自分たちの地域は自分たちで守る「自主防災組織」
自分たちの地域は自分たちで守る「自主防災組織」の説明や実際の活動などを紹介しております。
これから自主防災組織の結成を考えている方はもちろんのこと、既に活動している自主防災組織の方もご覧になって、今後の活動の参考としてみてください。
また、ホームページの中で自主防災組織の活動報告の様式も用意しておりますので、ご自身の組織の活動を是非皆様にご紹介ください。
1.防災の三助「自助・共助・公助」
防災対策の基本は、
自助…自分の命は自分で守る
共助…地域社会が協力してお互いを守る
公助…行政が防災対策・救護・支援を実施する
の3つであるといわれています。これらが上手く連携を保つことで、防災対策は効果を発揮することができます。
例えば、阪神・淡路大震災や東日本大震災クラスの大規模な災害が発生すると、交通の阻害や同時多発する火災への対応等から、公的機関による「公助」だけでの対応には限界があります。
事実、阪神・淡路大震災では、家屋の倒壊による生き埋めや建物などに閉じ込められた人のうち、約98%は自力または家族や隣人に救助され、公的機関に助けられたのは、わずか1.7%だったというデータがあります。
災害が大きくなるほど、被災者数は膨大になり、情報は混乱し、道路や橋梁等の公共施設が被害を受けるため、公的機関が発災直後に適切で迅速な対応を、全てに対して行うことは困難となります。
このため、発災直後の防災活動において、自らの身を自らで守る「自助」と地域社会が協力してお互いを守る「共助」の2つの地域の防災力が大きな役割を果たすことになります。
自力 | 家族に | 友人に・隣人に | 通行人に | 救助隊に | その他 |
---|---|---|---|---|---|
34.9% | 31.9% | 28.1% | 2.6% | 1.7% | 0.9% |
(公社)日本火災学会:「1995年兵庫県南部地震における火災に関する調査報告書」(平成8年11月日本火災学会)をもとに作成
2.自主防災組織とは
自主防災組織とは、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚、連帯感に基づき、自主的に結成する組織で、組織で作成する防災計画等に基づいて災害による被害を予防し、軽減するために地域の方々が連携し防災活動を行う、「共助」の中核を担います。
日ごろは、防災知識の普及啓発、防災訓練や地域の防災安全点検の実施、防災資機材の備蓄といった活動に取り組みます。
いざ災害となった場合には、負傷者の救出や救護、初期消火、住民の避難誘導、避難所の運営などに従事します。
特に大規模な災害が起こった場合は、電話の不通や道路の途絶、電気・水道などのライフライン被害により、消防などの公的機関の応急活動に支障を来たすおそれがあります。そのような事態に備え、住民が連携して地域の被害を最小限に抑えることが、自主防災組織の役割です。
平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 |
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83.8% | 82.8% | 82.1% | 82.4% | 82.7% |
自主防災組織について知ろう!(動画資料)
自主防災組織をもっと知ってもらうための動画資料を掲載しております。
自主防災組織の役割や活動,活動のポイントなど紹介しておりますので,是非こちらもご覧下さい。
3.自主防災組織の活動
自主防災組織が取り組む活動には、大きく「平常時の活動」と「災害時の活動」があります。
(1)平常時における主な活動項目
防災知識の広報・啓発(地域防災・家庭内の安全対策)
自主防災組織の活動において、地域住民が防災に関する知識を習得できるようにするためには、あらゆる機会をとらえて普及・啓発に取組み、地域ぐるみで防災意識を醸成する必要があります。そのための方法としては以下のような方法があります。
- あらゆる会合の機会をとらえ、できるだけ話し合う機会を増やす
- 地域の行事やイベントの中で、防災を意識づける機会づくり
- 市町村や消防機関等の講習会や研修への参加
- 市町村が定めている地域防災計画等の内容を十分理解するため、市町村や消防機関等から説明を受け、協議する機会を設ける
- 地域の実態に即した消防活動、避難行動要支援者に配慮した避難誘導等の対応策について十分理解しておく。
- 災害の発生した現地を視察して、被害状況やよりよい対応方策を考える
- 地域における過去の災害事例、災害体験をまとめた広報誌の作成
- 防災知識に関するチラシやパンフレットの作成や配布
地域の災害危険度の把握
地域の災害危険箇所を把握し、防災に関する認識を高めることも重要です。そのため、主に下記のような視点から地域の危険箇所について把握することをお勧めします。このような形で把握された危険箇所は、想定される被害や防災拠点等とあわせて、「防災マップ」や「防災カルテ」としてまとめておくことで、実際の災害時に大いに役立つほか、地域住民とともに作成することによって、地域の防災意識の向上にも効果が期待できます。
- 地域内の危険物集積地域、延焼拡大危険地域、土砂災害危険区域、ブロック塀の安全度等の実態把握を行う。
- 地域内の消火栓や防火貯水槽等の消防水利の所在を確認するとともに、消火用の水利として古井戸、小川等の活用も検討しておく。
- 地域の災害履歴や、災害に関する伝承等を知ることにより、予防・応急活動に効果的に活用していく。
- 市町村等が作成した「ハザードマップ」を活用し、災害に応じた危険箇所を把握しておく。
(写真)宮城県防災指導員フォローアップ講習 災害図上訓練
防災訓練(個別訓練・総合訓練の実施)
防災訓練は、自主防災組織の防災計画に基づき実施します。訓練に当たっては次のような点に注意する必要があります。
- 正しい知識、技術を習得するために、消防機関等の指導を受ける。
- 訓練終了後に、訓練内容を見直して必要な改善を行う。
- 地域内の事業所等の自衛消防組織、さらには近隣の自主防災組織とも共同して防災訓練を行う。
- 特定の災害だけでなく、地域の実情に即した訓練内容とする。
- 避難行動要支援者にも配慮した効果的な訓練内容とする。
- 市町村や消防機関等が主催する総合防災訓練には積極的に参加する。
- 短時間でも訓練を行えるよう、実施方法等を工夫する。
- 固定観念にとらわれず、応用動作ができるようにする。
- 訓練にあたっては、事故防止に努める。
- 訓練の実施を市町村などに届け出ることとなっている場合は、忘れずに届け出る。
防災訓練としては、個別訓練、総合訓練、体験イベント型訓練及び図上訓練が代表的な訓練として実施されています。
個別訓練 | 情報収集・伝達訓練 |
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消火訓練 | |
救出・救護訓練 | |
避難訓練 | |
給食・給水訓練 | |
その他の訓練 | |
総合訓練 | 個別訓練によって習得した知識・技術を統合して行う訓練 |
体験イベント型訓練 | 防災と直接には関係しないイベントに防災要素を組み込んで行う訓練 |
図上訓練 | 災害に対するイメージトレーニング |
災害時は相当な混乱が予想されます。訓練を実施するに当たっては、避難所の開設の手順、部屋割りや避難誘導の留意事項などは事前に確認しておくことが望ましいです。また、「地震の時にはどこが危ないか」、「大雨が降ったらどこに水が溢れるか」、「避難所への避難路はどうか」などを、みんなで確認しておきましょう。
なお、留意点として、各々の家庭において、火を出さないこと、家や塀等の倒壊を防ぎ安全性を確保すること等、各個人及び各家庭での防災対策が基本であることや、自主防災組織の役割分担、活動内容等について理解すること、そして、一時的ではなく、継続的に実施することが重要です。
(写真)平成26年度9.1総合防災訓練(亘理町) 左:倒壊住宅救出訓練 右:消火訓練
(2)災害時における主な活動項目
災害時の活動は、災害発生から時間の経過により変化していくことから、時系列の的確な活動を行うことが求められます。また、災害によっても活動は違います。
さらに、自主防災組織は初動対応以降も復旧・復興に向けて、他団体と連携しながら、継続的な活動が求められます。
災害発生時には共通して次のような活動が求められます。
- 情報の収集及び伝達(安否や被害等)
- 出火防止と初期消火
- 避難行動と避難支援
- 被災住民の救出、救護
- 給食・給水 等
地震・津波災害発生時の活動の例
以下は、地震災害発生時における初動対応の時期に期待される活動を表したものです。
時間経過 | 災害時の状況 | 自主防災組織に期待される活動・役割 |
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災害発生前 | 災害の発生に備えて、事前の体制づくりや災害危険箇所の把握、訓練をとおしての災害発生時の対応力の向上などに取り組みます。 |
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災害発生!!
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災害発生直後 | 地域で救援活動にあたる人も含めて大部分の人が被災者であり、生命の危機・生活環境等の破壊に対し、自助と地域住民の共助が中心となって取り組みます。 まずは、自身と家族の安全確保のための行動をとります。 |
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数時間後まで | 行政や公的機関による緊急対応や地域住民と自主防災組織としては、初動対応となる消火、避難、救出・救護、給食・給水等を実施する時期となります。また、外部からさまざまな支援活動、人材、支援物資が入ってくる時期でもあります。 (地域性や災害の規模によって外部からの支援時期は異なります) |
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数日間 |
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風水害時の活動の例
地震災害時の活動と同様に、風水害時においても時期に応じた的確な活動が求められますが、突然襲ってくる地震とは異なり、風水害はその発生までにある程度の時間があるため、被害が及ぶ危険を避けるために、早期に情報伝達や避難といった行動をとることによって、大規模な被害を抑えることが可能です。風水害時の活動の内容については、避難後の行動等、地震災害時の活動を基本とするほか、次のような事前行動が求められます。
時間経過 | 災害時の状況 | 自主防災組織に期待される活動・役割 |
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災害発生前 | ラジオ・テレビなどの気象情報に注意し、避難準備情報や避難勧告・指示に備え行動します。また、地域の災害状況やその前兆現象(水位、土砂災害の前兆現象)に注意します。災害の危険性があることから避難が必要だと判断した場合には、夕方・夜間等の時間帯や周囲の災害状況等を考えながら、早期に自主避難を開始するようにしましょう。 |
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災害発生!!
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災害発生後 | 早期に避難を完了し、避難所等での安否確認等を実施する時期です。 また、状況に応じて、水防活動、救出・救護を実施します。 |
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盛り沢山な内容となっていますが、自主防災組織は、自主的に結成された組織ですので、地域の自然条件や年齢構成など、それぞれの地域の実情に応じて、無理のない活動内容にすることが大切です。他の自主防災組織の事例を「5.自主防災組織活動事例」で紹介しておりますので、ご自身の地域での活動の参考としてみてください。
4.自主防災組織の結成手順
自主防災組織を結成する際には、以下のような方法や手順があります。
以下の手順はあくまで例ですので、ご自身の地域の事情にあわせて、地域の方の理解を得ながら結成を進めて行くことが大切です。また、自主防災組織は、一つの町内会だけでなく、複数の町内会(自治会)で結成することも考えられます。
手法 | 説明 |
---|---|
既にある団体を活用する場合 | 自治会等の既存の団体を、そのまま自主防災組織として兼ねる |
既存の団体の下に、別に自主防災部門をつくり、その部門を自主防災組織とする | |
新たな組織として結成する場合 | 地域住民に働きかけながら、既存の組織とは別に、新たな組織を結成する。 |
既にある団体(町内会、自治会等)を活用して自主防災組織を結成する場合の手順例
1 組織の役員会などで、自主防災組織の結成について話し合う。
↓
2 結成準備を行う担当者を決める。
↓
3 自主防災組織の基本的な事項について案をまとめる。(自主防災組織規約、防災計画等の案の作成)
↓
4 役員会で、話し合ってよりよい案を作成する。
↓
5 町内会や自治会の総会で討議、可決する。(自主防災組織規約、防災計画等の完成)
↓
6 自主防災組織の活動を開始する。
※ 市町村に自主防災組織結成の届出をすることになっている場合は、5の後に届出を忘れずに行いましょう。
また、自主防災組織の活動支援を行っている市町村もありますので、お住まいの市町村の防災担当へ相談してみてください。
新たな組織として自主防災組織を結成する場合の手順例
1 地域住民に働きかけて、自主防災組織のメンバーを集める。
↓
2 自主防災組織の基本的な事項について案をまとめる。(自主防災組織規約、防災計画等の案の作成)
↓
3 メンバーで、話し合ってよりよい案を作成する。(自主防災組織規約、防災計画等の完成)
↓
4 自主防災組織の活動を開始する。
※ 市町村に自主防災組織結成の届出をすることになっている場合は、3の後に届出を忘れずに行いましょう。
また、自主防災組織の活動支援を行っている市町村もありますので、ご自身の市町村の防災担当へ相談してみてください。
5.自主防災組織活動事例
自主防災組織では様々な活動が行われています。ご自身の自主防災組織での活動の参考にされてみてください。
- みやぎの地域防災力パンフレット(平成30年3月)(ホームページ)
- 自主防災組織の先進的・先導的な取組事例について(平成30年)(ホームページ)
- 東日本大震災時における宮城県内自主防災組織の活動実態調査(平成27年3月)(ホームページ)
- 東日本大震災における自主防災組織の活動事例集(消防庁国民保護・防災防災課)[PDFファイル/23.31MB]
6.あなたの自主防災組織の活動報告募集中
あなたの自主防災組織で行っている様々な活動を県内の他の自主防災組織の活動の参考にさせていただきたいので、是非ご報告ください。
ご報告いただいた活動は、このホームページで紹介させていただきます。
報告手順
1 活動報告様式「我が自主防災組織の活動報告」にあなたの自主防災組織の活動を、記載例を参考に記載してください。
- 活動報告様式「我が自主防災組織の活動報告」(記載例) [PDFファイル/148KB]
- 活動報告様式「我が自主防災組織の活動報告」 [Wordファイル/18KB]
- 活動報告様式「我が自主防災組織の活動報告」 [PDFファイル/96KB]
2 活動を記載いただいた様式を、危機対策課宛てご送付ください。報告は郵送、Fax、電子メールのいずれかの方法でお願いいたします。
7.自主防災組織への支援
自主防災組織への支援事業には以下のようなものがあります。
自主防災組織相談窓口
県では、自主防災組織の育成・活性化に向けた取り組みを支援するに当たり相談窓口を設置しております。詳細は下記HPをご覧ください。
自主防災組織運営体制強化事業
県では、地域防災力の向上のため,先進的・先導的な取組みを行っている自主防災組織や、これから先進的・先導的な取組みを行う予定の自主防災組織に対して、防災資機材の購入費や、防災に関する研修会の開催に係る費用の補助を行います。詳細は下記HPをご覧ください。
コミュニティ助成事業 地域防災組織育成助成事業 ア.自主防災組織育成助成事業
一般財団法人自治総合センターが宝くじの社会貢献広報事業として行っている事業で、一定地域の住民が当該地域を災害から守るために自主的に結成した組織又は連合体が行う地域の防災活動に直接必要な設備等(建築物、消耗品は除く)の整備に補助を行う事業です。組織の所在の市町村を経由して申請を行います。詳細については、下記HPをご覧ください。
なお、補助を受けられる採択数に限りがあることから、申請が必ずしも採択されるものではないことをご承知ください。
宮城県防災指導員養成講習
座学やDIG・HUGといった演習をとおして、防災の基本的な知識を習得するための講習を開催しております。講習を開催する市町村や企業団体が受講申込窓口となります。講習を修了されますと、宮城県防災指導員として認定されます。宮城県防災指導員には、地域や事業所において防災・減災の活動に取り組んでいただくことを役割として期待されております。
さらに、宮城県防災指導員に認定された方向けに、スキルアップのためのフォローアップ講習も開催しておりますので、是非ご参加ください。
宮城県防災指導員養成講習やフォローアップ講習の詳細(講習内容,開催場所,日程等)については、下記HPをご覧ください。
※上記の他に、各市町村においても自主防災組織結成への支援や結成後の訓練への支援等を行っていることがありますので、各市町村の防災担当課にお問い合わせください。
参考資料・関連リンク
- 自主防災組織の手引き(消防庁)[PDFファイル/73KB]
自主防災組織の結成から活動まで幅広く記載されている資料です。 - 自主防災組織づくりとその活動 自主防災組織教育指導者用教本(消防庁消防大学校)[PDFファイル/22.71MB]
自主防災組織のリーダーの方が自主防災活動の内容を理解していただき、円滑な活動を進めていくための考え方やヒントとなる事例や手法が掲載されている資料です。 - 災害に備えて 自主防災組織の活動(消防庁消防大学校)[PDFファイル/17.33MB]
自主防災組織として実践すべき活動内容をより具体的に示し、自主防災組織に参加する住民の方々の理解を助ける事項を抜粋してまとめている資料です。 - 防災・危機管理ブログ(宮城県総務部危機対策課)(ホームページ)
防災・危機管理に関する県からのお知らせや災害情報、防災コラムや防災ミニ知識といった内容を掲載しておりますので、是非ご覧ください。