資料3−2 法律や他の都道府県条例における障害を理由とする差別の禁止について 1 障害を理由とする差別の禁止を義務づける範囲について (1)障害者差別解消法では,「行政機関等」と「事業者」に対して,障害を理由とする差別の禁止を義務づけている。 ○ 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法) 第7条 行政機関等は,その事務又は事業を行うに当たり,障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより,障害者の権利利益を侵害してはならない。 第8条 事業者は,その事業を行うに当たり,障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより,障害者の権利利益を侵害してはならない。 (2)なお,障害者基本法では,「何人も」障害を理由とする差別をしてはならないと定めている。 ○ 障害者基本法 第4条 何人も,障害者に対して,障害を理由として,差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 (3)他の都道府県条例では,障害を理由とする差別の禁止を義務づける範囲について,「何人も」又は「全ての県民」としている県が多い。   差別の禁止を義務づける範囲を、「何人も又は全ての県民」と規定 22都道府県 北海道,岩手県,福島県,茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,富山県,福井県,岐阜県,奈良県,徳島県,香川県,愛媛県,福岡県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県,沖縄県 差別の禁止を義務づける範囲を、「都道府県及び事業者」と規定 7都道府県 東京都,山梨県,静岡県,愛知県,三重県,京都府,佐賀県 差別の禁止を義務づける範囲を、「事業者」と規定 1県 山形県 2 障害を理由とする差別の禁止の規定の仕方について  (1)「不当な差別的取扱い」について,具体的な例を記載することなく包括的に記載している都道府県は17であり,具体例を個々に記載しているのは13である。 不当な差別的取扱いについて、包括的に記載し,具体例の記載なし。 17都道府県 北海道,岩手県,福島県,茨城県,群馬県,埼玉県,東京都,富山県,岐阜県,静岡県,愛知県,三重県,徳島県,香川県,愛媛県,福岡県,佐賀県 不当な差別的取扱いについて、具体例を個々に記載している。 13都道府県 山形県,栃木県,千葉県,福井県,山梨県,京都府,奈良県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県,沖縄県 (2)差別の禁止について,包括的に規定している他の都道府県条例の例 ○ 福島県 第14条 何人も,障がいのある人に対して,障がいを理由として,不当な差別的取扱いをすることにより,障がいのある人の権利利益を侵害してはならない。 (3)差別の禁止について,「不当な差別的取扱い」の具体例を個々に記載している他の都道府県条例の例 ○ 宮崎県 第7条 何人も,障がいのある人に対して,次の各号に掲げるものその他の障がいを理由とする不利益な取扱いをすることにより,障がいのある人の権利利益を侵害してはならない。 (1) 福祉サービスを提供する場合において,障がいのある人の生命又は身体の保護のためやむを得ないと認められるときその他の合理的な理由があるときを除き,福祉サービスの提供を拒み,若しくは制限し,又はこれに条件を付すこと。 (2) 医療を提供する場合において,障がいのある人の生命又は身体の保護のためやむを得ないと認められるときその他の合理的な理由があるときを除き,医療の提供を拒み,若しくは制限し,又はこれに条件を付すこと。 (3) 商品の販売又はサービスの提供を行う場合において,他の者に対するサービスの質が著しく損なわれるおそれがあるときその他の合理的な理由があるときを除き,商品の販売若しくはサービスの提供を拒み,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すこと。 (4) 労働者の募集及び採用を行う場合において,合理的な配慮に係る措置を講じてもなお従事させようとする業務を適切に遂行することができないときその他の合理的な理由があるときを除き,募集若しくは採用を行わず,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すこと。 (5) 障がいのある人を雇用する場合において,合理的な配慮に係る措置を講じてもなお従事させようとする業務を適切に遂行することができないときその他の合理的な理由があるときを除き,賃金その他の労働条件,配置(業務の配分及び権限の付与を含む。),昇進,降格,教育訓練及び福利厚生について,不利益な取扱いをすること。 (6) 教育を行う場合において,次に掲げる不利益な取扱いをすること。  ア 障がいのある人の年齢,能力及び特性に応じた十分な教育が受けられるようにするために必要と認められる適切な指導又は支援を行わないこと。  イ 障がいのある人及びその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に規定する保護者をいう。)への意見聴取,必要な説明及び情報提供を行わず,又はこれらの者の意見を十分に尊重せずに,障がいのある人が就学すべき学校(同法第1条に規定する小学校,中学校,義務教育学校,中等教育学校(前期課程に限る。)又は特別支援学校(小学部及び中学部に限る。)をいう。)を決定すること。 (7) 不特定かつ多数の者が利用する建物その他の施設を障がいのある人の利用に供する場合において,建物その他の施設の構造上又は障がいのある人の生命若しくは身体の保護のためやむを得ないと認められるときその他の合理的な理由があるときを除き,建物その他の施設の利用を拒み,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すこと。 (8) 公共交通機関を障がいのある人の利用に供する場合において,旅客施設(高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第2条第5号に規定する旅客施設をいう。)又は車両等(同条第7号に規定する車両等をいう。)の構造上又は障がいのある人の生命若しくは身体の保護のためやむを得ないと認められるときその他の合理的な理由があるときを除き,公共交通機関の利用を拒み,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すこと。 (9) 不動産の売買,交換,賃貸借その他の不動産の取引(以下「不動産の取引」という。)を行う場合において,不動産の取引に係る建物の構造上やむを得ないと認められるときその他の合理的な理由があるときを除き,不動産の取引を拒み,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すこと。 (10) 不特定かつ多数の者に対して情報を提供する場合において,当該情報を提供することに著しい支障があると認められるときその他の合理的な理由があるときを除き,情報の提供を拒み,若しくは制限し,又はこれに条件を付すこと。 (11) 不特定かつ多数の者から情報を受領する場合において,当該情報を受領することに著しい支障があると認められるときその他の合理的な理由があるときを除き,情報の受領を拒み,若しくは制限し,又はこれに条件を付すこと。 (資料3−2終わり)