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速水御舟 《寒鳩寒雀》

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所蔵作品紹介

寒鳩寒雀

  寒鳩寒雀

  速水御舟 (1894-1935)
  1927年
  57.7×42.3cm  絹本着色、軸装

速水御舟は、1894年東京に生まれました。1908年、14歳で松本楓湖の門下生となり、1911年頃、今村紫紅・安田靫彦らの紅児会に入会。1914年の日本美術院の再興にあたって、第1回展に《近村》を出品、院友に推挙され、1917年同人となります。以後、院展を中心に活躍しました。
御舟は、細縄で首をくくられた一羽の鳩と雀を、さまざまな角度から写生して研究し、その上で、白目をむく鳩がぐったりと体を垂れ、四羽の雀が数珠つなぎになって抜殻(亡骸?)をさらす本図を仕上げました。物と化した生き物が、無力にもただ重力の法則に従うだけの光景。いちばん上の雀の、胸の柔らかい羽毛には、下の三羽の重みで縄が深くくい込み、そのため縄がわずかに左に屈折して力の均衡を得ていて、構図の中心点は、まさにここにあります。冷徹そのものの観察と構想です。
高橋由一は、縄でぶら下げた鮭を描きました。その関心は、あくまで動物の姿に向けられています。一方御舟が求め、観者に伝えようとするリアリティーは、死の冷厳さそのものにあります。花や鳥の生命を謳歌してきた日本画に、かえってその不在を、見る者につきつける作品が現れたのです。