパルピア女川」が開業したように、次第に商店街の復興も進み、まちの活性化にも繋がっていくものと考えております。

 医療関係では、再建が進められていた石巻市立病院がこの夏にも開院を迎え、秋にはドクターヘリも運航を開始する予定です。多くの方々のたゆまぬ御尽力により実を結ぶものであり、感慨もひとしおであります。

 教育関係では、四月から多賀城高等学校に県内初となる災害科学科が設置されるほか、県内三校目の特別支援学校高等学園として石巻圏域では初めてとなる女川高等学園が開校いたします。八月には東松島市宮戸に松島自然の家が、まずは野外活動施設のみではありますが開所する予定であり、海辺にも児童生徒の元気に活動する姿が戻ってまいります。警察関係では、四月から気仙沼警察署が新たな建物で業務を開始し、準備が整い次第、気仙沼・本吉圏域の皆様に対しましても運転免許証が即日交付されるようになります。

 私が創造的な復興として重点的に進めている施策については、来年度には大きな動きが控えております。

 まず、医学部の設置についてでありますが、四月に東北医科薬科大学が開学し、我が国で約三十七年ぶりとなる医学部新設がこの宮城の地において実現いたします。深刻化する東北・宮城の医師不足解消に向けて、私が安倍総理大臣にその必要性を強く訴えて動き出したものであり、地域に根ざした総合診療医の養成を特色にするなど、かねて思い描いていたものが随所に取り入れられております。県としては、施設整備への補助や修学資金原資への出資を通じて、地域医療の復興と更なる充実に一層力を注いでまいります。

 また、仙台空港の民営化についても、七月一日をもって国管理空港初の民営化が実現する運びとなりました。空港運営権者である仙台国際空港株式会社は、今月から空港ビルと貨物ターミナルの運営を始めており、今後施設の改修などに大胆な設備投資を行うと伺っております。県としては、運営権者や航空会社などと密接に連携しながら、観光キャンペーンやエアポートセールスなどを積極的に展開し、利用者数や貨物量の飛躍的な増加を図るとともに、東北全体の活性化にも繋げてまいりたいと考えております。

 広域防災拠点の整備については、現在JR貨物との間で仙台市宮城野原地区の移転補償などについて詰めの協議を行っているところであります。並行して、移転先となる仙台市岩切地区において調査設計や住民説明などを行っており、協議が整い次第、計画の具体化に向けた手続を進めてまいります。また、広域防災拠点や市町村の地域防災拠点と連携する県内七圏域の防災拠点についても、防災資機材などの整備を進めてまいります。

 さらに、水素エネルギーの普及促進については、来月、東北で初めてとなるスマート水素ステーションの運用を開始いたしますが、来年度は、やはり東北初となる商用水素ステーションの立地を実現したいと考えております。併せて、燃料電池自動車や家庭用燃料電池エネファームを導入する場合の補助制度を創設するとともに、公用車として導入する燃料電池自動車を県民向けの試乗会や市町村への貸出しなどに積極的に活用するなど、水素エネルギーの普及活動を精力的に推進し、「東北における水素社会先駆けの地」を確かなものにしてまいりたいと考えております。

 東日本大震災みやぎこども育英基金については、国内外から寄せられたたくさんの御厚意を元に、震災で親を亡くした千人以上の子どもたちに支援金や奨学金を給付しているところであります。大変ありがたいことに、これまでに頂いた寄附額は当初の想定を上回りましたことから、有識者や寄附された方々の御意見も伺いながら、対象を広げて支援することが可能かどうか慎重に検討を重ねてまいりました。その結果、これまでの給付に加え、里親となって頂いている方々の活動や子どもたちの心のケアなどについても、この基金で支援できるようにすることが望ましいと判断し、今議会にそのための条例改正案を提案しておりますので、御理解と御賛同をお願い申し上げる次第であります。

 指定廃棄物については、国は県内に一か所の処分場を建設し、国の責任で集約処理する方針を再三にわたって示しておりましたが、三か所の候補地を示して以来、前に進むことのないまま二年が経過いたしました。県内各地に分散している一時保管場所の負担はもはや限界に達しており、何の見通しもないまま保管だけが続けられている事態を私は大変憂慮しているところであります。これまでの経緯も踏まえて、国として今後の対応について早急に考え方を示すとともに、この問題の解決に向けて一層の努力をするよう引き続き国に強く求めてまいりたいと考えております。

 なお、これまで平成二十九年度までの完了を目指しておりました主な社会資本の復旧について、地元との合意形成や関係機関との調整、用地買収などに時間を要し、事業期間をどうしても延長せざるを得ないものが一部に出てきております。長らくお待ち頂いている方々には大変心苦しいところではありますが、一日も早い完了に向けて今後も全力を尽くしてまいりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。

 次に、震災関連以外についてであります。

 先月閣議決定された政府の経済見通しによると、今年度の実質経済成長率は一・二パーセント程度と、消費税率引上げの影響が一段落して二年ぶりのプラス成長に転じる見込みであるほか、来年度は経済の好循環が更に進展して一・七パーセント程度の伸びが期待できるとされております。先月公表した平成二十五年度における我が県の実質県内総生産は、九兆四千六百億円余りと過去最大を記録し、目標としていた十兆円にまた一歩近づいてまいりました。県経済が好調に推移していることは県税収入にも反映されており、今年度は初の三千億円台がほぼ確実となっているほか、来年度は更にこれを上回る見込みです。堅調な復興需要に加えて、これまで進めてきた富県戦略の成果が徐々に表れてきたのではないかと考えております。

 しかしながら、大企業などの順調な回復ぶりとは裏腹に、国勢調査の結果を見ても県内各地で人口減少が続き、加えてTPPの影響で今後農林水産物の生産額が減少すると見込まれるなど、地域経済の核となる中小企業や農林水産業を取り巻く環境はむしろ厳しさを増しており、多くの県民の皆様が地域や暮らしの中で景気回復を実感するにはほど遠いのが実態であります。

 このような状況を踏まえ、私は、「富県宮城の実現」を引き続き強力に推し進めますとともに、すべての県民の皆様に豊かさを実感していただけるよう、より踏み込んだ取組が必要であると考えており、来年度は復興を推進すると同時に、地方創生や災害に強い県土づくりなどと合わせて、貧困や障害など様々な困難を抱えている方々への支援にも重点的に取り組んでまいる所存であります。

 なお、宮城の将来ビジョンは来年度で終期を迎えることとなりますが、現在の我が県の最優先課題は震災からの復興であることから、宮城県震災復興計画の終期に合わせて計画期間を平成三十二年度まで延長し、必要な手直しを行ってまいりたいと考えております。

(当初予算の編成方針)

 次に、当初予算の編成に当たっての基本的な考え方を御説明申し上げます。

 国の平成二十八年度予算案は、経済再生と財政健全化の両立を図りながら、アベノミクスの第二ステージで掲げた新・三本の矢、すなわち「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」を推進し、一億総活躍社会の実現を目指すものとして編成されております。その中には、子育て支援や介護サービスの充実をはじめ、地方創生の本格展開、TPPを踏まえた攻めの農林水産業、国土強靱化などに関連するものが重点的に盛り込まれ、一般会計の総額は九十六兆七千億円余りと過去最大の規模になりました。また、東日本大震災復興特別会計には、これまでの支援メニューを拡充して被災者支援総合交付金が新設されたほか、震災復興特別交付税や復興交付金などが概ね所要額計上されており、来年度も復興事業に腰を据えて取り組めるものと評価しているところであります。

 また、平成二十八年度の地方財政対策については、地方創生や公共施設の老朽化対策に加え、高齢者支援や自治体の情報システム改革など地方の重点課題に対応するための経費が新たに計上された結果、地方一般財源の総額は今年度を○・二パーセント程度上回る過去最高の規模となりました。地方税の増収を見込み、赤字地方債である臨時財政対策債の発行額を極力抑制する一方で、地方交付税の減少は小幅に抑えられており、来年度の地方財政運営上の所要額は概ね確保されたものと考えております。

 平成二十八年度当初予算案は、昨年十月に策定した「平成二十八年度政策財政運営の基本方針」に基づき、引き続き震災からの復興を最優先に、先ほど申し上げました県民の皆様の暮らしと安全を守るための施策をはじめ、地方創生などの課題にも積極的に取り組むものとして編成したものであります。

 このうち震災対応分については、国の復興財源のみならず、復興基金など県独自の財源も積極的に活用して宮城県震災復興計画の確実な推進を図ることとしております。また、通常分については、税収の伸びが期待できる一方で、社会保障費や維持補修費など先送りできない財政負担が増しており、公債費の高止まりも続いていることから、重点化すべき施策を絞り込むとともに、事務事業の更なる効率化に努めることとしております。

 この結果、平成二十八年度当初予算案は、復興の進捗に伴って一般会計の総額では今年度をやや下回る規模になりましたが、通常分は十八年ぶりに過去最高を更新しております。なお、国は平成二十八年度からの五年間を復興・創生期間と定め、復興事業の一部に自治体負担を導入するなど新たな枠組みでの支援に移行するとしておりますが、これに対応するための財源上の手当てには見通しがついたところであり、新制度で復興の歩みが滞ることはないものと考えております。

 平成二十八年度当初予算案における主な施策について、「政策財政運営の基本方針」に掲げた四つの「政策推進の基本方向」に従って御説明申し上げます。

(再生期における迅速な震災復興)

 初めに、再生期における迅速な震災復興について、宮城県震災復興計画で重点的に取り組むこととした七つの主要政策に沿って順次御説明申し上げます。

 第一に、被災された方々の生活再建と生活環境の確保についてでありますが、県が市町から受託して整備する二千二百五十八戸の災害公営住宅は、今年度中に二千百八戸が完成する予定であり、昨年新たに受託した残る百五十戸についても再来年度までの完成を目指してまいります。また、供与期間が再延長された市町の応急仮設住宅について適切に点検と補修を行うほか、供与が終了する方々に対しましては、県北部に転居支援センターの地域拠点を設け、戸別訪問などで相談を重ねながら、きめ細かく支援してまいります。

 被災地における新たなコミュニティづくりや交流活動に対しては引き続き積極的に支援していくほか、文化芸術活動や空き家改修による拠点づくりなども補助対象に加え、草の根レベルの被災者支援活動を更に後押ししてまいります。また、県外に避難された方々には、東京と大阪に配置した支援員が親身に相談などの対応に当たるほか、避難先で支援に取り組んでいるNPOとも連携し、帰郷を支援してまいります。

 戸建住宅を再建する方々のニーズが高い県産材利用エコ住宅への補助については、二百棟分増やして七百棟分の枠を用意するほか、復旧する公共施設に太陽光発電設備を導入し、移転市街地のエコタウン化や再生可能エネルギー設備の導入を支援するなど、災害に強くかつ環境配慮を兼ね備えた復興施策を推進してまいります。

 第二に、地域における保健・医療・福祉提供体制の回復・充実についてでありますが、石巻市立病院や気仙沼市立病院の移転新築に対して補助するなど、引き続き地域における医療提供体制の充実が図られるよう支援してまいります。また、ドクターヘリの運航開始に向けて、関係機関との調整などの準備を進めるとともに、運航経費やランデブーポイントの整備費を助成いたします。

 さらに、東北医科薬科大学に対しては、東北で地域医療の担い手となる医師の養成を支援するため、施設整備費を補助するほか、クウェート国からの支援金を活用して引き続き修学資金の原資を出資いたします。

 被災された方々に対する健康支援としましては、応急仮設住宅や災害公営住宅の入居者に対して、健康調査や健診をはじめサポートセンターのスタッフによる見守り活動などで状況把握に努め、病気の治療や予防に繋げていくほか、運動や食事を通して絆の形成を図り、心と体の健康を増進してまいります。また、みやぎこども育英基金を活用して里親等支援センターを設置し、震災孤児などを養育する里親への支援を強化するとともに、復興基金を活用して人材不足が深刻な沿岸部における介護職の確保にも力を入れてまいります。

 第三に、「富県宮城の実現」に向けた経済基盤の再構築についてでありますが、地域経済を牽引する新たな企業誘致に引き続き積極的に取り組んでいくとともに、仙台空港周辺地域の土地利用方針を策定し、産業集積など地域の活性化に繋げてまいります。被災した中小企業の再建のためには、グループ補助金をはじめ県単独の補助金や貸付金など様々なメニューを用意するほか、再建後の販路の確保が課題となっていることから、専門家による経営相談や指導助言を行うとともに、国が開発した地域経済分析システムなど最新の分析ツールも活用しながら、課題解決や効果的な経営戦略づくりを支援してまいります。

 被災者を長期雇用する場合に三年間支給する事業復興型雇用創出助成金については、来年度以降も中小企業を対象に全額国費で実施できるようになったことから、正規雇用の推進と再建した企業のコスト負担軽減の両面から有効に活用してまいります。また、このところの高い有効求人倍率を背景に、再建後の従業員不足に悩む企業が増えている一方、職種や分野によっては希望する就職先が見つからないなど、沿岸部を中心に雇用のミスマッチが依然として続いていることから、石巻市、塩竈市及び気仙沼市に設置した沿岸地域就職サポートセンターのスタッフを増員し、適切なマッチングを図ってまいります。

 観光関係については、今もなお震災前の観光客数を取り戻すことができない状況が続いていることから、特にインバウンド対策について、従来から行ってきた海外でのPR活動や招請事業に加え、案内表示の多言語化や免税手続の一括カウンター化などを積極的に進めるとともに、台湾への現地デスク設置やアニメを活用した国外プロモーションにも取り組むなど、新たに創設される国の東北観光復興対策交付金も活用しながら一層の充実を図ってまいります。また、航空会社や空港運営権者と連携して国内線向けにも大規模な観光キャンペーンを実施するほか、日本三景松島の魅力を更に高めるため、松島水族館の跡地利用策を公募して有効活用を図るとともに、今後の観光地域づくりを支えていく人材も育成してまいります。

 第四に、農林水産業の早期復興についてでありますが、被災した約一万三千ヘクタールの農地と九百八十か所の農業用施設について、平成三十年度の完了を目指して復旧を急ぐとともに、復興交付金など国の復興財源を活用して沿岸部十七地区の約五千ヘクタールでほ場整備を進め、沿岸部ではその他の地区でも排水機場や用排水施設の遠隔監視システム、農業用機械・設備などを整備してまいります。また、汚染稲わら一時保管施設の点検と補修を適切に実施するほか、肉用牛の全頭検査など農林水産物の放射性物質検査を引き続き徹底し、食の安全確保と正確な情報発信による風評被害の解消に全力を挙げてまいります。

 林業関係では、震災の影響で松くい虫の被害が増加傾向にあることから、松島の景観保全を最重点に防除対策を拡充するほか、安全なキノコ類の生産に向けて原木の購入や施設整備を支援してまいります。また、津波などで浸食されたリアス式海岸沿いの林地荒廃箇所について、県単独で治山工事を実施いたします。

 水産関係では、県営漁港の復旧率を来年度末には八割程度まで進捗させるとともに、地元との合意づくりに努めながら、防潮堤の新設など漁港区域の海岸整備を更に進めてまいります。また、水産加工業では売上げの回復が遅れており、人手不足も加わって業界全体として厳しい経営環境に置かれていることから、現場のニーズが高い従業員宿舎の建設や送迎支援に加えて、働きやすい職場づくりに向けた調査を行うほか、水産加工業の支援専門組織を関係機関に新設し、新商品開発から生産工程改善、販路開拓に至るまで経営全般について幅広く支援してまいります。

 第五に、公共土木施設の早期復旧等についてでありますが、河川、海岸、港湾などでも復旧工事がピークを迎えており、来年度末にはこれらの復旧が全体で八割程度に進捗することを目標に一層の推進を図ってまいります。また、復興事業で大型車の通行量が増えたことに伴い、県管理道路でも損傷が見られることから、速やかな補修に努めてまいります。

 国の復興財源を活用した新たな道路整備としては、三陸縦貫自動車道について、来年度の南三陸海岸までの開通に続いて、再来年度には歌津までの延伸と大谷・気仙沼間の開通が実現するよう努力してまいります。また、気仙沼の大島架橋事業については、来年度中に橋りょうの本体部を架設し、平成三十年度の完成を目指してまいります。このほか、みやぎ県北高速幹線道路や国道三百九十八号石巻バイパスの建設を更に推進し、県道岩沼蔵王線、石巻鮎川線、女川牡鹿線などでもトンネルの新設を含む大規模な改良工事を進めてまいります。

 公園関係では、岩沼海浜緑地について、昨年四月に供用を開始した南地区に続き、来年三月には北地区も含めた全面的な再開を目指すほか、矢本海浜緑地についても早期の再開に向けて整備を進めてまいります。

 鉄道関係では、仙台駅と女川駅の間で仙石東北ラインの一部列車が直通運転できるようにするため、JR東日本が行う信号等の施設整備を補助いたします。

 第六に、安心して学べる教育環境の確保についてでありますが、気仙沼向洋高等学校と農業高等学校については、いずれも平成三十年度の供用開始を目指して移転復旧を進めてまいります。なお、農業高等学校にはクリーンルームを新設し、植物の無菌培養や遺伝子組換えなど高度なバイオテクノロジーに関する実習ができるようにいたします。また、松島自然の家については、キャンプ場や野外研修棟などの完成を急ぎ、八月のフィールド業務再開に続いて、平成三十一年度の全施設供用開始を目指してまいります。

 震災で受けた心の傷は、今なお児童生徒の学習面や行動面に様々な影響を与えており、不登校やいじめなどの問題として表れているケースも少なくありません。このため、これまで行ってきたスクールカウンセラーなどによる学校内での心のケアに加え、みやぎこども育英基金を活用して「みやぎ子どもの心のケアハウス」を開設する八つの市町を支援し、学校や福祉関係機関などとも密接な連携を図りながら、震災等に起因する児童生徒の心の問題によりきめ細かく対応してまいりたいと考えております。

 このほか、震災により就学が困難となった児童生徒が安心して学べるよう、必要な援助を行うとともに、応急仮設住宅へのスクールバスの運行などにより、市町とともに通学手段の確保に万全を期してまいります。

 第七に、防災機能と治安体制の回復についてでありますが、広域防災拠点の平成三十二年度一部供用開始に向けて仙台市宮城野原地区の用地取得を進めるとともに、圏域防災拠点の通信機器を整備してまいります。

 JR仙石線「石巻あゆみ野駅」北側に移転新築する石巻合同庁舎、気仙沼市赤岩地区の旧鼎が浦高等学校跡地で本格復旧する気仙沼合同庁舎、仙台空港の南側隣接地に再建する防災ヘリコプター活動拠点については、いずれも平成三十年度の供用開始を目指して工事を進めてまいります。

 警察関係では、復興まちづくりの進捗に合わせて、女川交番の新築工事を行うなど、交番二か所、駐在所五か所で復旧を進めるとともに、新たな市街地において信号機や標識の整備を進めてまいります。

 石巻市南浜地区の復興祈念公園につきましては、都市計画の手続とともに用地取得や実施設計を進め、来年三月の工事着手を目指してまいります。また、復興計画の前半五年間が経過したことから、これまでの取組の成果と課題を整理し、検証方法などを検討するとともに、記録誌を作成いたします。その他、首都圏復興フォーラムや全国向けのポスターなどで情報を発信し、震災の記憶の風化防止に努めてまいります。

(産業経済の安定的な成長)

 次に、産業経済の安定的な成長についてであります。

 商工関係では、主に従業員五人以下の小規模事業者を支援するため、中小企業診断士や経営コンサルタントなどの専門家を派遣して、セミナーや個別指導により経営計画の作成やその実施について助言いたします。また、ものづくりの現場において、県内中小企業が自動車や航空機、医療など様々な分野で幅広く活躍することができるよう、高度な三次元設計に精通したデジタル技術者の育成に努めてまいります。さらに、仙台港周辺地域における更なる賑わいの創出に向けて、新たな調査検討にも着手してまいります。

 農業関係では、TPP対策としてカントリーエレベーターや畜舎の整備をはじめ、農業機械のリースや生産資材の導入を支援し、一層の省力化と生産性の向上を図ってまいります。また、園芸産地の広域連携や企業的園芸法人の育成を支援するとともに、農村地域における次世代リーダーの養成や新規就農者の確保・育成にも力を入れてまいります。さらに、来年九月に本県で開催される全国和牛能力共進会で日本一を獲得することができるよう、関係者と一丸となって準備を進めるとともに、飲食店や宿泊施設とタイアップして牛肉キャンペーンを展開し、県産牛の消費拡大を図ってまいります。

 林業関係では、TPP対策として木材加工流通施設の整備と合わせて間伐や作業道整備を支援し、生産性の向上を図るとともに、UIJターン者等への家賃補助や自伐林家の育成などにより、就業者の確保に努めてまいります。また、国際的な森林認証の取得に向けた取組を支援し、より環境に配慮した森林経営と木材の利用を推進してまいります。

 水産関係では、沿岸漁業の担い手を確保するため、漁業学校に準ずる「みやぎ漁業カレッジ」の再来年度開設を目指して準備を進めるとともに、就業希望者向けに相談窓口を設置し、五日間ほどの短期研修も行います。また、沖合・遠洋漁業の担い手確保と幹部船員育成のため、技術の習得や資格取得を支援いたします。

(安心して暮らせる宮城)

 次に、安心して暮らせる宮城についてであります。

 様々な困難を抱えている方々を支援する施策として、新たにフードバンクや子ども食堂の実施に向けた調査に着手するほか、DV被害者等に対する市町村の一時的な避難場所の提供を支援するとともに、医療型短期入所施設の増設に向けた取組や、常時介護の必要な障害者を受け入れる生活介護事業所への支援を拡充し、障害者グループホームの建設に対する補助も拡大するなど、県独自の福祉の取組を一層充実させてまいります。また、県主催のイベントなどに手話通訳等を配置できるようにするほか、発達障害児の療育支援などにも取り組んでまいります。

 その他保健福祉関係では、少子化対策として、結婚を希望する方々への相談や紹介事業に積極的に取り組むなど、結婚から子育てまで切れ目のない支援をしてまいります。また、保育士及び介護福祉士を目指す人材を対象にした修学資金貸付制度を新設及び拡充するとともに、児童養護施設退所者の自立支援のための貸付制度も創設いたします。さらに、介護人材の確保に向けて、働きながら介護の資格を取得できるよう補助するほか、平成三十年度から市町村国民健康保険の運営が都道府県単位化されることに伴い、国からの交付金を財政安定化のための基金に積み立てます。

 警察関係では、(仮称)若林警察署について、地下鉄東西線荒井駅そばでの平成三十一年度供用開始を目指して実施設計を進めるとともに、警察安全相談員を十人から二十人に倍増し、警察署における相談対応体制を強化いたします。また、昨年過去最悪の被害額を記録した特殊詐欺被害に歯止めをかけるため、テレビやラジオを通じた広報活動に一層力を入れるほか、五月に開催される「G7仙台財務大臣・中央銀行総裁会議」に向けて警備に万全を期してまいります。

 学校関係では、我が県の子どもや社会を取り巻く環境の変化を踏まえて、新たな教育振興基本計画を策定するとともに、名取、石巻北、水産高等学校の校舎改築を進め、宮城第一高等学校、名取支援学校の校地を拡張いたします。また、特別支援学校の狭隘化問題解消に向けて、仙台市、塩竈市の協力も得て既存施設を活用した分校設置を積極的に進めるとともに、特別支援学校のすべての寄宿舎にエアコンを整備するなど教育環境の更なる充実に努めてまいります。さらに、県立学校で障害を持つ方々の雇用を増やすことで、障害者の社会参加を一層推進してまいります。このほか私立学校に対しては、引き続き運営費補助や授業料軽減補助などにより、経営の健全化と保護者負担の軽減を支援してまいります。

 スポーツ関係では、来年夏に南東北三県で開催される全国高等学校総合体育大会や四年半後に迫った東京オリンピック・パラリンピックに向けて、選手強化や県有スポーツ施設の改修に力を入れるとともに、市町村の事前合宿誘致を後押ししてまいります。また、大崎市三本木地内の県有地を有効に活用していく方策として、大崎市が市営パークゴルフ場を整備することで協議が整いましたので、早期の供用開始を目指して整備費を補助してまいります。

 文化芸術関係では、来年夏に本県で開催される全国高等学校総合文化祭の成功に向けて準備を進めるとともに、美術館では来月にレオナルド・ダ・ヴィンチ展、来年一月にはルノワール展、東北歴史博物館では世界遺産を題材に、七月にアンコールワット展、来年三月にはラスコー洞窟壁画展をそれぞれ開催いたします。

 このほか、マイナンバーを利用した国や他の地方公共団体などとの情報連携が来年七月に開始されることから、我が県の情報セキュリティ対策を更に強化してまいります。

(美しく安全な県土の形成)

 次に、美しく安全な県土の形成についてであります。

 安全・安心な地域社会構築に向けた我が県の取組指針として国土強靱化地域計画を策定するとともに、平成二十七年九月関東・東北豪雨の教訓を踏まえて、河川の改良工事を進め、堤防の緊急点検や堆積土砂の撤去を強化するなど、平成三十二年度を目標に据えて災害に強い川づくりに取り組んでまいります。

 また、老朽化した地上系防災行政無線を更新するほか、土砂災害のおそれのある危険箇所について、土砂災害警戒区域の指定を目指して平成三十一年度までに基礎調査を行うとともに、火山防災対策として蔵王山や栗駒山の防災マップなどを作成してまいります。

 さらに、公共施設の老朽化を踏まえ、公共施設等総合管理計画を策定して計画的な更新や適切な維持管理に努めることとしており、来年度は公共インフラの維持補修費や建物などの改修費を増額しております。

 環境関係では、太陽光発電や高効率空調機などの再生可能エネルギー・省エネルギー設備について設置費用の一部を補助するほか、大学などと連携して行う環境負荷低減のための実証事業等を支援してまいります。

 以上、施策の主な内容について御説明申し上げましたが、平成二十八年度の当初予算規模は、一般会計で一兆三千七百四十三億六千余万円、総計で一兆六千八百九十四億一千三百余万円となります。財源の主なものとしては、県税三千六十二億円、地方交付税二千四百四十三億円、国庫支出金三千四百八億六千四百余万円、繰入金二千五百五十三億八千三百余万円を計上し、また、臨時財政対策債や借換債に加え、復興事業自治体負担分の一部に資金手当債を充当するなど、県債二千二百四十四億三千五百余万円を発行することにしております。

 次に、予算外議案については、条例議案二十八件、条例外議案七十八件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。

 まず、条例議案でありますが、議第十六号議案は、がん登録推進法に基づき、がん登録情報利用等審議会を設置しようとするもの、議第十七号議案は、水産技術総合センターの施設及び機器について使用料を定めようとするものであります。また、議第十八号議案は、警察職員及び学校教職員の定数を改定しようとするもの、議第二十三号議案は、各種手数料を新設及び改定しようとするもの、議第二十五号議案は、知事の権限に属する事務の一部を新たに市町村が処理できるようにするもの、議第二十八号議案は、県民の森の多目的ホール等を有料施設に追加しようとするもの、議第三十五号議案は、先ほど御説明いたしましたとおり、東日本大震災みやぎこども育英基金の使途を拡充しようとするもの、議第三十八号議案は、基金の失効期日を延長しようとするもの、議第三十九号議案は、国営土地改良事業に係る県の負担割合の上限を引き上げようとするもの、議第四十三号議案は、保健所運営協議会を廃止しようとするものであります。

 次に、条例外議案でありますが、議第四十四号議案は、新たな行政不服審査法に基づく第三者機関の事務を市町村等から受託しようとするもの、議第四十五号議案ないし議第五十二号議案は、環境基本計画ほか七つの基本的な計画の策定及び変更について、議第五十三号議案は、包括外部監査契約の締結について、議第五十四号議案ないし議第五十六号議案は、石巻合同庁舎建設用地等の取得について、議第五十七号議案ないし議第九十五号議案は、工事請負契約の締結について、議第九十六号議案ないし議第百二十号議案は、工事請負変更契約の締結について、議第百二十一号議案は、流域下水道事業の維持管理に係る市町村受益負担金について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。

 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。