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掲載日:2014年2月19日

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第三百四十六回宮城県議会提出議案知事説明要旨

平成26年2月18日

本日ここに第三百四十六回宮城県議会が開会され、平成二十六年度一般会計当初予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、平成二十六年度の県政運営の考え方と議案の概要を御説明申し上げます。

その前に、ロシアのソチで開催中の冬季オリンピックにおいて、本県出身の羽生結弦さんがフィギュアスケートで見事に金メダルを獲得いたしました。日ごろ鍛えた力を存分に発揮され、オリンピックという大舞台で会心の演技を披露してのメダル獲得はまさに快挙であり、羽生選手、そして関係者の皆様に心からお祝いを申し上げます。今回の金メダルは、被災された方々をはじめ、復興に取り組む多くの県民に勇気と感動を与え、復興への大きな弾みになるものと考えております。羽生選手には、深い感謝の気持ちを込めながら喜びを分かち合うとともに、この功績をたたえて県民栄誉賞を授与することとしております。
それでは、御説明申し上げます。

「みやぎ鎮魂の日」を定めて初めてとなる三月十一日が近づいてまいりました。ここに改めて、犠牲になられた尊い御霊に深甚なる哀悼の誠を捧げますとともに、大変つらい毎日をお過ごしになられてきた御遺族並びに被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
災害は時を選ばず、さまざまな場所に繰り返し襲ってまいります。あの大震災で得られた教訓を後世に伝え、命を守る安全な県土と災害に強い安心なまちをつくり上げることこそが、計り知れない痛みを経験した私たちの最大の務めであると改めて心に刻んでいるところであります。今後も御遺族並びに被災者の思いを念頭に、被災市町に最大限の支援を行いながら、一日も早い復旧・復興に向け全力で取り組むとともに、県民の皆様の誰もが誇りに思える「創造的な復興」を成し遂げる所存でありますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。

震災後これまで三年間の復旧期においては、人員や予算など県として活用し得る資源を最大限投入して、生活基盤の回復や施設の復旧に全力を尽くしてまいりました。この結果、先月、震災がれきの焼却が終了し、再生処理や最終処分を含めたすべての災害廃棄物処理が今年度末までに完了する見込みとなりましたほか、仙台塩釜港のコンテナ貨物取扱量はほぼ震災前の水準に、操業する漁船の数は約八割に回復するとともに、被災農地の七割以上でこの春の作付けが見込まれるなど、成果は各分野で着実に現れてきております。
そして来年度からは、再生期の四年間がスタートいたします。昨年の選挙で県民の皆様にお約束した私のマニフェストのとおり、復興への歩みを加速してまいりますとともに、時代を先取りした創造的な復興の具体化に向けて、私が先頭に立ち、県庁一丸となって取り組んでまいる所存であります。
このうち、医学部の新設については、東北の復興支援として一校に限って認められることとなり、早ければ平成二十七年度の開学が可能となりました。震災後の医療ニーズに対応し、東北地方の医師不足解消に寄与することなど、認可の前提条件がありますことから、今年五月の提出期限までに将来を見据えた最もふさわしい医学部新設構想が策定されるよう、国や関係大学等との調整に全力を挙げているところであります。
また、仙台空港の民営化については、空港と関連企業の経営を一体化し、民間が持つ資金やノウハウを最大限活用することで、経営の効率化と利便性の向上が一層期待できるものと考えております。将来、県民の皆様や国内外の利用者に満足していただける空港となるよう、平成二十七年度中の民営化実現を目指してしっかり取り組んでまいります。
さらに、大規模災害時に必要となる宮城野原広域防災拠点については、先に基本的な計画を取りまとめたところであります。来年度には施設の基本設計や仙台貨物ターミナル駅移転候補地の調査・設計などの具体的な事業に着手するとともに、法規制上の手続についても調整を進め、整備の進捗を図ってまいりたいと考えております。

復興の取組は長期間にわたって続くものでありますことから、宮城県震災復興計画では期間を平成三十二年度までとしているところですが、その裏付けとして、安定した財源の確保が不可欠であります。国では、平成二十三年度から二十七年度までの五年間を集中復興期間と位置づけ、この期間における特別な財政支援は継続される見込みですが、平成二十八年度以降の財源は未だ不透明であります。私は、復旧・復興事業がこれまでになく大規模であることに加え、人手不足や資材不足が深刻化していることなどにより、事業の一定程度が平成二十八年度以降にずれ込むのはもはや避けられない状況にあると判断いたしております。
したがいまして、これまでも国に対しては、必要な復旧・復興事業の継続が可能となるよう、集中復興期間の延長と財政支援の継続を求めてきたところですが、現場の実情や事業量の把握を踏まえ、早い段階で国として方針を示すよう改めて市町村とともに強く訴えかけてまいります。
なお、入札不調などに伴って繰越額が多額に上っているほか、一部には繰越期間内の完了も困難となっているため、国に再予算化と手続の簡素化を求めてまいりましたが、今般、国において必要な予算が確保され、また、運用を柔軟化する方針が示されたことから、事業の中断は避けられることとなりました。被災地の現状に即した国の対応に感謝いたしますとともに、今後も事業の速やかな執行に努めてまいります。
また、国の復興財源は、復興増税により広く国民の皆様に御負担をいただいておりますことから、復旧・復興に真に必要なものに限って、効果的・効率的に執行することが必要であります。県としましては、今年度中に策定する行政改革・行政運営プログラムや「みやぎ財政運営戦略」に基づき、事務事業の効率化や新たな財源確保、経費節減などについて、たゆまぬ努力を積み重ね、限られた資源をできるだけ有効に活用して復興を進めてまいりたいと考えております。

さて、昨年から株価の持ち直しや過度な円高を是正する傾向が見られるようになり、自動車や電機をはじめとした輸出産業を中心に、上場企業の業績回復が次第に鮮明になってまいりました。日本銀行が昨年十二月に発表した全国企業短期経済観測調査でも、大企業では景況感が十二か月連続で上昇しており、企業マインドの改善傾向を確認する結果となりました。
こうした変化は、安倍政権の経済戦略と大胆な金融緩和によるものであり、まさに、アベノミクスで日本経済が息を吹き返しつつあるものと認識しております。バブル崩壊後長く続いたデフレから脱却し、安定的な成長軌道を描くこととなるよう、大いに期待をしているところであります。
しかしながら一方では、中小企業や家計の実感からすれば、見え始めたマクロ経済の好調さが県内隅々にまで浸透しているとは言いがたい状況でもあります。業績回復を大企業から中小企業にまで広げ、雇用拡大や賃金引上げに結びつけて個人所得の向上を図るとともに、富の好循環により景気回復の実感が広く行き渡る、安定的な経済成長路線を築くことが重要であると考えております。
私は、これまで「富県宮城の実現」を掲げ、自動車産業やクリーンエネルギー産業など主に製造業を柱に据えて産業振興に力を入れ、県内総生産の向上を目指してまいりましたが、アベノミクスによる好循環の兆しを絶好のチャンスと捉え、これまでの施策を一層強化するとともに、産業各分野にわたる新たな振興策にも積極的に取り組み、決意も新たに県民一人ひとりが真に豊かさを実感できるよう、粉骨砕身努めてまいる所存であります。

次に、社会保障と税の一体改革についてであります。
少子高齢化の進行に伴い、国及び地方の社会保障費は今後もますます増え続けていくものと見込まれ、将来を見据えた安定的な財源の確保は待ったなしの緊急課題であります。四月から国と地方の消費税率が合わせて八パーセントに引き上げられますが、持続可能な社会保障制度を確立するためにはやむを得ないものと考えております。
この税率引上げによる増税分については、すべて国と地方の社会保障財源として活用することとされており、県としましても、増収分を子ども子育て支援施策や大幅に増えている社会保障経費に充てることで、制度の充実と安定化を図ってまいります。
また、昨年十月の税率引上げの閣議決定以来、円滑で適正な転嫁について事業者や県民の皆様への広報や相談に努めてまいりましたほか、改革に連動して社会保障・税番号制度の概要が固まり、平成二十九年度から国と地方の情報連携が始まることから、必要な準備を進めていくこととしております。

当初予算の編成方針

次に、当初予算の編成に当たっての基本的な考え方を御説明申し上げます。
安倍政権は、昨年六月に「経済財政運営と改革の基本方針」を閣議決定し、アベノミクスの三本の矢、すなわち「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」を柱に、今後の十年を「再生の十年」として、強い日本、強い経済、豊かで安全・安心な生活を実現するとしております。
国の平成二十六年度予算は、安倍政権のこうした基本的な考え方に基づき、経済再生・デフレ脱却と財政健全化を両立させ、社会保障と税の一体改革を実現する最初の予算として編成されており、民需主導による経済成長の促進や、消費税の増税分を活用した社会保障の充実や安定化などが盛り込まれております。
また、東日本大震災復興特別会計には、災害救助費のほか、震災復興特別交付税、復興交付金、災害復旧事業費、復興関係の公共事業費、中小企業等グループ補助金など、本県の復興にとって欠かすことのできない支援が概ね所要額計上されており、これにより本県としても復興事業に引き続き邁進できるものと評価をいたしているところであります。

平成二十六年度の地方財政対策については、国と地方の消費税率引上げの影響を的確に反映することや、今年度実施した給与の減額は行わないことなどが早い段階で決定されていたものの、昨年十二月半ばに閣議決定された「平成二十六年度予算編成の基本方針」では、アベノミクスによる経済再生に合わせてリーマンショック後の危機対応モードを平時モードに切り替え、歳出特別枠や地方交付税の別枠加算を見直すとされ、その取扱いが焦点となっておりました。最終的には、歳出特別枠は実質的に今年度と同水準とし、別枠加算は今年度の六割程度を確保することで決着し、通常収支分の地方一般財源は、総額では今年度を一・〇パーセント上回る規模となっております。この結果、東日本大震災分と合わせ、来年度の地方財政運営上の所要額は確保できたものと一定の評価をしているところです。
しかしながら、地方の財源不足は依然として十兆円を上回る規模で推移しており、特例的な財源措置である臨時財政対策債の発行額も高水準のまま常態化しております。今後、国から地方に税源を移譲するとともに、国税から地方交付税への算入率を引き上げるなど、地方の財源不足解消に向けた抜本的な改革がどうしても必要でありますので、引き続き全国知事会等と連携して訴えかけてまいりたいと考えております。

平成二十六年度当初予算案は、昨年十月に策定した「平成二十六年度政策財政運営の基本方針」に基づき、四つの「政策推進の基本方向」に沿って、被災者の立場に立って被災市町に最大限の支援を行いながら、復興を一層スピードアップするとともに、復旧にとどまらない抜本的な再構築に向けた取組を着実に推進することとし、併せて私のマニフェストに関連する施策も盛り込んで編成したものであります。
このうち震災対応分については、国庫支出金や震災復興特別交付税、国費で造成した各種基金など国の財政支援制度を引き続き最大限活用するとともに、東日本大震災復興基金や地域整備推進基金など県独自の財源も積極的に活用して、被災者への支援や災害復旧事業等、来年度の年間所要額を計上いたしております。また、通常分については、復興需要や地方消費税率の引上げに伴う県税の増収が見込まれる一方、社会保障関係費や公債費などの大幅な増加が見込まれ、将来的な財政再生団体への転落回避に向け今年度に引き続き緊縮型予算といたしました。そのような中でマニフェストに関連する施策のうち早速取りかかるべきものは積極的に計上してメリハリを付け、全体の不足額を退職手当債の発行や財政調整基金からの取崩しなどで補っております。
この結果、平成二十六年度当初予算案は、一般会計では災害廃棄物処理の一段落化などにより今年度を下回る規模となりましたが、依然として震災以前の二倍近くに達しております。
このような巨額の予算を迅速かつ適正に執行して復興の進捗を図るため、国や全国の自治体に引き続き職員の派遣をお願いするとともに、事務の簡素化や電算化、外部委託化などを積極的に推進してまいります。

平成二十六年度当初予算案における主な施策について、「平成二十六年度政策財政運営の基本方針」に掲げた四つの「政策推進の基本方向」に従って御説明申し上げます。

再生期における迅速な震災復興

まず初めに、再生期における迅速な震災復興について、宮城県震災復興計画で重点的に取り組むこととした七つの主要政策に沿って順次御説明申し上げます。

第一に、被災された方々の生活再建と生活環境の確保についてでありますが、まず、住まいの確保は最優先の課題であることから、災害公営住宅の整備を加速させ、被災者の皆様が一日でも早く落ち着いた暮らしを取り戻すことができるよう努めてまいります。また、被災者の住宅再建を支援するため、県産材で木造住宅を新築する場合に建築費の一部を補助するほか、住宅の二重ローン負担を軽減してまいります。
被災された方々への生活支援としましては、みやぎ被災者生活支援ガイドブックに最新情報を盛り込んでお配りするほか、応急仮設住宅においては、サポートセンターを拠点に保健師などの専門職員や生活支援相談員が巡回訪問を継続するとともに、今後、生活の場が災害公営住宅などに移行するのに合わせて、実情に合った新たな支援体制を構築してまいります。また、県外避難者に対しては、新たに情報紙などを直接お届けするほか、交流会や東京事務所に配置した支援員による相談対応などを通じて一日も早い帰郷を支援してまいります。
被災地における復興活動支援としては、復興支援専門員の活動等を通じて多様な被災者ニーズの的確な把握に努めながら、地域課題の解決に向けた助言を行うとともに、みやぎ地域復興支援助成金により、被災者の自立に向けた活動やNPO等支援団体の活動が継続できるよう支援していくほか、兵庫県からの寄附金を活用して集会所などの交流拠点施設の整備を進めてまいります。
また、持続可能な社会の創造に向けて、住宅用の太陽光発電システムの設置に対して補助を行うほか、県内の事業者に対しては、太陽光発電やバイオマス発電などの新エネルギー設備や、LED照明などの省エネルギー設備の導入に対する補助を拡充してまいります。

第二に、地域における保健・医療・福祉提供体制の回復・充実についてでありますが、まず、津波で全壊した石巻市立病院、公立志津川病院などの新築をはじめとして、老朽化した気仙沼市立病院の移転新築、特別養護老人ホームの再建など、医療施設や社会福祉施設等の復旧及び機能強化を支援してまいります。また、被災地での介護人材確保のため、関係団体による協議会を設立するほか、普及啓発や就労環境の改善を支援してまいります。
地域包括ケアについては、被災者への支援を通じてこれまで以上にその効果や重要性が強く認識されているところであり、今後県を挙げて重点的に取り組むべきものと考えております。来年度は、新たに医療、看護、福祉等の各分野の方々で構成する推進協議会準備委員会を立ち上げ、県内に広く普及・浸透させるための方策を探るとともに、在宅療養支援などの具体的な取組やアドバイザー派遣、フォーラム開催等の活動を総合的に実施してまいります。
応急仮設住宅にお住まいの被災者については、避難生活の長期化に伴って健康への悪影響も懸念されることから、来年度も引き続き健康調査や健康相談、歯科相談、食生活相談等により病気の予防や悪化防止に努めてまいります。また、震災から間もなく三年となり、周囲が次第に落着きを見せ始めるにつれ、災害の体験や深い悲しみに今も苦しむ方々が、かえってつらい思いを強めていくこともあるのではないかと心配されるところであります。「心の復興なくして真の宮城の復興はない」との認識のもと、専門の相談員が訪問や電話によるきめ細やかなメンタルヘルス相談を行うなど、市町と連携して被災者の心のケアの充実に努めてまいります。
被災した障害者に対しては、専門職員による訪問相談のほか、障害者サポートセンターなどにおいて支援を継続するとともに、聴覚障害者の総合的な相談窓口や災害時の支援活動拠点となる聴覚障害者情報センターを新たに設置し、支援を充実してまいります。

第三に、「富県宮城の実現」に向けた経済基盤の再構築についてでありますが、まず、被災した中小企業等の施設設備の復旧に対しては、グループ補助金や県独自の補助制度をはじめとして、被災企業向けの制度融資や二重ローン対策などさまざまなメニューをそろえ、事業者のニーズに合った支援を引き続き行ってまいります。
また、来年度からは、宿泊施設の再建が遅れている沿岸部を対象に、被災事業者を含む複数の事業者が共同で新たな宿泊施設を整備する場合についても補助することとし、民間資金も取り込みながら沿岸部における交流人口の拡大と地域の活性化を促進してまいります。
県内の中小企業が活力を取り戻すことは、復興の大きな原動力につながるものと考えております。このため、試作開発経費への補助制度を創設して、県内中小企業の新規市場参入と取引拡大を促進するとともに、沿岸部など人口減少地域において、個人事業者などの共同の活動拠点、いわゆるコワーキングスペースを設置し、新規創業を目指す方々を支援してまいります。
また、県民の雇用の安定は、復興の最重要課題であります。このたび、国の平成二十五年度補正予算により緊急雇用創出事業臨時特例基金を積み増すことから、雇用基金を活用して引き続き多様なメニューをそろえ、幅広く雇用の促進を図ってまいります。なお、沿岸部では、災害廃棄物処理の完了に伴って多数の離職者がおられますことから、国や沿岸市町と連携して再就職先のあっせんなどについて重点的に対応してまいります。
南三陸金華山国定公園は、今後、三陸復興国立公園に編入される見込みであり、東北の復興を象徴する観光と交流の場として新たなスタートを切ることとなります。また、国により長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」などの整備が進められる予定でありますので、県としてもシンポジウムの開催などを通じて新たな地域資源としての魅力を全国に発信してまいります。

第四に、農林水産業の早期復興についてでありますが、まず、被災した農地、治山施設、漁港施設等については引き続き復旧に全力を挙げるとともに、並行して農地の大区画化や漁港の機能強化を推進し、農林水産業の生産基盤の強化を図ってまいります。
また、被災した農林漁業者の経営再建に向け、さまざまな制度融資を用意するほか、農機具、漁船、倉庫、作業場など共同で利用する施設設備や加工流通施設の整備を急いでまいります。
さらに、放射性物質の影響で出荷制限を受けている露地栽培の原木シイタケ等について、制限解除に向けた栽培管理や実証等の取組を支援するとともに、津波の影響とされる海域中の貝毒の監視と検査を強化するなど、震災による農林水産物への影響対策にも一層踏み込んで対応してまいります。
県内農林水産業の技術向上と活力強化としましては、大規模イチゴ団地において最新のICT栽培技術を導入したモデル事業に着手するほか、平成二十九年度に開催される全国和牛能力共進会の成功に向けて、関係者と力を合わせて和牛の生産性向上と仙台牛の魅力発信に取り組んでまいります。また、今年は震災の年から四年目に当たり、サケの回帰が激減するのではないかと懸念されることから、サケのふ化放流に対する支援を強化するとともに、魚市場における水揚げ確保対策や水産物加工生産等の強化を通じ、活力ある水産都市の復活を支援してまいります。
農林水産物の販売強化及び風評対策としては、徹底した放射能検査と正確な情報提供により食の安全確保に努めながら、食品製造業者の商品開発力向上と販路の回復や拡大を強力に支援するとともに、各種の広報啓発活動を全国展開し、県産品の風評払拭と消費拡大を図ってまいります。

第五に、公共土木施設の早期復旧等についてでありますが、まず、道路、河川、海岸、港湾等の復旧事業をさらにスピードアップするほか、震災関連車両の増加に伴う道路の損傷にも速やかに対応してまいります。
また、仙台松島有料道路等の四車線化、三陸縦貫自動車道の延伸、みやぎ県北高速幹線道路や大島架橋等の道路整備をはじめ、河川や海岸の改良、都市計画街路の整備など、被災地の復興と今後の発展を目指した基盤整備を進めてまいります。
その他の復興関連事業としましては、沿岸地域の美しい景観を再生し復興のシンボルとするため、貞山運河などの被災河川沿岸に桜などを植樹するほか、復興事業の本格化に伴い、建設資材や盛土材等の不足が懸念されることから、引き続き需給を把握しつつ、供給の安定に努めてまいります。併せて、橋りょうや水管橋などの耐震化を進め、公共インフラの強靱化を推進してまいります。
仙台空港の利用促進に向けては、エアポートセールスやイベントの開催に加え、新たな旅客需要のニーズ調査や空港を核とした広域観光の推進を通じて潜在需要の掘り起こしに取り組むとともに、周辺地域への産業集積を推進してまいります。
平成二十七年の完成予定とされる仙石線と東北本線の接続線整備は、復興の大きな弾みになるものと考えております。このたびJR東日本や関係自治体との協議がまとまりましたことから、県としても整備費の一部を助成してまいります。
また、震災後の道路交通環境の変化などを踏まえ、仙台東部地区の道路ネットワークを検証するとともに、沿岸部の高規格道路と仙台都心間の円滑なアクセス策についても検討してまいります。

第六に、安心して学べる教育環境の確保についてでありますが、まず、津波被害により移転を余儀なくされた気仙沼向洋高等学校及び農業高等学校について、平成二十九年度末の新校舎完成を目指して建築設計を行うほか、復旧事業に着手する幼稚園等の設置者に対して事業費の一部を補助するなど、震災から続く不便な教育環境からの一刻も早い回復に向けて、引き続き全力を尽くしてまいります。また、被災した幼稚園児や児童生徒の就園就学支援についても、市町村や私立学校と連携して来年度も継続してまいります。
松島自然の家については、野外活動フィールド用地の造成等を進めるとともに、平成三十一年度の全面再開に向けて本館等の設計に着手いたします。
また、県内各地で被災した美術品や博物館資料については、専門職員が修復や修理を引き続き支援するとともに、資料の仮保管等収蔵環境の整備に要する経費を補助してまいります。
県内では、震災に起因すると見られる児童生徒の不登校等が増加しており、心のケアが復興に向けての大変重要な課題であると考えております。このような認識のもと、引き続きスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家の学校派遣を充実させ、児童生徒一人ひとりの状況に応じてきめ細かく対応するとともに、教員を対象にした新たな研修会を開催し、心のケアへの対応能力の向上を図ってまいります。
また、地域社会が連携し、学習活動や地域活動などを通じて子どもの育成に関わることにより、地域の教育力の向上や活性化、絆の再生が期待できることから、放課後や週末などにおける子どもの安全で安心な活動の拠点づくりや、子どもの教育活動を支援する人的なネットワークづくりを引き続き推進してまいります。
児童生徒の防災教育については、県内すべての公立学校に配置した防災主任等の研修会を行うほか、今年度に引き続き小学生向けに防災教育副読本を作成するとともに、新たに防災教育に関する推進校を指定して充実を図ってまいります。
また、平成二十八年度の多賀城高等学校防災系学科の開設に向け、担当教員の研修とともに教材やカリキュラム開発を行うほか、ネクストリーダー養成塾を開設し、宮城の次代を切り拓く優れた人材を育成してまいります。

第七に、防災機能と治安体制の回復についてでありますが、まず、津波で全壊した防災ヘリポートについては、平成二十八年度の供用開始を目指し、移転先の利府町内において用地造成などを進めてまいります。
また、県庁舎と各合同庁舎、市町村、消防本部等を結ぶ情報伝達システムについては、衛星系防災行政無線設備をデジタル化するなど、より災害に強い通信手段の確保に努めてまいります。
津波で被害を受けた石巻及び気仙沼の県合同庁舎については、来年度から建替のための設計に着手し、いずれも平成三十年度の供用開始を目指して整備してまいります。
また、復旧を進めている気仙沼警察署については、平成二十八年度の供用開始に併せて、運転免許証の新規交付や更新時の即日交付ができるようにいたします。そのほか、被災した交番や駐在所の復旧工事や交通信号機の機能強化などを進め、災害に強い治安体制づくりに力を入れてまいります。
震災の教訓を後世に伝承するための取組としては、石巻市内に国や市と協同で追悼と鎮魂、教訓伝承のための祈念公園を整備するとともに、震災遺構の保存の在り方を検討してまいります。また、震災時の対応や復興への歩みを記録誌として整理するほか、道路等の公共土木施設に津波浸水表示板を設置し、押し寄せた津波の高さを現場で実感できるようにいたします。
このほか、防災指導員の養成講習や、県内自主防災組織の活動事例の紹介等を通じて、地域ぐるみでの防災意識の高揚と防災体制の強化を図ってまいります。

産業経済の安定的な成長

次に、産業経済の安定的な成長についてであります。まず、企業や大型プロジェクトの誘致は、地域経済を活性化し、復興をさらに加速させる上で重要であるものと考えております。このような認識のもと、復興特区制度や企業立地奨励金などを活用して新たな企業の立地を促進するとともに、仙台空港に隣接した中坪・荷揚場地区に新たな事業用地を整備するほか、放射光施設や国際リニアコライダーの誘致にも力を入れてまいります。
また、工場排熱や温泉熱などの未利用熱を有効に活用する新たな設備の開発に取り組むなど、将来の実用化に向けた新技術の研究開発を一層推進してまいります。
このところ来日する外国人観光客が増加する中で、我が県を含む東北地方のインバウンドは回復が遅れている現状にあります。来年度は台湾などからのインセンティブツアー誘致に重点的に取り組むとともに、無線LAN設備設置への補助制度を創設して、無料でインターネットに接続できる環境を整備するなど、外国人観光客の誘致を推進してまいります。
昨年末、国は「農林水産業・地域の活力創造プラン」を定め、今後五年での国主導による米の生産調整見直しや、今後十年での大規模農家への農地集約など、農政に関する新たな方針を打ち出しました。県では、こうした国の方針を受け、飼料用米の生産拡大をはじめ、農地中間管理機構を活用した農用地の集積、地域の農業者等が共同で取り組む農地維持活動や資源向上活動を支援する多面的機能支払交付金の創設など、新たな事業を展開してまいります。なお、新たな農政の方針に対して農業者が不安を感じることのないよう、国の考え方や県の施策については、丁寧に説明してまいりたいと考えております。
漁業取締船「うみたか」については、竣工から二十年を経過し老朽化しておりましたが、来年度から高性能な代船の建造に着手し、密漁防止に対する漁業者の期待に応えてまいります。

安心して暮らせる宮城

次に、安心して暮らせる宮城についてでありますが、まず、性犯罪被害者支援センターを設置するとともに、DVの電話相談を夜間や休日にも拡大してまいります。また、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある方については、相談窓口を設けるなど、市町村とともに自立支援にも力を入れてまいります。
拓桃医療療育センター及び拓桃支援学校については、平成二十七年度中の供用開始を目指して建設工事を進めるとともに、県内三か所の特別養護老人ホームの整備も支援してまいります。
また、精神科救急医療については、引き続き相談窓口での対応とともに、土曜当番診療所を確保し、体制の充実を図ってまいります。
少子化対策としては、待機児童解消に向けて保育所整備への支援を拡大するほか、幼稚園の預かり保育や保育所の延長保育への支援を充実するとともに、新たに県保育協議会に専門員を配置し、潜在保育士の就労支援を行うなど保育所における人材不足の解消を目指してまいります。
県民の健康を守る新たな施策としては、メタボリックシンドロームの改善に向け重点地区を設定して集中的に取り組むほか、先天性風しん症候群を予防するための抗体検査を実施してまいります。
教育の充実としては、登米総合産業高等学校の平成二十七年度開校、女川町内に新設する支援学校高等学園の平成二十八年度開校に向けてそれぞれ整備を進めるほか、学校運営支援統合システムを導入して学校における成績処理や校務処理の効率化を図るとともに、来年度から新たに小学五年生と中学二年生を対象に県独自の学力調査を実施し、児童生徒の学力向上にも重点的に取り組んでまいります。また、松島高等学校観光科に無線LANやタブレット端末などのICT学習環境を整備し、先進的で質の高い教育の実践に取り組んでまいります。
さらに、低所得世帯の高校生を対象に新たな給付金制度を創設するほか、私立学校に対する運営費補助や授業料軽減補助を通じて、学校経営の健全化と保護者負担の軽減に努めてまいります。
このほか、阿武隈急行に対しては、沿線市町と連携して利用促進のための新たな支援に取り組むこととし、沿線の活性化につなげてまいります。

美しく安全な県土の形成

次に、美しく安全な県土の形成についてであります。まず、地球温暖化対策として、温室効果ガスの排出量を削減して環境への負荷を少なくするため、家庭エコ診断士を養成して診断による「エネルギーの見える化」を推進するとともに、既存住宅において省エネルギー基準を満たす断熱改修を行う場合や、節湯・節水機器と低炭素型浄化槽を併せて住宅に導入する場合に、みやぎ環境税を活用して経費の一部を補助いたします。
また、自然とふれあい、自然環境への理解と関心を高めるため、伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターの展示を一新して充実させるとともに、大和町内の七ツ森県有林を里山環境学習林として位置づけ、遊歩道や案内板等を整備してまいります。
このほか、昨年、法改正により不特定多数の方が利用する大規模建築物等の所有者に耐震診断等が義務付けられたことから、新たに補助制度を設け耐震診断を促進してまいります。

以上、施策の主な内容について御説明申し上げましたが、平成二十六年度の当初予算規模は、一般会計で一兆四千五百八十億四千百余万円、総計で一兆八千三百九十五億八千百余万円となります。財源の主なものとしては、県税二千五百七十九億円、地方交付税二千六百六十八億円、国庫支出金三千五百九十五億六千六百余万円、繰入金三千百三十六億四千五百余万円を計上し、また、臨時財政対策債及び借換債を含め県債二千八百九十八億二千三百余万円を発行することにしております。

平成二十五年度補正予算案

次に、平成二十五年度補正予算案について御説明申し上げます。
国は、昨年十二月に「好循環実現のための経済対策」を閣議決定し、四月からの消費税率引上げに伴う景気の下振れリスクに対応するとともに、早期に力強い成長軌道に復帰して持続的な経済成長を実現するため、今年度の補正予算を編成いたしました。今回御審議をお願いいたします補正予算は、この国の経済対策のための補正予算に対応するものとして編成したものであります。
その主な内容ですが、まず、農用地の利用の効率化及び高度化の促進を図るため、農地中間管理事業等推進基金を新たに造成するとともに、国の追加財源措置により、消費者行政活性化基金、子育て支援対策臨時特例基金、緊急雇用創出事業臨時特例基金、森林整備加速化・林業再生基金について積増しをいたします。
また、中小企業等グループ補助金を所要額計上するとともに、道路、河川、農地、治山、漁港等の公共事業や災害復旧事業のほか、津波で全壊した原子力センターの移転新築工事を前倒しで予算化いたしております。
このほか、危機的な少子化問題に対応するため、結婚のための情報提供や子育てしやすい環境づくりなど、結婚、妊娠、出産、育児の一貫した支援を新たに実施するとともに、特定不妊治療について補助金を増額いたします。
以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計で五百八十億五千余万円、総計で五百八十一億二千余万円となります。財源としては、国庫支出金四百六十三億三千百余万円のほか、地方交付税百十三億二百余万円、県債四億四千五百余万円などを追加しております。
この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆七千五百三十億七千八百余万円、総計で二兆一千三十二億二百余万円となります。

次に、予算外議案については、条例議案三十四件、条例外議案二十八件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。

まず、条例議案でありますが、議第二十九号議案、議第三十六号議案及び議第三十七号議案は、いじめ対策や調査に関する委員会等を設置しようとするもの、議第三十号議案、議第三十三号議案及び議第三十四号議案は、地方独立行政法人法の改正に伴い、宮城大学、宮城県立こども病院及び宮城県立病院機構について、不要となった場合に県への返納を要する重要な財産を定めようとするもの、議第三十一号議案及び議第三十二号議案は、周産期及び小児医療体制の充実強化に関する重要事項を調査審議するため、協議会を設置しようとするもの、議第三十五号議案は、農地中間管理事業等推進基金を設置しようとするものであります。また、議第三十八号議案は、知事部局職員、警察職員及び学校教職員の定数を改定しようとするもの、議第三十九号議案は、特殊勤務手当の支給方法等について所要の改正を行おうとするもの、議第四十号議案、議第四十一号議案、議第五十五号議案、議第五十六号議案及び議第六十号議案は、消費税率の引上げ等に伴い各種使用料及び手数料を改定しようとするもの、議第四十四号議案は、住民基本台帳ネットワークシステムを利用できる事務を追加しようとするもの、議第四十五号議案は、県有施設の屋根に太陽光発電設備を設置する場合の使用料を新設しようとするもの、議第四十六号議案は、震災対策に東日本大震災の教訓を反映しようとするもの、議第四十七号議案及び議第五十三号議案は、国による事業の拡充に伴い、消費者行政活性化基金及び緊急雇用創出事業臨時特例基金の失効期日を延長しようとするもの、議第五十一号議案は、指定障害福祉サービスの事業等の基準に関し、所要の改正を行おうとするもの、議第五十七号議案は、宮城県登米総合産業高等学校を設置するとともに、県立高校の授業料不徴収に係る規定を削除しようとするもの、議第五十九号議案は、警察本部の組織改編に伴い所要の改正を行おうとするもの、議第六十二号議案は、職業能力開発促進法施行規則の改正に伴い、職業訓練指導員修学資金貸付制度を廃止しようとするものであります。

次に、条例外議案でありますが、議第六十三号議案は、ライフル射撃場の指定管理者を指定することについて、議第六十四号議案及び議第六十五号議案は、就学支援金の支給に関する事務の委託について、議第六十六号議案は、多文化共生社会推進計画の策定について、議第六十七号議案は、自然エネルギー等の導入促進及び省エネルギーの促進に関する基本的な計画の変更について、議第六十八号議案は、包括外部監査契約の締結について、議第六十九号議案は、地方独立行政法人宮城県立こども病院が作成した業務運営に関する目標を達成するための計画を認可することについて、議第七十号議案は、宮城県道路公社による有料道路の料金変更の同意について、議第七十一号議案は、財産の処分について、議第七十二号議案ないし議第七十四号議案は、工事委託変更契約の締結について、議第七十五号議案ないし議第七十九号議案は、工事請負契約の締結について、議第八十号議案ないし議第八十九号議案は、工事請負変更契約の締結について、議第九十号議案は、流域下水道事業の維持管理に係る市町村受益負担金について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。

以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

お問い合わせ先

広報課企画報道班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2281

ファックス番号:022-263-3780

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