
昨年、大手半導体製造装置メーカー東京エレクトロン株式会社と「トヨタ自動車」の関連会社セントラル自動車株式会社の県内への工場立地が決定するなど、県内ものづくり産業は、取引拡大などによる活性化の大きな機会を得ています。
県経済が今後も継続して発展し、富県宮城を実現するためには、県内ものづくり産業が力強く県経済をけん引していくことが必要です。
県では、昨年3月、今後10年の県政運営の基本指針となる「宮城の将来ビジョン」を策定しました。この中で、現在8兆円台の県内総生産額を平成28年度には10兆円以上に引き上げる「富県宮城の実現」を目標に掲げ、この目標の実現に向けて、産業を盛んにしていくこととしています。
産業の中でも、ものづくり産業は大きな柱であり、企業誘致と両輪で、県内企業の育成・強化を進めることとしています。また、昨年4月には、県内のものづくり産業が将来にわたって発展していくために取り組むべき施策の基本方針などを定めた「ものづくり産業振興に関する県民条例」が施行されました。
近年、宮城県でも、人口の減少や高齢化が進み、将来的に、地域の活力が低下し、経済活動が縮小してしまうことが懸念されています。このような状況の中で、県経済が継続して成長し、富県宮城を実現するためには、経済波及効果が大きく、雇用も生み出せるものづくり産業を盛んにしていく必要があります。
その中でも、自動車関連、電機・電子の分野は、使用される部品・材料などが多種多様であることから、多数の業種・業界が関連するすそ野の広い分野です。このため、この分野のものづくり産業を盛んにすることによって、部品・材料などの需要が増え、その結果、それらの生産を誘発したり、関連する商業取引を活発にしたりすることができるほか、関連企業の立地や雇用の創出も期待できます。
また、本県で製造品出荷額の割合が大きい食品製造分野についても、多彩で豊富な食材に恵まれている地の利を生かして、新商品を開発するなど、生産・加工から流通の過程において、さまざまなビジネスや雇用が生まれることが期待できます。
一方、宮城県は、サービス業や卸売・小売業、不動産業などの第3次産業を中心とした産業構造となっていて、製造業などのものづくり産業の割合は低く、製造品出荷額なども伸び悩んでいるのが現状です(図1・2)。
また、ものづくりの国際的分業化が進み、加工組立工程については、生産コストの低い東アジア諸国などへ拠点が移転するなど、この分野の国内企業は厳しいコスト競争にさらされています。さらに、国内の総人口が減少に転じ、需要や労働力が減少していることで、限られた消費や労働者をめぐり、国内での地域間競争も激化しています。


このような厳しい状況の中で、県内ものづくり産業が継続して成長し、力強く県経済をけん引していくためには、県内企業が、技術力の向上や魅力的な商品の開発などに努めていくとともに、企業の取組を支援する効果的な施策を展開していくことが必要になります。
こうしたことから、県では、自動車関連、電機・電子、食品の3分野について、プロジェクトによる重点的な取組を進め、平成28年度までに、これらの分野の製造品出荷額を2割以上増加させることを目指しています。また、新商品を生み出したり、県内企業を支援したりするため、産学官が連携した取組を推進しています。


県内企業の受発注の機会を拡大するため、大手自動車メーカーとその関連企業を対象とした展示商談会を開催しています。また、自動車関連産業への参入に不可欠な基盤技術力を向上させるため、県産業技術総合センターに自動車メーカー出身者を採用し、その指導の下、自動車部品の機能や構造についての研修を実施しています。このほか、技術力向上を支える技術人材の育成・確保のため、企業在職者のほか、大学・高等専門学校の学生も対象とした「組込ソフト(※1)」などに関する研修も開催しています。
電機・電子分野では、最先端の研究によって生み出された高度な技術を使った電子部品・電気機械産業を「高度電子機械産業」と定義し、その集積を目指しています。
県では、昨年6月に施行された「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律(企業立地促進法)」に基づき、「高度電子機械産業」と「自動車関連産業」の集積に向けた基本計画を策定し、その実現に向けて県、市町村、産業団体、大学などで構成する協議会をそれぞれ設立し、企業誘致の促進のほか、受発注機会の拡大や人材の育成に向けた取組を進めています。
※1 家電製品や産業機器に内蔵される、特定の機能を実現するコンピュータシステムを制御するためのソフトウェア
「食品製造業振興プロジェクト」として、「課題の把握」から「商品力の強化」、「外部評価の把握」、「販売機会の拡大」までを一連の流れで進めることに取り組んでいます。特に「商品力の強化」と「外部評価の把握」に力を入れ、従来のプロダクトアウト型(※2)からマーケットイン型(※3)の商品づくりへの転換を図るため、消費者などの評価を反映しながら商品開発や改良を行うことを支援していく仕組みづくりを進めています。
※2 商品の企画・開発や生産を行う上で、企業の理論を優先させる方法
※3 消費者のニーズを優先し、商品の企画・開発を行い、提供していく方法
宮城県には、東北大学をはじめとする優れた大学や高等専門学校、公設試験研究機関、企業の研究所があるほか、産業支援機関も数多く存在しています。こうした強みを生かして、産学官が連携した取組を進めることによって、新たな価値を持った新商品を生み出していくことを目指しています。
また、県内企業の技術力向上や課題解決を支援するため、企業からの技術相談に対応するワンストップ窓口「KCみやぎ(宮城県基盤技術高度化支援センター)」を、県内の大学や高等専門学校などと県産業技術総合センターが一体となって設置し、支援に積極的な研究者や利用可能な機器を紹介して、技術相談や商品開発などへの助言・指導を行ったり、分析・測定機器を開放したりするなど、企業のニーズに対応しています。
県内のものづくり産業を盛んにすることは、県経済が活発になることにつながります。そして、これにより宮城が経済的に豊かになり税収が増えることで、福祉や教育、環境、社会資本整備など、県民の皆さんの生活と密接にかかわる施策を充実させていくことができます。
今後も、県では、「富県宮城の実現」に向けて、県内ものづくり産業の振興に取り組んでいきますので、県民の皆さんのご理解をお願いします。
お問い合わせ
経済商工観光部新産業振興課
TEL 022(211)2722
http://www.pref.miyagi.jp/shinsan/