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掲載日:2023年5月2日

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場報告第9号 宮城県のダイズ主要病害虫のIPM体系に関する研究(4)

宮城県のダイズ主要病害虫のIPM体系に関する研究

4.紫斑病の薬剤耐性菌の発生と化学的・耕種的防除

抄録

チオファネートメチル剤(以下TM)耐性ダイズ紫斑病菌に対する代替薬剤の防除効果とその年次変動を、2002~2008年に検討した。代替薬剤として、アゾキシストロビン(以下AZ)水和剤やイミベンコナゾール(以下IM)水和剤の効果が高く、特にAZ水和剤では1回散布でも充分な防除効果が得られた。その他の薬剤は、1回散布では充分な効果が得られない場合があった。AZ水和剤とエトフェンプロックス・IM水和剤を用いて、1回散布による散布適期を検討した結果、両剤とも開花20~35日後で効果が高く、その前後では低下した。TM耐性菌存在下で紫斑病を1回散布で防除するには、AZ水和剤が有効であること、2回散布体系では開花20~40日後の間に効果の高い薬剤を1回目に、TM剤以外のその他の薬剤を2回目に散布することで、効率的に紫斑病を防除することが可能と考えられた。また、宮城県のダイズ主要品種である「ミヤギシロメ」と「タンレイ」について、紫斑病に対する抵抗性を明らかにし、農薬節減栽培における利用を検討した。前者は晩生種で紫斑病に対する抵抗性は「強」、後者は中生種で紫斑病に対する抵抗性は「中」とされており、これらの抵抗性の程度を確認した結果、「ミヤギシロメ」は無防除で栽培しても紫斑粒の発生は極めて少ないのに対し、「タンレイ」では無防除栽培が難しく、紫斑粒が多発した。宮城県では紫斑病の防除体系として、品種に関わらず開花20~40日後に1~2回の防除を指導しているが、「ミヤギシロメ」では紫斑病を対象とした茎葉散布による防除は不要と考えられたが、「タンレイ」では効果の高い薬剤による防除が必須であった。さらに罹病種子が収穫物の紫斑粒混入率に及ぼす影響について検討した結果、罹病種子の混入率と収穫物の紫斑粒混入率の間には正の相関が認められ、前年水稲作の転換畑では種子における紫斑粒の混入率が伝染源として影響すると考えられた。また外観上健全な潜伏感染粒も伝染源として重要であることが明らかになった。罹病種子が周辺株に及ぼす影響については、罹病種子由来の伝染源周辺で発病粒率が高まり、また伝染源から数m程度距離を置いたところでも高い発病粒率を示す地点が認められた。

キーワード

紫斑病、総合的有害生物管理、ダイズ、薬剤耐性菌、抵抗性品種、耕種的防除

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4.紫斑病の薬剤耐性菌の発生と化学的・耕種的防除(PDF:539KB)

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