

加美町 中新田の商店街の中にあって,江戸の大店を思わせるような漆喰(しっくい)のナマコ壁,重厚な土蔵造りの建物がひときわ異彩を放つ。
現在の社屋は呉服商をしていた当時そのままで,その佇まいは歴史と風情を感じさせる。
伊達藩随一の呉服商だった初代 田中林兵衛は,副業として寛政元年(1789年)に酒造業を開始。
伊達家の藩政時代には,代官など4つの会所が置かれた加美郡政治の中心地でもある中新田で「東華正宗」の銘柄で地元を中心に販売し,その酒をこよなく愛した伊達藩重臣であり中新田城主只野図書の「酒銘を真鶴にせよ」との命により,「真鶴」と命名。
なお,「真鶴」を選んだのは,城主の奥方只野真葛が,庭で遊ぶ鶴をこよなく愛し,多くの歌を詠んだためと伝えられている。

麹蓋(こうじぶた)
いくつも重ねられた麹蓋
創業以来,良質な米と水を使い,200余年に渡って伝統的手法による酒造りを継承している。
その一つが1.5升盛の小さな麹蓋(普通は大きな麹箱に1つ盛で製麹を行う)での手作りの製麹で,重ねられた麹蓋の上下を1日3回入れ替えることによって麹を造り上げている。

昔ながらの暖気樽(だきだる)
もう一つが,熱の伝わり方がストレートな金属製暖気樽を使用せず,柔らかに熱が伝わり,酵母に優しい木暖気樽を使用した「山廃酒母」造りの手法。県内でも数少ない「山廃造り」は,天然の乳酸菌を用い,普通なら2週間ほどで仕込むところを1ヶ月もの時間をかけ,ゆっくりと仕込む。こうすることで,味に幅が出て,どっしりとしたコクのある酒が仕上がっていく。
蔵人はまるで子育てのように微生物たちの活動を大切に見守り,サポートしている。
水は,奥羽山系の伏流水を使用。くみ上げた地下水をタンクローリーで酒蔵まで運ぶ。良い水を求め,たどり着いたのが現在の水源とのこと。

ラベル貼りも手作業
宮城を代表する酒造好適米「蔵の華」の開発に尽力した先代社長の 「地酒とは,その土地の米や米生産者と一緒になって造り上げる,それが本当の地酒である」との信念を継承し,県内他の酒蔵では兵庫県の山田錦を多く使っているのに対し,田中酒造店では,ほとんどが県産米を原料としている。
特に,3年ほど前から販売している「田中屋」ラベルの酒は,100%県産米を使用した純米酒で,県内で契約栽培する“山田錦”や“美山錦”にこだわる。
この県産米にかける想いが,純米酒製造販売日本一の宮城県を支えているのだろう。
手間を惜しまない伝統的な手造りと,地元の米へのこだわりが,「のどごしのよい酒」を守り続けている。

製造部長 中川さん
取材に応じて下さった,製造部長の中川幸喜さんは,「宮城県産の米にこだわり,今以上に純米酒の種類を増やしていきたい。淡麗な旨い酒,燗でもおいしい酒を造っていきたい」と抱負を話る。

落ち着いて膨らみのある含香。淡麗の中にもコクのある味わい。

宮城県産好適米「蔵の華」を原料米とする本格山廃造りの純米酒。芳醇な香りとコクがあり,飲み飽きしない旨口の酒

宮城県産「美山錦」を原料とする純米吟醸酒。ふくよかな含香。芳醇な風味とまろやかさが特徴。

宮城県を代表する「ササニシキ」を原料とする純米酒。ササニシキの香り・旨みが活きた山廃造りの1本。

大崎産の美山錦を使った純米吟醸酒。芳醇な風味とまろやかさが特徴。

搾ったばかりの新酒をそのまま直ちに瓶詰めしました。フレッシュでダイナミックな新酒の味わいをお楽しみ下さい。12月下旬頃発売
この他にも,3月中旬,9月中旬にも生原酒が発売されます。お楽しみに!

仙台弁のユニークなネーミングで,楽しくておいしい酒。本醸造原酒“チョット効きすと”,本醸造酒“飲まねすか”,山廃仕込純米酒“うまがすと”の3本セットです。
