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みやぎ海外絆大使の活動報告(ベトナム)

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年4月18日更新

隊員紹介

大藤 壮輔さん

派遣期間:2016年10月~2018年10月

派遣国:ベトナム

職種:獣医・衛生

ホーチミン市クチ郡の牧場での活動報告

1. 概要

 2016年11月の任地赴任から、気が付けば残された任期も半年余りとなりました。私の任地、そしてこれまでの活動内容を紹介したいと思います。

 私が今いるのはベトナムの経済の中心であるホーチミン市からバスを乗り継ぎ3時間弱の田舎町、クチ郡です。途上国ベトナムの中でも、首都のハノイ市やホーチミン市は発展著しく、パッと見ではこれが途上国?というくらい便利で快適な環境ですが、私の任地は長閑な田舎といった感じです。それでも、電気、ガス、水道、Wi-Fiなどは安定しており、また洗濯機、冷蔵庫、エアコン、ガスコンロ完備(全部日本のメーカー‼)と、私の協力隊のイメージを覆す生活環境を提供してもらっています。

 配属先はHo Chi Minh City Dairy Cattle Company、ホーチミン市が管理する半官半民で、乳牛800頭、肉牛2,000頭、山羊1,000頭を飼育するかなり大規模な畜産企業です。この牧場の抱える問題点を同僚たちと一緒に改善し、生産性の向上を目指すというのが私の任務です。

2. 活動内容

 赴任してまず配属先から依頼されたのが子牛の疾病対策。

 牛に限ったことではないですが、未熟な生物は非常に弱い存在です。環境からの影響を受けやすく、また一度健康を損ねるとそこからの回復力も頼りないものです。

 配属先の要望は子牛の病気の適切な治療法を教えて欲しいということでしたが、実際にはまともな治療をしても治らないという状況で、治療法云々よりももっと重要な課題がありそうでした。

 治療行為の大半は患畜自身の治癒力を補助するものです。外からどれだけ優れた薬剤を入れても、家畜自身の回復力がなければ病気は治りません。ですが、家畜が快適でストレスなく生活できる環境を整え、栄養ある高品質な餌やミルクを与えられることで、病気に対する抵抗力を高めてあげるということが欠けていました。実際には知識としては「そうだよねー、そんなことは知っているよ」と同意してくれますが、それらの重要性や緊急性はあまり認識していないようでした。ということで、前半の一年間は日々の診療業務や勉強会、報告書などを通して、拙いベトナム語で私がどう考えているかを伝える日々でした。そして1年が経過し、残念ながら疾病率や死亡率は改善しませんでした。正直どれほどみんなの認識に影響を与えることができたのかわかりませんが、赴任一年時点での職場の報告会でいただいた「壮輔のお陰で治療よりも予防が大事なのは理解できた」という言葉を今は信じようと思います。

 その次に取り組んだのが肥育牛の肥育方法の改善です。

 肥育牛は太らせなければお金になりません。また、出荷までに掛かった餌代が同じでも、しっかり太る牛もいれば、ガリガリでいつまでたっても太らないのもいます。いわゆる費用対効果ですが、特に餌に関しては飼料効率といいます。肥育牧場の生産性を考えるうえでは、「飼料効率を上げて短期間で太らせて出荷する」というのが基本です。日本の和牛肥育業界ではそれに加えて、歩留まりや品質(味や見た目)も求められますが、ベトナムではそれらはあまり求められません。というかこの点に関しては世界的に見ても日本が特殊なのかなと思います。良い意味で。

 ある日、一人の獣医師から肥育方法に関して考えてほしいと依頼されました。そこでまずは飼料効率を調べました。見た目にも痩せた牛が多かったので改善の余地はあると思っていましたが、実際にデータを分析することで、よりはっきり現状が分かりました。また、データはあるのにそれを分析して問題を洗い出し、改善するということがあまりされていなかったことも分かりました。まず、与えている餌の種類やそれに含まれるたんぱく質やカロリー、水分量などの割合を調べ、牛が一日にそれらをどれくらい摂取しているか、またいくら経費が掛かっているかを推定しました。また牛の一日当たりの体重の増加量を調べ、この2つのデータから飼料効率を評価しました。ここから改善方法の検討。与える餌の種類やそれぞれの量を、各栄養素の含有割合や牛の要求量をもとに試算し、試験的に100頭余りの肥育牛で肥育実験を行いました。結果的にはコスト、出荷時の価格双方が大幅に増え、差し引きの利益は微増といった感じでした。微増でも初めからプラスの結果が出たのは嬉しかったです。まだまだ始めたばかりの仕事で、他にもたとえば牛の月齢ごとに飼料内容を変えるなど、改善できる余地は残っているので残った任期でさらに成果が上げられればと思います。

3. ボランティア活動を通して

 今の任地に来てから思うのは、JICAボランティアとして私が「知識や物の援助」をすることはそれほど必要ではないのかなということです。それらはベトナムに来る前に思っていたよりも充足していました。それよりここで不足しているのは、問題分析、改善方法の検討、実施、評価、改善方法の見直し、実施、評価…、といった問題解決の手法です。残念ながら子牛の件ではいい結果は出ていませんが、いろいろ調査したり、試行したりして悪戦苦闘することはできました。また肥育の件では問題の洗い出しから結果を出すまで一連の流れを示すことができました。私自身このような仕事に関してはまだまだ未熟ですが、同僚と一緒に経験して、お互いに成長し、帰国までにここに根付かせていけたらいいなあと思います。

4.今後の展望

 青年海外協力隊の任務は以上のような活動要請に関することだけではありません。ベトナム人と日本人の相互理解、つまりは現地で仲良くやっていくというのも我々の重要な任務の一つです。私の周りでは皆さん私に良くしてくれます。中には無関心な人もいますが、幸いなことに少なくともマイナスの感情は持たれていないようです。これはベトナム人一般にみられるアットホームで世話焼きな性格と、ベトナム人が親日であるお陰だと思います。ただ、価値観や考え方の相違で戸惑うことやイラっとすることもしばしばあります。また、ベトナム人と一括りにはもちろん出来ないわけで、長く深く付き合っていく中でより親密になる人もいれば、ちょっと苦手だなと思う人もいます。これも得難い経験です。価値観や思考法、それにかかわる教育や生活、家族、文化、歴史、風習、食などの多様性は、日本にいたときよりも感じることができますし、それらと比較することで日本に対する理解も深まったと思います。まぁ小難しいことはさておき、半年後、「壮輔が来てくれて良かったよ、楽しかったよ」「俺も楽しい2年だったよ、また来るね」といって笑顔でさよならし、帰れたらいいなー。ということで残り少なくなったベトナムでの生活を有意義なものにしていけたらと思います。

 

(写真は同僚、視察に来たJICA職員と)
同僚,視察に来たJICA職員と

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