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掲載日:2018年4月10日

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ワークショップ|活動の記録「銅の板から傷跡をうつす」

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ワークショップ「銅の板から傷跡をうつす」

  • 日時:2018年2月17日(土曜日)、18日(日曜日) 10時~16時
  • 場所:創作室2
  • 担当:細谷美宇(当館教育普及部学芸員)
  • 参加者数:17日11名、18日10名

2月17日

10時~ イントロダクション(創作室)

参加者が創作室にやってくると、机の上に広げられた、何点かの銅版画に出迎えられた。

ワークショップの様子1

銅版画は見慣れていないと、ペンでのドローイングのようにも見えたりする。
間近でインクの浮き上がりやプレスする際にできる凸凹(エンボス)などを見てみた。

銅版画は、なんだか手順が多そう、薬剤を使いそう、などと、難しいものだと思われがちだ。
このワークショップは、銅から傷跡をうつすだけという凹版画の基本的な原理を理解し、銅という素材の特徴やうつす行為を楽しむことを目的とした。

お話 凹凸版画について

凹版画の原理を、凸版画と比べながらお話した。

ワークショップの様子2

版の断面を見たときに、凸の部分にインクが乗るのが凸版画。
凹んだ部分にインクが詰まるのが凹版画。

版画といえば、学校で習う木版画(凸版)などはなじみのある人が多い。
銅版画をはじめとする凹版画は、インクがつく部分が逆なのでイメージしにくかったりする。

ワークショップの様子3 ワークショップの様子4

同じ版(銅版画の版)を凹版画、凸版画としてそれぞれ刷ってみる。
バレンとプレス機の刷りの違いなども実践。

ワークショップの様子5
参加者にははじめてプレス機を触る人も多かったため、圧のかかり具合を変えて回し、感触を確かめた。

11時~ 試し刷り

次は実際に、創作室の試用の版を用いて参加者自身が銅版画を刷ってみた。

ワークショップの様子6 ワークショップの様子7
紙は事前に湿しておく(左)、版にインクを詰める(右)

ワークショップの様子8 ワークショップの様子9
余分なインクを拭き取る(左)、プレス機で圧をかける(右)

13時~ プレートマークをつくる

午後のはじめ、参加者がこのワークショップで使用する銅板を配布。
一見新品のようだが、銅板の表面にはいくつもの傷がついている。
両面の傷を見て、まず自身の版の「表」を決める。

「表」が決まったら、金やすりとスクレーパーを用いてプレートマーク(プレス機での印刷をスムーズにするために作る、版の端の傾斜)を作る。

ワークショップの様子10 ワークショップの様子11

13時45分~ インクを練る

早めにプレートマーク作りが終わった人たちで、インクを練ってみる。

ワークショップの様子12

後に刷りをして実感することになるわけだが、インクの硬さや練り加減は刷り上がりに影響する。
この日は3種類インクを練ったが、そのうちひとつは柔らかすぎてうまく刷りとれない仕上がりに。

13時30分ごろ~ 傷跡をうつす

プレートマークができあがったら、銅の板に元々ついていた傷跡をうつしとってみる。
傷跡は、すでに版として画を描いている。午前中に体験した銅版画の刷りと同じ要領で刷りとる。

とはいえ、ほぼ新品のままの銅の板を刷れば、どこに画があるかわかりづらく、細かな傷を刷りとるのも難しい。1人3枚刷ることとして、だんだんと作業に慣れた。2枚目、3枚目と刷っていくうちに、プレス機の圧力、インクの硬さ、拭き取り方、紙の厚みなどの影響が明らかになる。

ワークショップの様子13 ワークショップの様子14

3枚刷れたら、一番よく刷りとれたと思ったものを水張り。

15時30分~ うつしとった傷の確認

うつしとった傷を確認し、自分が気に入った傷を見つける。
気に入った箇所をそのまま残しておきたい人は、版の該当部分を黒ニスで覆っておく。
覆った部分は、新たに傷がつきにくくなるほか、翌日の作業の際、気に入った箇所の目印にもなる。

2月18日

10時~ 銅の板を傷つけるものを探す

2日目は、1日目に銅の板からうつしとれた傷跡を活かしながら、さらに傷を加える。
まずは傷をつけられる道具になるものを、創作室で探してみる。
銅版画で使う道具以外でも、銅より硬い素材であれば石や釘のようなものでも使える。

ワークショップの様子15

10時30分~ 傷を加え、試し刷りする を繰り返す

さまざまなもので、銅の板に傷をつけてみる。使うものによって傷の表情もさまざま。

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傷がついたら、どのようにうつしとれるか試し刷り。
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13時~ 他の人の制作を覗き見

昼休みをとった後のタイミングで、他の人の制作を見てみる。
午後は、午前中とは違ったアプローチも試してみたいところ。

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描きたいイメージを最初に持って下絵などを持ってきた人は、忠実にイメージを再現することよりは、どのような傷のつけ方が自分のイメージに合うかを試してみる。

傷をつけるだけでなく、磨くことによって傷をなくすという方法をとる人もあらわれる。
磨くにしても、紙ヤスリ、金属磨き粉、バニッシャーなど使う道具はさまざま。

ワークショップの様子21 ワークショップの様子22

試しに刷ってみると、思い通りの画になっていないということもある。
何度も繰り返して、版を作りこんでいく。

15時30分~ 鑑賞会

最後に、それぞれの参加者の、1日目に最初の傷だけうつしとったもの、2日目の試し刷りの経過・最終版として選んだもの、など3~4つの作品を、参加者全員で鑑賞した。

ワークショップの様子23

傷跡をつくり、うつしとっただけでも、点・線・面など異なった表現や傷の深浅によるインクの濃淡など、さまざまな画が現れた。

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