メールマガジン「みやぎの自然」 第22号 2004年6月
 
     
■■■「私と自然保護」〜 現代のマタギを考える 〜 ■■■
 
作家 熊谷 達也 
  

今の日本に専業のマタギはいない、というより、現代の経済や社会構造からいって、狩猟で生活することは不可能になっている。だが、伝統的な狩猟文化を継承しつつ、山間の暮らしを生き続けている人々は少数ながら存在している。東北や信州を中心とした、いわゆるマタギ村と呼ばれてきた集落に、今なお暮らす猟師たちである。

 

この数年、マタギの取材を重ねてきて、彼らを取り巻く社会環境の厳しさを肌で感じてきた。自然保護や環境保全が大きな社会問題として叫ばれる昨今、狩猟という行為そのものが不必要なもの、あるいは野蛮なものとして見られがちだ。

 

これも時代の流れだから仕方がないという見方もあろう。いまさら狩猟などしなくても生活に困ることはなかろうと。それよりも大切なのは、野生の動植物の保護によってもたらされるだろう、ありのままの豊かな自然(これは幻想にすぎないと個人的には思うのだが)との共生であると。

 

ここで私は、どうしても首をかしげてしまう。クマ狩りをする猟師としてのみイメージされがちなマタギだが、歴史的背景はそれほど単純なものではない。古くは、農耕が発達していく段階で、農作物を奪取する野生動物を排除するために、耕作民によって彼らが雇われたという側面があった。近世においては、漢方薬としての熊の胆が大流行したために、町場の人間がこぞって彼らにクマを獲らせたのではなかったのか。近代も然りで、軍隊が必要とした防寒具用の毛皮を調達するために、為政者側が組織的に乱獲をさせたという事実があったことを忘れてはならない。

 

さらには、人が住みたがらない山里に踏みとどまり、放っておけば荒れてしまう山林をかろうじて死守しているのも彼らである。あるいは、人里にクマなどが出没して駆除せざるを得ない事態になった時、最後の汚れ役を押し付けられるのも彼らだ。そういった事実や背景をすっかり失念して、あなたがたは必要でなくなったから歴史の表舞台から退場しなさい、というのはあまりに都合のよすぎる話ではないのか。

 

もう一歩踏み込んで考えてみれば、都市に暮らす現代人が失ってしまった、自然に対する豊かではあるが厳しい眼差しを教えてくれる最後の存在が、彼らなのだと思う。

 

自然との共生という耳あたりのよいスローガンを口にするのはたやすい。だがその前に、おそらくは彼らで最後になるであろう現代のマタギたちの言葉に、まずは耳を傾けておいても損はないだろう。 

 

熊谷 達也(くまがい たつや)氏のプロフィール
 1958年宮城県生まれ。東京電機大学理工学部数理学科卒業。1997年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞受賞。2000年「漂泊の牙」で第19回新田次郎文学賞受賞。2004年「邂逅の森」で第17回山本周五郎賞受賞。著書に「まほろばの疾風」「迎え火の山」「山背郷」「マイ・ホームタウン」「相剋の森」など
  

  
■■■特集 〜「万葉の植物から --- 3 青柳の」〜(第3回・最終回)■■■
   (このコーナーは連載です)
前宮城植物の会会長 木村 中外
 
「青柳(あおやぎ)の萌(は)らろ川門(かわと)に汝を待つと 清水(せみど)は汲まず立処(たちど)ならすも。」
 
 万葉集巻14の東歌である。水汲みにかこつけて、芽吹き始めた柳の木の生えている川の渡し場で彼を待っているが、なかなかやって来ない。水も汲まずにうろうろしてる中に、その辺を踏みならしてしまった。という率直な女の歌である。青柳というし、川辺に生えて目印にもなっていたのだろうから、この柳はきっとシダレヤナギだろう。万葉集には柳の歌が39首ある。中には、しだり柳、柳の糸と詠まれたものが多く、恐らく大部分がシダレヤナギを詠んだものだろう。
 
 シダレヤナギは古く中国から渡来したもので、広く人々に愛されたらしい。巻19に「春の日に萌(は)れる柳を取り持ちて 見れば京(みやこ)の大路念(おも)ほゆ」という歌がある。越中守(えっちゅうのかみ)だった家持(やかもち)が奈良の都大路を偲んで詠んだ歌である。当時奈良の都には、街路樹として柳が植えられていたのだろう。恐らくこれもシダレヤナギであったと思われる。
 
 学生の頃ローレンス・オリビエ監督、主演のイギリス映画ハムレットが公開された。その中に、オフィリヤが川で溺れて、仰向けに浮かんで流れて行くシーンがあった。ドレスの裾が一杯に広がり、まわりには水草が浮かび、岸にはシダレヤナギの大木があって、枝が水面に触れるばかりに垂れ下がっている。J.E.ミレイの絵そっくりであった。雑談の折り、たまたま映画の話になり、『あれは君、間違いだヨ』と木村有香先生がおっしゃった。ヤナギの第一人者でいらした先生のお話しによれば、シダレヤナギがヨーロッパに伝わったのは、日本または中国から中近東を経て、18世紀の始めか、早くても17世紀末だろう。だから、1618年に死んでいるシェークスピヤの時代にはまだなかった筈だというのである。
 
 シダレヤナギの学名は、サリックス・バビロニカという。バビロニア産の柳という意味である。実際には今のイラクのバビロンにはシダレヤナギは自生していない。これは旧約聖書の詩編第137編の「バビロンの流れのほとりに座り シオンを思って私たちは泣いた 竪琴は、ほとりの柳にかけた」という一節に基づいて、ユーフラテス川の河畔に生える柳をシダレヤナギだとリンネが思い違えたのだろう。木村先生はこの柳にコトカケヤナギという和名をつけられた。 
 
木村 中外(きむら ちゅうがい)氏のプロフィール
 1926年2月仙台市生まれ。尚絅女学院短大教授、仙台仏教学園若林幼稚園長などを勤める。前宮城植物の会会長。共著に「宮城の野草」などがある。
 
 

  
■■■知っ得情報■■■
 
◎ヒナを拾ってはいけない理由
 
 野鳥たちにとって、4月から7月にかけては子育てシーズンの真っ最中です。この時期、まだ飛ぶ力が十分ついていない巣立ちビナが地面にいるのを見かけることが多くなり、自然保護課にも「ヒナを拾ったけれど、どうしたらいいの?」との問い合わせが相次ぎます。このような場合、当課ではヒナをもといた場所に戻すようお願いしています。
 
 地面にヒナがいる場合、その近くに親鳥がいることが殆どです。親鳥は必ずヒナのもとへ戻って世話をします。ヒナを拾った方から「せっかく助けたのに可哀想」と言われることもありますが、親鳥から見ればヒナを拾ってくる行為は「誘拐」に他ならないのです。
 
 仮に人間がヒナを引き取ったとしても、親鳥と同じようにヒナを育てることはできません。栄養が偏ってしまうとヒナに障害が現れることがありますし、厳しい自然界で生きていくための学習をさせることもできません。人慣れしてしまったために周囲を警戒することがなくなり、放鳥した途端捕食者に食べられてしまうことも考えられます。これはヒナにとっても不幸なことです。 
 
 「もといた場所に戻しても、親鳥が助けずに死んでしまうかもしれない」と言われることもあります。しかし、自然界ではヒナや弱った個体の多くは他の生物の食物となり、成鳥になるまで生きられるものはほんの僅かです。厳しい自然界を生き延びた一部が子孫を残していくことで、生態系のバランスが保たれていると考えられます。
 
 地面に落ちているヒナを見て、「可哀想、助けてあげたい」と思う優しい気持ちは大切です。しかし同時に、親鳥のこと、ヒナの将来、及び自然界の生態系についても考えをめぐらせ、冷静に対処することも大切なのではないでしょうか。
 
 なお、許可なく野生鳥獣を捕獲、飼養することは法律で禁止されています。
 
※今回の内容は、(財)日本鳥類保護連盟作成のポスター「ヒナを拾わないで!」を参考にさせていただきました。
 

 
■■■自然保護団体活動PRコーナー■■■
 
◎特定非営利活動法人サイカチネイチャークラブ
 「サイカチの自然観察からはじめる自然保護、環境保護」〜 代表理事 小野 正之
 
 わたくしたちは、平成6年8月に発足した、仙台市西部サイカチ沼・月山池周辺の自然観察活動からはじまった団体です。今年で満10年になります。観察会は今年5月で通算118回目を数えました。台風で2回中止した以外は、お休みなしです。小学生から人生のベテラン80才代までの幅広い年令層の方が参加していますが、中学生から大学生までが一番少ない参加層です。このことから、平成15年から「こどもエコクラブ」を通して、子どもたちの環境活動のお手伝いをはじめています。交流会では、県内約300名のみなさんが、蔵王、伊豆沼などの自然マップづくりや野鳥観察、交流会に参加していただきました。あらためて宮城県の自然の豊かさに感動した様です。身近な自然体験を子どもたちの世代からふれあうことは大切だなと、あらためて感ぜられました。と、同時に、大人も一緒に再確認された様子でした。
 
 活動の様子
 
 今、地球環境の様々なことが問題視されていますが、身近な自然観察からもそのことを体感することができます。何故なのだろう。どうしたら良いのだろう。この発想が涌き出ることが、子どもたち、そしてわたくしたち大人にも大切なのだと、そう考えています。生きている地球や身近な自然を自らが感じ取ることで、忘れかけた「人間は生き物の一部、地球の一部である。」と言う言葉が解るような気がしてきます。
 
 活動の予定、情報は下記ホ−ムペ−ジをご覧ください。ご一緒いたしましょう。
 
【連絡先】
 特定非営利活動法人サイカチネイチャ−クラブ 事務局
  住所:〒984-0812 宮城県仙台市若林区五十人町85
  TEL/FAX:022-262-2731
  E-mail:mon@technowave.ne.jp
  ホ−ムペ−ジ:http://.geocities.co.jp/Outdoors/6545/
  
◎募集します!
 このコーナーに活動内容などについて掲載を希望する団体を募集しております。希望団体の方は、自然保護課まで御連絡ください(末尾の連絡先まで)。
 
 
■■■お知らせ■■■
 
◎「世界子ども水フォーラム・フォローアップin宮城」開催
《世界子ども水フォーラム・フォローアップin宮城実行委員会から》
 
 ◆日時:7月30日(金)〜8月1日(日)(2泊3日)
 ◆開催場所:宮城県栗原郡花山村 国立花山少年自然の家及びその周辺地域
       http://www.rick.go.jp/
 ◆主催:世界子ども水フォーラム・フォローアップin宮城実行委員会 
 ◆共催:国土交通省、(財)河川環境管理財団子どもの水辺サポートセンター
 ◆後援予定:文部科学省、農林水産省、環境省
 
●大会参加方法等について
 ◆対象者:中学生及び高校生を対象とします。
  (ただし、保護者等の承諾を得た上で、大会のすべてのプログラムに参加できることが条件となります。)
 ◆参加費:参加者本人の宿泊、交通費については、主催者が負担します。
 ◆応募方法:申込書に必要事項を記入の上、下記の8つのテーマから1つを選択し、テーマに沿った作文(1000字以内)を添えて、郵送またはFAXで東京事務局までお送りください。なお、申込書及び応募作文用紙については、下記ホームページからダウンロードできます。また、応募用紙を郵送を希望される場合は、東京事務局までご連絡ください。
 ◆応募作文のテーマ
  ○テーマ1 『愛 PEACE 水について』
  ○テーマ2 『水が私達の食生活にもたらすもの(事)』
  ○テーマ3 『家や学校で使っている水についてどう思いますか?』
  ○テーマ4 『自分の地域の川,沼などの自慢,被害,生物について』
  ○テーマ5 『土地利用が水に及ぼす影響』
  ○テーマ6 『人とダムのつながりってどう思う?』
  ○テーマ7 『あなたの地域の水はどうですか?』
  ○テーマ8 『水から学んだこと』
  申込書及び応募作文用紙ダウンロード先
   http://www.mizube-support-center.org/cwwf-f/2004/index.htm
 ◆応募締切:平成16年6月4日(金)までに必着!
 ◆定員:60名
 ◆選考方法:応募された作文をもとに選考します。
 ◆発表:平成16年6月18日(金)
 ◆詳細日程:参加決定者に発表通知とともにお知らせいたします。
 
【応募先、お問い合わせ先】
 東京事務局 (財)河川環境管理財団 子どもの水辺サポートセンター
 電話:03-3297-2608 FAX:03-3297-2677
 URL:http://www.mizube-support-center.org
 mailto:msc@mizube-support-center.org
 
【現地お問い合わせ先】
 宮城事務局 東北流域会議
 電話:022-723-1788 FAX:022-723-1788
 URL:http://www7.plala.or.jp/mizunet/
 mailto:e@michinoku-kawa.net
   
◎愛鳥週間各種コンクールの審査結果について《宮城県から》
 
 本年度は愛鳥週間ポスター原画コンクールに456点(89校)、みやぎの野鳥・自然風景写真コンクールに161点(47名)の応募をいただきました。多数のご応募、有り難うございました。各部門の優秀賞、特選作品は下記ホームページにてご覧いただけます。
 
ポスター原画作品:http://www.pref.miyagi.jp/sizenhogo/seibutu/tyourui/konku-ru/kekka-posuta.htm
写真作品:http://www.pref.miyagi.jp/sizenhogo/seibutu/tyourui/konku-ru/kekka-photo.htm
 
 入選作品は次のとおり展示されます。
 ◆6月8日(火)〜30日(水):
  宮城県蔵王野鳥の森自然観察センター「ことりはうす」
  (別途入館料が必要です。休館日は月曜日)
 ◆7月2日(水)〜8月29日(日):
  宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(休館日は月曜日及び休日の翌日)
 
 宮城県環境生活部自然保護課鳥獣保護班
  住所:〒980-8570 宮城県仙台市青葉区本町3−8−1
  TEL:022-211-2673 FAX:022-211-2693
  E-mail:sizent@pref.miyagi.jp
  ホームページ:http://www.pref.miyagi.jp/sizenhogo/
 
◎平成16年度狩猟免許試験等について《宮城県から》
 
 平成16年度狩猟免許試験、及び狩猟免許更新講習を次の日程で実施します。
 
1 狩猟免許試験  
 (1)7月31日(土)(会場:県クレー射撃場または県古川合同庁舎)
 (2)9月 1日(水)(会場:県クレー射撃場)
 
2 狩猟免許更新講習
 (1)8月20日(金)(会場:県クレー射撃場または県古川合同庁舎)
 (2)9月10日(金)(会場:県クレー射撃場)
 
 受験、受講を希望される方は、試験、講習実施の7日前までに、申請書及び必要書類を管内の地方振興事務所(森林整備班または林業振興班)に提出してください。詳細については下記ホームページをご覧ください。
 
http://www.pref.miyagi.jp/sizenhogo/seibutu/siken2.htm
 
 なお,狩猟免許試験実施にあわせ、(社)宮城県猟友会(電話:022-276-2481)では7月22日(木)及び8月19日(木)に狩猟免許講習会を実施します。受講を希望される方は(社)宮城県猟友会までお問い合わせください。
 
 宮城県環境生活部自然保護課鳥獣保護班
  住所:〒980-8570 宮城県仙台市青葉区本町3−8−1
  TEL:022-211-2673 FAX:022-211-2693
  E-mail:sizent@pref.miyagi.jp
  ホームページ:http://www.pref.miyagi.jp/sizenhogo/
 
◎みやぎ自然環境サポーター養成講座受講者募集《宮城県から》 
  
 自然体験・観察、森林の手入れなどの体験作業等を行う「みやぎ自然環境サポーター養成講座」受講者を募集します。受講者には自然環境に関する情報提供や各種調査に御協力いただきます。
 
 ●第3回開催
  ◆日時:7月25日(日)10時〜15時
  ◆場所:台原森林公園(仙台市)
  ◆テ ー マ:里山の昆虫と樹木観察
  ◆募集定員:30人
 
 ●第4回開催
  ◆日時:8月8日(日)10時〜15時
  ◆場所:県民の森(利府町)
  ◆テ ー マ:きのこ観察会
   ◆募集定員:30人
 
 ●共通事項
  ◆参加費:無料
  ◆現地集合、解散
  ◆応募者多数の場合抽選
  ◆申込期限:各回開催日の10日前まで。先着順。
  ◆申込方法:往復はがきに希望受講日(複数可)、住所、氏名、年齢、性別、電話番号、返信面に住所、氏名を明記の上、
          〒981−0121 利府町神谷沢字菅野沢41
           宮城県森林インストラクター協会事務局へ。
  
 宮城県環境生活部自然保護課みどり保全班
  住所:〒980-8570 宮城県仙台市青葉区本町3−8−1
  TEL:022-211-2676 FAX:022-211-2693
  E-mail:sizent@pref.miyagi.jp
  ホームページ:http://www.pref.miyagi.jp/sizenhogo/
    
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 【宮城県環境生活部自然保護課】
  〒980-8570 宮城県仙台市青葉区本町三丁目8番1号
  TEL:022-211-2671/FAX:022-211-2693
  E-mail:
sizen@pref.miyagi.jp
  URL:http://www.pref.miyagi.jp/sizenhogo/