宮城県レッドリストの公表に当たって
1 レッドリスト作成の経緯・目的
レッドデータブックやレッドリストを作成することは、本県の自然環境を象徴する貴重な存在である野生動植物の現状を十分に把握し、緊急に保護することが必要な野生動植物種を明らかにし、野生動植物の保護・保全に資するため、ひいては野生動植物保護という観点から「生物多様性の保全」のための基礎的資料として活用することを目的とするものである。
平成3年、環境庁は、「日本の絶滅のおそれのある野生生物−レッドデータブック−(脊椎動物編・無脊椎動物編)」 を発刊した。この資料は、現在の日本国内での希少野生生物保護に資する基礎的な資料として、全国的に多くの場で活用され、また、レッドデータブックという名を日常に広めた先駆的役割を果たした。また、平成3年以後、随時このレッドデータブック掲載種の見直しが行われ、レッドリストとして公表されてきた。
2 調査
貴重な動植物等を明らかにするためには、まず県内の野生動植物の生息・生育状況を明らかにする必要がある。
本県における野生動植物の分布調査等に関する既存資料としては、環境省が全国的な観点から自然全般に関する改変状況、野生動植物等に関する分布状況を把握するため昭和48年から実施している自然環境保全基礎調査(「緑の国勢調査」)や自然公園地域、県自然環境保全地域等の範囲に限定した動植物の分布調査、あるいは特定の種の保護のための調査を実施した結果等が公表されている。しかし、調査の多くは、ある特定の調査目的から、地域を限定し、又は特定の種に絞った分布調査であることが多く、現状ではこれらの内容について動植物種全般について総合的にまとめたものは公表されていない。また、絶滅の危険性という観点から評価したものも同様に公表されていない。
今回の調査は、現地調査や文献調査を中心に実施し、以下に掲載している植物、哺乳類、鳥類、両生類・爬虫類、汽水・淡水魚類、昆虫類のほか、植物群落、干潟の底生生物の8分類に分かれて調査を行った。
3 カテゴリー区分
カテゴリー区分については、環境庁が1997年に採用したカテゴリーに準拠した各カテゴリー区分を採用するとともに、県として独自のカテゴリーを採用した。ただし、環境庁カテゴリーにおいて採用している定量的要件(数値基準) については、過去の数量的なデータが存在しないなどの理由から、今回の対象となった動植物種の多くが数値基準の採用は困難であるため、本県では定性的要件により評価を行った。本県のカテゴリーは表1のとおりである。
4 調査結果
今回、県内で絶滅のおそれがある種として選定したのは、植物547種(維管束植物以外(蘚苔類)38種、維管束植物509種)、哺乳類18種、鳥類62種、爬虫類4種、両生類8種、汽水・淡水魚類17種、昆虫類649種の計1,305種である。分類別の各カテゴリー区分は、表2のとおりである。
カテゴリー区分別の内訳は、絶滅(EX)20種、絶滅危惧T類(CR+EN)271種、絶滅危惧U類(VU)280種、準絶滅危惧(NT)233種、情報不足(DD)272種、絶滅のおそれのある地域個体群(LP)5種、要注目種224種で、野生絶滅(EW)に該当するものはなかった。また、絶滅危惧T類を、特に絶滅危惧TA類(CR)、絶滅危惧TB類(EN)に分けてカテゴリー区分した分科会はなかった。