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第三百四十回宮城県議会知事説明要旨

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年2月19日更新

平成25年2月19日

 本日ここに第三百四十回宮城県議会が開会され、平成二十五年度一般会計当初予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、平成二十五年度の県政運営の考え方と議案の概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災の発生から二年が経過しようとしております。時の流れは否応なしに進み、過去へと移ろい行くものではありますが、「三月十一日」は決して忘れることのできない永遠の記憶として私たちの心に刻まれております。これまでの間を振り返り、万感胸に迫る思いでございますが、ここに改めて幾多の困難を乗り越えようと懸命に努力を積み重ねてきた被災者をはじめ関係者の皆様に敬意を表しますとともに、国内外から賜りました温かい御支援と議員各位のお力添えに対し、心より感謝申し上げる次第であります。

 復旧・復興の取組は一歩ずつ着実に進んでまいりました。しかしながら、未だ多くの方々が不自由な生活を余儀なくされており、事業活動の再開等も緒に就いたばかりであります。また、一方では被災地への関心が薄れつつあり、震災の記憶の風化も懸念されております。

 県といたしましては、力強く歩みを進める元気な宮城、そして、温かく手厚い支援の継続を必要としている宮城、この二つの現実の姿をしっかりと直視し、被災者に寄り添いながら、そして被災市町との連携をこれまで以上に深めながらひたむきに前進してまいる所存であります。

 「伏すこと久しきは、飛ぶこと必ず高し」―これは長い間地上にあって力を蓄えていた鳥が一度飛び立つと、必ず大空高く舞い上がるとの比喩で「菜根譚」に記された人生訓の一つでありますが、私はこの言葉を「震災以降、県民の皆様が懸命に取り組んできた努力が、必ずや復興・発展へと導く大きな力となって結実する」―そのような意味に捉えております。これまで歩んできた苦難の道のりは、未来への飛躍を期して力を蓄積するための大切な過程であり、今こそ更なる高みを目指し全力で邁進すべき時であるとの決意を新たにしたところでもあります。

 平成二十五年度は「宮城県震災復興計画」に掲げた「復旧期」の最終年度であり、「復旧」にとどまらない抜本的な再構築により「ふるさと宮城の再生」を実現するための基礎・土台を築き上げる重要な年であります。一日も早く「元の姿」を取り戻すとともに、更なる発展に向けた将来への「種まき」にも並行して取り組みながら、県民生活に明るい未来の展望を拓き、現代社会の課題を解決する新たなモデルを確立するとの気概を持って精一杯努力してまいりますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 山積する数々の課題を解決しながら大震災からの復旧を成し遂げるためには、被災者の方々の生活基盤の安定に最優先で取り組む必要がありますことから、まずは、昨年十二月に気仙沼処理区の焼却施設が稼働し県内全ブロックで処理が本格化いたしました災害廃棄物の処理を来年三月までに完了するために全力を注いでまいります。

 また、災害公営住宅の整備など被災者の生活環境の確保や心のケアをはじめとする健康、教育、生活安全等に関する普及啓発、相談・巡回訪問活動、更には地域コミュニティの維持・再生など多岐にわたるきめ細かな支援対策にも万全を期してまいります。

 次に、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応につきましては、食品等の安全安心を確保するための検査や除染等に引き続き注力するとともに、県産品等の風評払拭と損害賠償請求に対する支援を強化してまいります。また、原子力災害対策に関する宮城県地域防災計画の修正を踏まえた体制の強化にも努めてまいります。

 昨年末、世界トップクラスの国内自動車メーカーが大和町のエンジン工場を本格操業させました。待望のエンジン工場の稼働により自動車生産拠点機能は飛躍的に高まり、正に「復興のエンジン」として本県ものづくり産業の発展を力強くけん引するとともに、雇用創出や地元企業との取引拡大を通じた経済の活性化が期待されるところであります。県といたしましても、地域中小企業等の事業再開や育成支援等の産業政策と雇用政策を一体的に推進して安定的な雇用の創出等に努めるほか、課税実施期間の延長をお認めいただいた「みやぎ発展税」を積極的に活用するなど「富県宮城の実現」に向けた取組を更に強化してまいります。

 また、今年四月から六月には本県単独で二度目となる「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」が開催されます。前回のデスティネーションキャンペーン以降も着実に培ってきた官民挙げての誘客の取組に加え、東北各県等とも連携した広域観光や外国人観光客の誘致、「語り部」などに代表される被災地ならではの新たな取組を展開し、「笑顔咲くたび 伊達な旅」のキャッチフレーズにふさわしい、心温まるおもてなしと感謝の気持ちを国内外に発信してまいります。

 さらに、復旧・復興を進めるに当たっては、将来にわたり持続可能な社会と環境保全を実現することが必要不可欠であり、このことが未来への「種まき」としての大きなポイントにもなることから、「みやぎ環境税」や地域環境保全特別基金を積極的に活用した太陽光発電など再生可能エネルギーの導入に加え、県産材の利用促進、森林保全など自然環境や生態系の維持等の取組強化にも努めてまいります。また、産学官金の連携による次世代産業の創出に向けた取組や農林水産業に関する先端技術の開発・普及プログラムを推進するなど宮城の将来を担う産業基盤の構築を推進してまいります。 

 さて、東日本大震災では、支援物資等の集積・管理を行う拠点や関係機関が連携して活動する拠点が確保されていなかったことから、迅速かつ効率的な支援活動が実施できなかったとの教訓を踏まえ、「宮城県震災復興計画」において東北一円を対象とする中核的防災拠点の在り方を提案しており、また、この提案に対応した県内における「広域防災拠点」の在り方の検討と具体的取組が必要とされているところであります。

 このような中、今般、宮城野原公園総合運動場の周辺地区において「広域防災拠点」としての整備を検討することについて仙台市など関係者の間で基本的合意が得られたことから、具体的な整備計画等に関し今後更に協議・検討を重ねてまいりたいと考えております。

 なお、毎年三月十一日を「みやぎ鎮魂の日」と定めることにつきましては、今議会に関係条例案を提出させていただきました。先ほども申し述べさせていただきましたが、「三月十一日」は私たちにとって決して忘れることのできない特別の日であります。東日本大震災の犠牲者追悼と震災の記憶を伝承する祈念の日として、そして「ふるさと宮城の再生」を果たすことへの誓いを共有できる日とするために全力で取り組んでまいりますので、議員各位はもとより県民の皆様方の御理解と御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

 今年は仙台藩祖・伊達政宗公が支倉常長らを慶長遣欧使節として派遣し、その乗船サン・ファン・バウティスタ号が石巻市月浦を出帆してから四百年に当たる記念すべき年であります。太平洋と大西洋の大海原を横断し、遠くメキシコからスペイン、イタリアにまで至った大航海の足跡に思いを馳せるとき、改めて先人たちが成し遂げた偉業と志の雄大さに感激し心が躍動する気がいたします。また、サン・ファン・バウティスタ号の復元船が大津波にも耐え抜いた姿は、正に「復興のシンボル」にふさわしく、県民が誇るべきかけがえのない財産であるとの思いを新たにしたところでもあります。

 この歴史的偉業とサン・ファン・バウティスタ号に象徴される本県の復興の姿を力強くアピールし、後世に伝えていくため、県と関係自治体・団体等から構成される実行委員会を主導して記念イベント等を開催することとし、地域の復興推進と歴史文化への意識高揚に努めてまいりたいと考えております。

(当初予算の編成方針)

 次に、当初予算の編成に当たっての基本的な考え方を御説明申し上げます。

 昨年末に執行された総選挙の結果、政権が交代し第二次安倍内閣が誕生いたしました。安倍首相は平成十九年以来の再登板となりますが、言うまでもなく政権獲得は目的ではなく手段であります。これまでの経験を十分に活かして内外ともに山積する重要課題を迅速かつ積極果敢に解決すること、とりわけ、被災地の復旧・復興には最優先で取り組んでいただきますことを心より御期待、お願い申し上げます。

 国では先月、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を一体かつ強力に実行し「経済再生」、「復興」、「危機管理」を実現する政策パッケージの第一弾として、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」とこれに基づく平成二十四年度の大型補正予算を決定したところであります。この補正予算は平成二十五年度予算と合わせた「十五か月予算」として切れ目のない一体的な執行が図られることとされておりますが、復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安心・地域の活性化を三つの重点分野として掲げる国の政策は、「宮城県震災復興計画」と「宮城の将来ビジョン」を県政推進の基盤に据える本県の方向性と一致するものであり、国との連携・協調を一層強化しながら力強く施策を展開してまいりたいと考えております。

 なお、被災者の住宅再建に対する新たな支援策等を含む今回の国の補正予算につきましては、内容を適切に見極めながら県としても速やかに補正予算措置を講じ対応してまいります。

 さて、国の平成二十五年度予算は、審議日程の関係等から新年度においては当面、骨格部分だけが先行して成立する暫定予算として執行される見込みですが、景気の底割れを防ぎ、デフレからの脱却を実現するためにも早期の成立・執行が必要であります。特に、三つの重点分野の中でも「復興・防災対策」は被災地にとって極めて重要な位置付けにあるものですが、概算要求段階では事項要求とされていた震災復興特別交付税をはじめ東日本大震災復興交付金等の支援制度が引き続き予算計上されたことや、災害復旧及び復興関連公共事業等についても所要額が盛り込まれるなど、復旧・復興の加速化が期待できるものと評価しております。また、国が集中復興期間としている平成二十三年度から二十七年度までの五年間における復興予算の試算額「十九兆円枠」についても二十五兆円程度に見直すことが表明されており、必要な財源が確保される見通しの下で更にしっかりと腰を据えて復旧・復興に取り組むことができるものと意を強くしております。

 しかしながら、地方財政運営の指針となる地方財政計画においては、地方税収の伸びに伴い一般財源総額は確保されたものの、国家公務員に準じた地方公務員の給与削減措置を講ずるよう要請するとの名目で地方交付税総額が大幅に削減されたほか、臨時財政対策債は逓増するなど地方財政運営に支障を来しかねない、極めて遺憾な内容となっております。

 言うまでもなく地方交付税は地方固有の財源であり、使途を制限されるものでもないことから、十分な協議の暇もなく国が恣意的・一方的に減額を強要することなどあってはならないものです。また、地方は国に先んじて独自に給与と人員の削減による総人件費の減額に取り組んできており、本県においても平成十一年度からほぼ一貫して給与削減措置を継続してきております。

 危機的な状況にある国の財政において、復旧・復興をはじめとする巨額の財政需要に応じた財源を確保するためには、国と地方そして官民の区別なくオールジャパンでの取組が必要であることは理解するところでありますし、そのためにも不断の努力を今後とも継続していかなければならないのであればなおのこと、国と地方とが対等の立場、同じ目線で歳入確保と歳出削減のために知恵を絞り、議論を重ねながら相互に協調して行財政改革の取組を進めていく姿勢こそが重要であると考えております。

 改めて、国には地方分権の趣旨に則った適切な対応を求めるとともに、権限と財源の移譲や地方機関の見直し、更には地域経済活性化の視点等も踏まえた総合的見地からの検討・協議を進めるよう強く要望してまいります。

 平成二十五年度当初予算案は、昨年末に策定いたしました「平成二十五年度政策財政運営の基本方針」に基づき、「宮城県震災復興計画」に掲げた「分野別の復興の方向性」に沿った七つの政策を主要政策と位置づけて幅広く展開するため、国の制度や支援を最大限に活用しながら可能な限り人材と財源を復旧・復興に集中させることとしております。また、通常の事務事業については更に徹底した見直しを行うなど将来的な財政再生団体への転落回避にも十分配慮し、復旧・復興関連事業への重点配分と財政の健全性の確保との両立が図られるよう編成したものであります。

 震災対応予算についてですが、まず、歳入面では国庫支出金や震災復興特別交付税、国の経済対策等に伴い造成した各種基金を積極的に活用するとともに、東日本大震災復興基金や地域整備推進基金など県独自財源の活用も図りながら財源確保に努めております。また、歳出面では、災害復旧や災害廃棄物処理に要する経費が減少しましたが、東日本大震災復興交付金を活用した道路・街路、漁港、農業農村整備等の復興関連事業や被災者の生活再建支援、地域医療再生等の経費について重点的に措置しております。

 一方、通常予算の財政収支については、堅調に推移する復興需要等に伴い県税収入の回復が見込まれますが、地方交付税は大幅に減額されたほか、多額の臨時財政対策債の発行により県債残高が累増するなど依然として厳しい状況が続いております。さらに、退職手当債や行政改革推進債など特例的な地方債による財源手当や財政調整基金の取崩しにより収支の均衡を図りましたが、時間の経過とともに多様化する復興ニーズや将来的な財政需要に的確に対応するためにも、今後ともありとあらゆる手立てを講じながら財源の確保を図っていく必要に迫られております。

 この結果、平成二十五年度当初予算案は前年度より縮小しましたが、依然、平年時の約二倍弱に当たる規模であることに加え、平成二十三年度及び二十四年度予算については、国の補正予算への対応も含め一部事業を繰り越して執行する必要があることから、実質的には前年度とほぼ同程度の事業量が確保されているものと考えております。このため、国や他自治体には人的支援の継続を要請するとともに、復興JVや発注者支援業務など民の力を活かすための取組や入札制度の更なる改善等の施策を総動員し、全職員の知恵と力を結集して効率的かつ円滑な予算執行に努めながら「復旧期」の仕上げに全力で取り組んでまいります。

 平成二十五年度当初予算案における主な施策についてですが、初めに、宮城県震災復興計画に基づき重点的に取り組むこととしました七つの主要政策について御説明申し上げます。

(被災者の生活再建と生活環境の確保)

 第一に、被災された方々の生活再建と生活環境の確保についてでありますが、まず、応急仮設住宅の供与期間が一年間延長されたことに伴う借上げ民間賃貸住宅などの再契約を行うとともに、災害公営住宅の整備を一層推進してまいります。また、既存の住宅債務に係る利子への助成等により被災者の負担軽減を図りながら恒久的な居住環境の確保に全力を尽くしてまいります。さらに、応急仮設住宅での相談・巡回訪問等の生活支援を行うサポートセンターの運営やNPO等の自立的・継続的な活動を引き続き支援するほか、災害公営住宅への移行を見据えた高齢者等の見守り体制の構築についても市町を支援してまいります。併せて、被災者復興支援会議や復興支援専門員の活動等を通じて個別・多様化している被災者ニーズの的確な把握に努めながら、柔軟かつ速やかな課題解決を図るための「(仮称)みやぎ地域復興支援助成金」を新たに設けるなど、官民が協働・連携する重層的な支援体制を強化してまいります。

 このほか、被災者向け生活支援ガイドブックの作成・配布に加え、県外避難者の相談等に当たる専門職員を東京事務所に配置するとともに、兵庫県からの寄附金を活用した住民相互の助け合い・支え合いの拠点となる施設整備への助成制度を創設するなど地域コミュニティの維持・再生を促進してまいります。

 なお、自然エネルギー等の導入促進策といたしましては、住宅用太陽光発電システム設置に対する助成に加え、民間事業所の省エネルギー設備や付帯する蓄電設備等に対する助成制度を拡充するほか、農村地域における小水力発電施設の導入に向けた取組を進めてまいります。

(保健・医療・福祉提供体制の回復)

 第二に、地域における保健・医療・福祉提供体制の回復・充実についてでありますが、まず、健康調査や看護師・保健師、理学・作業療法士、歯科医師、管理栄養士等による保健・食生活相談など被災者に対する手厚い健康支援とともに、病院、診療所、薬局等の医療関係機関や特別養護老人ホーム、障害福祉サービス事業所等の復旧・整備を引き続き推進してまいります。また、医師や看護師など地域医療の回復に不可欠な医療従事者の人材確保を図るため、修学資金貸付けや研修等の制度を拡充するほか、石巻市立病院、気仙沼市立病院、公立志津川病院等の復旧・整備を本格的に支援してまいります。さらに、地域の中核的な病院を中心に病院・診療所、介護施設、薬局等が患者の診療情報等を相互に共有する情報ネットワークを構築するための支援を大幅に拡充し、安全で効率的な地域医療連携システムを確立してまいります。

 震災によるストレス等に起因する様々な心の問題については、昨年度設置いたしました「みやぎ心のケアセンター」を中心にきめ細かな取組を展開するとともに、子どもの心のケアについては、学校・教育関係機関等との連携を深めながら子ども総合センターを中心とした専門チームによる巡回相談等の活動を強化するなど、特に手厚い支援を実施してまいります。また、被災した障害者等の相談・支援に当たる人材の育成や地域コミュニティでのネットワーク形成等の支援充実に努めるほか、各施設の復旧と経営再開を円滑に推進するため、保育士等の人材確保や事業体系の再構築を支援するコーディネーターを配置するなど民の力を最大限に活かしたシステムの構築にも鋭意取り組んでまいります。

 なお、被災した聴覚障害者の生活再建支援については、昨年度設置したみやぎ被災聴覚障害者情報支援センター「みみサポみやぎ」による支援体制を継続するとともに、将来的な支援拠点の在り方について具体的な検討に着手してまいります。

(「富県宮城の実現」に向けた経済基盤の再構築)

 第三に、「富県宮城の実現」に向けた経済基盤の再構築についてでありますが、まず、産業復興を果たすための大前提でもある中小企業等施設・設備の復旧・整備について、対象業種の拡大を図りながら引き続き支援してまいります。また、中小企業等復旧・復興支援事業、いわゆる「グループ補助金」において既に交付決定を受けたものの事業の遅れ等により繰越が認められない事業者についても、新年度での事業実施に支障が生じないよう諸手続き等に万全を期してまいります。さらに、中小企業金融円滑化法の失効を踏まえた新たな融資制度の創設を含め、事業経営に必要な資金を安定的に融通するための融資枠の確保や信用保証料率の引下げ、利子補給など金融面の支援に加え、本格的な事業活動の展開等に向けた経営相談、取引拡大や販路開拓等への支援、被災地における新規創業に対する助成制度の創設など手厚くきめ細かい支援策を展開してまいります。

 安定的な生活を営むために必要不可欠な雇用の創出・確保については、沿岸地域における中小企業等の雇用維持奨励制度を創設するほか、企業説明会や合同就職面接会など新規学卒者や離職者等の就職促進と雇用の需給ミスマッチの解消を図るための取組を強化いたします。また、緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用した短期的な雇用の場を確保することに加え、被災地域の産業復興策と連動する「事業復興型雇用創出助成金」について新たに対象拡大を図るなど、国や市町村との連携と産業政策との協働により安定的な雇用創出に向けた総合的な支援策を展開してまいります。

 観光振興については、「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」に加え、四季折々の美しい景観や美味しい食材など宮城の魅力を国内外に発信する誘客プロモーション活動を官民挙げて展開し、観光による復興と風評による影響の早期払拭に向けた施策を充実してまいります。

(農林水産業の早期復興)

 第四に、農林水産業の早期復興についてですが、まず、農業分野では、農地の復旧や除塩など農業生産基盤の回復とともに農地の大区画化や集積を並行して推進し、競争力のある農業生産体制を構築してまいります。また、震災の影響等で減少した原材料の仕入先や販路の回復と新規開拓、更には六次産業化の促進に対する支援制度を創設・充実するほか、風評払拭のための情報発信・広報啓発を一層強化するなど生産から販売まで一貫した支援を実施してまいります。併せて、民間・大学・試験研究機関等が開発した先端技術の実証試験を被災地域で展開してその普及・定着を促進するなど、先進的で魅力ある農業・農村の再興を目指し鋭意取組を進めてまいります。

 畜産関係では、畜舎の復旧や代替え家畜の購入に対する支援を継続するとともに、優良な繁殖雌子牛の県内保留と増頭への支援制度を創設いたします。また、第十一回全国和牛能力共進会の県実行委員会に負担金を拠出し、大会の開催に向けた準備を本格化させてまいります。

 林業分野では、復興に伴う住宅や公共施設等の建築需要の増加も見据え、「みやぎ環境税」を活用した県産木材の利活用促進策を拡充するほか、適切な間伐の推進や作業道の整備等による効率的な森林整備と安定的な木材生産に取り組んでまいります。また、高性能機械や木材加工流通施設、木質バイオマス関連施設等の整備に対する支援も大幅に拡充して林業生産の早期復興を加速するほか、林野海岸保全施設や海岸防災林の復旧を本格的に推進してまいります。さらに、放射性物質により被害を受けた林産物については、検査体制の強化に努めるとともに、生産再開に向けて新しい原木ほだ木の調達や汚染ほだ木の撤去集積等の取組をしっかりと支援してまいります。

 水産業分野では、漁港背後地の地盤嵩上げや排水対策等の機能強化、岸壁、物揚場、防潮堤等の復旧・整備に全力を挙げるとともに、小型漁船や共同利用施設、加工流通施設等の整備、更には、操業中に回収した災害廃棄物の処理等に対する支援を継続し、本格的な漁港・漁場機能の回復を急いでまいります。また、生産を再開した漁業者等の経営を強化するため、サケやアユ、シジミ等の稚魚・種苗の確保を支援するとともに、産地情報や消費者ニーズを的確に把握・集約・分析して販路の回復と新規開拓に結びつけるための新たな販売戦略を構築するなどハード・ソフト両面からの支援策を強力に推進してまいります。さらに、被災した水産技術総合センターの種苗生産施設や気仙沼水産試験場等の試験研究機関については、東日本大震災復興交付金等の財源を積極的に活用しながら順次、復旧・整備を進めてまいります。

(公共土木施設の早期復旧)

 第五に、公共土木施設の早期復旧等についてでありますが、まず、復興を支える重要な基盤となる道路や港湾、河川、海岸等の災害復旧事業を更に加速させてまいります。また、三陸縦貫自動車道やみやぎ県北高速幹線道路、大島架橋、国道三百九十八号石巻バイパス等の整備を推進するなど内陸部を含めた総合的な道路ネットワークの復旧・整備を力強く推進してまいります。さらに、貞山運河など被災河川の沿岸に植樹を行い美しい景観の回復に努めるほか、津波の浸水高等の表示板設置を推進するなど、県土全域で災害に強いまちづくり宮城モデルの構築を総合的に進めてまいります。

 石巻港及び松島港と統合一体化された仙台塩釜港は、貨物取扱量が震災前とほぼ同水準にまで回復することが見込まれますが、復興をけん引する広域物流・防災拠点として引き続き各港区の整備を促進してまいります。また、国が検討を進めている仙台空港運営の民間委託に関し、空港と関連事業との経営一体化の手法について検討・協議を進めるとともに、空港活性化の実現に向けた機運醸成と情報発信を行うための会議の設置や空港周辺の開発に関する検討など「みやぎ国際ビジネス・観光拠点化プラン」の具体化を推進してまいります。

 県民生活と産業活動を支える上水道と工業用水道については、仙南・仙塩広域水道の緊急時におけるバックアップ機能の強化を図るため、高区系と低区系の送水管路の連絡管整備に着手するとともに、水管橋等の耐震化を推進してまいります。また、流域下水道については本格的な下水処理を再開させるとともに、被災市町等の下水道復興計画を踏まえた生活排水処理の基本構想を策定いたします。

 併せて、復興の推進に伴い供給不足の深刻化が懸念される建設資材等の効率的な調達・確保についての調査検討と関係機関との連携を強化するほか、建設工事の事故対策にも一層力を注ぐなど円滑な事業執行体制の確立に努めてまいります。

(安心して学べる教育環境の確保)

 第六に、安心して学べる教育環境の確保についてでありますが、まず、水産高等学校の新校舎等の設計と農業高等学校及び気仙沼向洋高等学校の移転先用地の取得・造成工事に着手するとともに、津波によって流出・破損した備品類や教育機材等の復旧・整備を進めるなど仮設校舎における教育環境向上にも努めてまいります。また、震災から三年目を迎えることを踏まえ、阪神・淡路大震災の事例等も十分に考慮しながら被災した児童生徒等の心のケアを充実させるため、スクールカウンセラーや専門家等の配置・派遣を大幅に拡充するとともに、いじめ等の問題行動の未然防止にも万全を期してまいります。さらに、教職員の資質向上を図るため、学習指導や生徒指導、教育相談等の研修体制も強化いたします。併せて、市町村等とも連携しながら育英基金奨学金の給付や学用品費等の負担軽減、幼稚園就園等への支援を継続するとともに、放課後や週末等における安全・安心な学習活動拠点の設置によりコミュニティの再生と子どもたちの成長を地域社会で支えていく仕組みづくりを推進してまいります。

 このほか、東日本大震災の教訓を確実に次世代に伝承し、災害時に様々な分野で重要な役割を果たせる人材を育成するため、防災に関する専門学科を多賀城高等学校に新設するための準備を進めるほか、教育副読本の作成など防災教育の充実にも更に尽力してまいります。また、天井や照明器具など非構造部材の危険性が指摘されていることから、県立学校の点検調査を急ぐとともに、市町村には専門技術者を派遣するほか、私立学校に対する新たな助成制度を創設して耐震化等の対策を早急に講じてまいります。

 なお、津波で全壊した松島自然の家については、平成三十一年度までの全面再開を目指して東松島市立宮戸小学校とその周辺地に移転・新築するための測量や地質調査、設計等に着手いたします。

(防災機能・治安体制の回復)

 第七に、防災機能と治安体制の回復についてでありますが、まず、今月修正した宮城県地域防災計画に基づき、各合同庁舎、市町村、消防本部等を結ぶ地域衛星通信ネットワークの更新による情報伝達システムの再構築を推進するとともに、防災指導員の養成講習や防災用資機材の確保、更には避難所等における女性への配慮等の視点も踏まえた防災意識の啓発と高揚にも努めてまいります。

 東日本大震災の教訓等を後世に伝承するための震災記録の作成・検証については、関係機関等の協力も得ながら資料の収集・整理を継続して行うとともに、県図書館において資料をデジタル化し公開する取組を並行して進めてまいります。また、国から無償貸与を受ける防災ヘリコプター代替機が運航を開始いたしますが、新たな管理事務所と格納庫等については利府町内の県有林を移転候補地として必要な調査を実施し、平成二十八年度からの供用開始を目指し実施設計等を進めてまいります。

 一方、治安体制については、気仙沼警察署の実施設計と一部工事に着手し、平成二十七年度までの復旧を目指して整備を進めるとともに、被災した交番・駐在所等の早期復旧にも努めてまいります。また、「みやぎ発展税」等の財源も活用し警察署庁舎の非常用発電設備や交通信号機、交通管制システム等の整備を推進し、災害に強い治安体制の強化を図ってまいります。

 さらに、被災地域における犯罪や交通安全に関する情報を応急仮設住宅等に的確に伝達・発信するなど、被災地域の治安対策についても一層強化してまいります。

 なお、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応については、先ほど御説明申し上げましたとおり、全庁挙げて県民の不安解消や風評払拭、損害賠償請求への支援などに努めてまいります。

 このほか、仙台港国際ビジネスサポートセンター「アクセル」については、知事部局と企業局との間で管理区分を明確化した上で、隣接する「夢メッセみやぎ」と一体化した管理運営体制の構築に向け復旧・整備を進めてまいります。

(宮城の将来ビジョン関連施策等)

 次に、「宮城の将来ビジョン」の着実な推進に資する主な施策等について御説明申し上げます。

 初めに、富県宮城の実現についてですが、まず、企業立地奨励金や「民間投資促進特区」等を積極的に活用し、自動車関連産業や高度電子機械産業を中心とした企業立地と産業集積に引き続き邁進するとともに、「みやぎ発展税」も活用しながら情報関連産業の商品開発や事務系人材の育成等に対する支援を強化してまいります。また、仙台松島道路の松島海岸インターチェンジから鳴瀬奥松島インターチェンジまでの区間の四車線化や三港統合一体化された仙台塩釜港の港湾機能等の整備促進に加えて、四十五フィートコンテナ輸送のための車両購入に対する助成制度を創設するなど、宮城の飛躍を支える産業基盤の整備も着実に進めてまいります。

 次に、安心と活力に満ちた地域社会づくりについては、まず、放課後の児童クラブ及び子ども教室の活動に対する支援を拡充するほか、延長保育や病児・病後児保育など総合的な子育て支援体制の充実にも努めてまいります。また、仙台市青葉区に新設する特別支援学校については平成二十六年四月の開校に向け整備工事を進めるとともに、特別支援教育の課題等について調査検討を行う審議会を新たに設置し将来的な構想の策定に着手いたします。さらに、(仮称)登米総合産業高等学校の開設準備組織を設置して開校に向けた準備を本格化するほか、学力向上研究指定校や進学重点支援校の指導体制の強化など学力向上策にも力を注いでまいります。

 私学振興については、幼稚園の休業日預かり保育への助成を拡充するほか、運営費や生活困窮世帯に対する授業料軽減への支援を推進し、保護者負担の軽減と学校運営の健全化に努めてまいります。

 全国でも最下位水準にある本県のメタボリックシンドロームの状況改善を図るため、生活習慣病予防に重点を置いた健康づくり施策を県民運動として展開してまいります。また、高齢者人口の増加傾向が依然、高水準で推移していることを踏まえ、「第五期みやぎ高齢者元気プラン」に掲げた特別養護老人ホームの整備を加速するとともに、認知症疾患に関する専門的な医療機関の支援を強化してまいります。さらに、精神科救急医療について、医療相談窓口の設置や土曜日の昼間における受診体制の構築など医療システムの拡充を図るとともに、有識者による検討組織を創設して関係機関相互の連携・調整を更に強化してまいります。

 なお、県立こども病院の隣接地に移転する拓桃医療療育センター及び拓桃支援学校は平成二十七年度中の完成を目指し整備工事を推進してまいりますが、移転後の拓桃医療療育センターの管理運営については、地方独立行政法人宮城県立こども病院との間で運営主体の一体化に向け具体的検討を進めてまいります。

 次に、人と自然が調和した美しく安全な県土づくりについては、まず、地域環境保全特別基金を積極的に活用し公共施設と民間施設の双方への再生可能エネルギー導入を推進してまいります。また、村田町竹の内地区産業廃棄物最終処分場については、特定産業廃棄物特別措置法の延長に伴い支障除去対策を実施しながらモニタリング等の監視体制を維持するほか、沿岸地域における不法投棄を未然に防止するため産業廃棄物適正処理監視指導員、いわゆる「産廃Gメン」を増員いたします。さらに、供用を開始する払川ダムに引き続き長沼ダムを完成させるほか、筒砂子ダムについて調査検討を継続し、川内沢ダムについては地形測量等に着手するなど総合的な治水・利水対策を着実に講じてまいります。

 以上、施策の主な内容について御説明申し上げましたが、平成二十五年度の当初予算規模は、一般会計で一兆五千二百十三億六百余万円、総計で一兆八千三百三十六億四千六百余万円となります。財源の主なものとしては、県税二千三百八十億円、地方交付税二千四百七十九億円、国庫支出金二千九百六十四億五千六百余万円、諸収入三千六百三十億六千二百余万円を計上し、また、臨時財政対策債及び借換債を含め県債二千四百九十二億九千九百余万円を発行することにしております。

 次に、予算外議案については、条例議案十九件、条例外議案十七件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。

 まず、条例議案でありますが、議第十六号議案は、特別職等の給料及び一般職の管理職手当を削減しようとするもの、議第十七号議案は、先ほど御説明申し上げましたとおり、三月十一日を「みやぎ鎮魂の日」として定めようとするもの、議第十八号議案は、被災地域における看護職員の確保を図るため、看護学生修学資金の貸付制度を創設しようとするもの、議第十九号議案は、新型インフルエンザ対策を総合的に推進するため、宮城県新型インフルエンザ等対策本部を設置しようとするもの、議第二十号議案は、特別支援教育の在り方に関する総合的かつ基本的な構想の策定等に関する事項を審議するため、宮城県特別支援教育将来構想審議会を設置しようとするものであります。また、議第二十一号議案は、知事部局職員、警察職員及び学校教職員の定数を改定しようとするもの、議第二十二号議案は、給与構造改革に伴う経過措置額を廃止するなど職員給与を改定するため、所要の改正を行おうとするもの、議第二十三号議案は、特別職等の退職手当の支給割合を引き下げるなど、所要の改正を行おうとするもの、議第二十四号議案は、国家公務員退職手当法等の改正に準じ、一般職の職員の退職手当支給率の見直しを行おうとするもの、議第二十五号議案は、低炭素建築物の新築等計画の認定に係る手数料の新設等を行おうとするもの、議第二十七号議案は、住民基本台帳ネットワークシステムを利用できる事務を追加しようとするもの、議第二十八号議案は、県統計調査票情報を国の行政機関等に外部提供するため、所要の改正を行おうとするもの、議第三十号議案は、道路法施行令の改正に準じ、道路占用料を改定しようとするもの、議第三十三号議案は、国から権限委譲される特別名勝松島の現状変更等の許可等に関する事項を審議するため、文化財保護審議会に部会を設置しようとするもの、議第三十四号議案は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令の改正に伴い、所要の改正を行おうとするものであります。

 次に、条例外議案でありますが、議第三十五号議案は、土地区画整理事業の実施に伴う市の境界変更について、議第三十六号議案は、包括外部監査契約の締結について、議第三十七号議案ないし議第四十九号議案は、工事請負契約の締結について、議第五十号議案は、国営土地改良事業に係る市町村受益負担金について、議第五十一号議案は、流域下水道事業の維持管理に係る市町村受益負担金について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。

 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。